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《越知町立 横倉山自然の森博物館》
いずれ森に覆われる安藤忠雄建築
植物分類学者・牧野富太郎が愛した
高知・横倉山を遊ぶ③

2023.8.21 PR
《越知町立 横倉山自然の森博物館》<br>いずれ森に覆われる安藤忠雄建築<br><small>植物分類学者・牧野富太郎が愛した<br>高知・横倉山を遊ぶ③</small>

自らを「草木の精」と表現したほど、生涯を懸けて植物の研究に打ち込んだ牧野富太郎。その“庭”ともいえる横倉山で、博士のフィールドワークを追体験しよう。

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神秘の山・横倉山についてより深く学ぶなら、ふもとの森に抱かれるように佇む「横倉山自然の森博物館」へ。安藤忠雄氏が設計を手掛けたコンクリートの建築は、モダンでいて周囲の自然と美しく調和する。ゆるやかな長いスロープを上がり、回廊を進んでいくアプローチがドラマティックだ。

ここは博物館には珍しく、そして安藤建築らしく、自然光がふんだんに差し込む空間が印象的。「大きな窓やスリットから入る光の角度で、時間帯によって見える景色が変わっていきます」と学芸員の谷地森秀二さんは語る。

木々をすぐそばに感じながらの長いアプローチが印象的。建造物の内部にいながら、自然の中に吸い込まれて一体になるような感覚
広々とした展示室は2フロア構成。トリケラトプスの頭骨化石の実物など、貴重な資料も多数展示され、楽しみながら学習できる

最初に迎える展示は、横倉山を擁する越知町の地形を表したジオラマ。山中の見どころや位置関係がわかりやすく示されている。続いて、尾根に広がるアカガシの原生林と、そこに生きる動物たちを再現した精巧なジオラマが目の前に。ここも天井からほどよく自然光が入り、山中の様子をリアルに伝えている。山の表層について知った後は、地面の下にフォーカスした展示へ。約4億年前と、日本屈指の古さを誇る地層が見つかっているとあって、横倉山を中心に採集された化石や岩石の数々が並ぶ。実際に触れる自然観察・体験のコーナーは、子どもにも人気。10世紀前半、別府経基が越知付近を開拓し、三獄山(横倉山の古名)を修験道場としたことにはじまる歴史と伝説の展示も見応えたっぷりだ。そして牧野博士と横倉山の関係を掘り下げたコーナーも。植物標本の実物や写真など、貴重な資料の数々に目を奪われる。

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3階の展望ロビーからは緑化されたルーフトップと越知町の町並みが一望できる
タヌキの研究を専門とする谷地森さん。「博物館周辺のカメラにもよくタヌキが映っています」
牧野博士の等身大フィギュアは撮影スポット。頭部は3パターン用意

トレッキングを目的にこの地を訪れたなら、まず博物館を見学するのがおすすめだ。横倉山がほかの山とどう違うのか、何がおもしろいのか。予備知識を得てから歩き出すことで、山で目にする数多の植物や遺構などが語りかけてくるように感じられるだろう。

1997年の開館当時に掲げられたコンセプトは「いずれ森に覆われる博物館」。施設の周囲への植樹、さらに屋上緑化にも取り組むことで、26年を経た現在、当初の目標は達成されつつある。山の素顔に迫り、山と共生するミュージアムは知るほどに愉しい。

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山の恵み、清流・仁淀川と
土佐和紙の魅力を知る

 
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越知町立 横倉山自然の森博物館
住所|高知県高岡郡越知町越知丙737-12
Tel|0889-26-1060
開館時間|9:00〜17:00(入館は16:30まで)
休館日|月曜(祝日の場合は翌日休)

植物分類学者・牧野富太郎が愛した、高知《横倉山》を遊ぶ
1|高知・横倉山は幻想的で神秘的なロマンに包まれていた
2|横倉山で見られる植物たち
3|安藤忠雄建築「越知町立 横倉山自然の森博物館」
4|山の恵み、清流・仁淀川と土佐和紙の魅力を知る
5|高知・横倉山エリアの旅案内

text: Aya Honjo photo: Sadaho Naito
Discover Japan 2023年9月号「木と生きる」

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