横倉山で見られる植物たち
植物分類学者・牧野富太郎が愛した
高知・横倉山を遊ぶ②
自らを「草木の精」と表現したほど、生涯を懸けて植物の研究に打ち込んだ牧野富太郎。その“庭”ともいえる横倉山で、博士のフィールドワークを追体験しよう。
牧野博士が発見した新種も!
横倉山で見られる植物
“世の中に、雑草という草はない”、と植物を愛した牧野博士。横倉山に自生する植物は、約1300種類。これは高知県内で確認される植物の、実に3分の1強。文字通り“植物の宝庫”といえる。
所谷さんがふと歩みを止めて指差す。「ほら、牧野さんが新種として名づけたコオロギランがあそこに」。また別の場所では、「コミヤマスミレ、きれいでしょう。これも牧野さんの命名ですよ」。自分も小さな花を見つけるのが好きで、とほほ笑む所谷さん。教えられなければまずわからないほどひっそりと、しかし生命力に満ちた草花。『らんまん』で、植物へのまなざしについて語られる「誰にも気づかれてないけど、そこにいる子、生きている子」という言葉が鮮やかによみがえる。山歩きでは前方や上方に視線がいきがちだが、ここではぜひ登山道沿いの足元にも注目を。博士の気持ちで、植物に“あいさつ”してみたい。
山頂には、安徳天皇を祀った横倉宮の本殿が鎮座する。そのかたわらにあるヨコグラノキも、博士が発見・命名した植物。しかも、発見にあたって標本を採集した基準木そのものなのだ。貴重な名木との対面は、山頂到達の喜びをいっそう高めてくれる。
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「越知町立 横倉山自然の森博物館」
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text: Aya Honjo photo: Sadaho Naito
Discover Japan 2023年9月号「木と生きる」