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《高知県立牧野植物園》
植物分類学の父・牧野富太郎の探究心を学ぶ
4|建築・見どころ

2022.8.14 PR
《高知県立牧野植物園》<br> <small>植物分類学の父・牧野富太郎の探究心を学ぶ</small><br> 4|建築・見どころ

「高知県立牧野植物園」は植物以外にも探究の要素が散りばめられている。植物図やハーバリウム、日本を代表する建築家・内藤廣さんが設計を手掛ける「牧野富太郎記念館」など、見どころをご紹介!

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高知県立牧野植物園蔵

牧野博士の「牧野式植物図」といわれる植物図は、植物を徹底的に観察し、ルーペや顕微鏡を用いて表には見えない部分まで精密に筆で描写。植物の全形図と、花弁や葉などの部分図や拡大図、生殖器官の解剖図などで構成され、それがひとつの画面にバランスよく配置されている。

博士は目の前の植物を見たままに描くのではなく、同じ種類のいくつもの個体を見比べ、平均的なかたちを導き出した。それは正体がわからない植物を調べるために必要な配慮ともいえる。花の開花から結実に至るまでの成長や、季節による変化も加えられ、一枚の中に植物の一生を描いていることも、植物画ではなく植物図と呼ぶゆえんだ。

博士はフィールドに出る際、採集した植物を入れるブリキ製の容器(胴乱)、その場で標本にするための挟み道具(野冊)、標本の間に挟む吸水紙などを携えた。「植物の分類をやる人々はぜひとも各地を歩きまわらねばウソである」との言葉のごとく、博士は精力的に日本各地に出掛け自ら採集したものも含め、生涯で約40万枚もの腊葉標本を収集。標本庫(ハーバリウム)には、博士の約5000点の標本とともに、牧野植物園が独自に研究調査する国内外の標本が収められている。

とことん精密に種の典型を描いた
植物図

中国の『本草綱目』などに見られる本草画、西洋の植物画、そこに精密さが加わった独自の世界観がある。

甘酢っぱい実をつけるガマズミ。博士の植物図としては珍しい色つき。左隅に、果汁の色と同色の絵具を塗り、「褪色スルカモ知レナイ」と添えてある 高知県立牧野植物園蔵
シコクチャルメルソウ。植物の全形図を中心に、葉や毛の拡大図などを、一枚の中に美しくレイアウトしている様子がよくわかる 高知県立牧野植物園蔵

植物分類学の中核を担う貴重な資料
ハーバリウム

植物の姿だけでなく、どの時期に、どこで、どんな植物が生育していたかの証しでもあり、研究の半永久的な資料に。

高知の低山地に見られるビロードムラサキ(別名コウチムラサキ)の腊葉標本。牧野博士が命名した植物のひとつ。葉の裏が見えるのが大切
腊葉標本は、重石でプレスした植物を情報を書いたラベルとともに特殊テープで台紙に貼り付けてある。ハーバリウムでは現在も継続して標本の収集を行っている

自然と人間との共生を意識してつくられた
建築

展示施設、研究室、収蔵庫がある牧野富太郎記念館は、内藤廣さんの設計。五台山の風景に溶け込む。

牧野富太郎記念館 本館。県産の木材を使った有機的なかたちが印象的。2階のデッキテラスから、中庭で元気に育つ牧野博士ゆかりのタイワンマダケが見える

そのほかにも注目ポイントがたくさん!

雨樋を伝って雨水が水桶に落ちる仕組み。そこから雨水はタンクにためられ、園内でさまざまに利用される
記念館 本館にあるレストラン。木々に囲まれた場所でゆったり食事を。ランチの人気は「シェフの気まぐれランチ」。牧野博士ゆかりの植物などをテーマにしたオリジナルブレンドティーもおすすめ。
レストラン アルブル
Tel|088-882-0410 営業時間|9:00〜17:00(L.O.16:30) 定休日|開園日に準ずる

理解が深まる!教室やツアーに参加したい
多くの人に植物に興味をもってもらいたいと願った博士の意志を継ぎ、園ではさまざまな教室やツアーを開催。見ごろの植物を中心に講師と園内を歩く観察会、園地で採取した草花をじっくり観察して描く教室、ハーブの教室など。スケジュール・事前予約はホームページにて。

高知県立牧野植物園
住所|高知県高知市五台山4200-6
Tel|088-882-2601
開園時間|9:00〜17:00(最終入園16:30)
休園日|年末年始、メンテナンス休園日あり
料金|730円(高校生以下無料)
施設|レストラン、カフェ、ショップ
※牧野文庫と標本庫は一般には非公開

 

≫公式サイトはこちら

 

   

text: Yukie Masumoto photo: Yoshihito Ozawa
2022年9月号「ワクワクさせるミュージアム!」

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