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《高知県立牧野植物園》
植物分類学の父・牧野富太郎の探究心を学ぶ
1|植物園と牧野博士

2022.8.14 PR
《高知県立牧野植物園》<br> <small>植物分類学の父・牧野富太郎の探究心を学ぶ</small><br> 1|植物園と牧野博士

植物探究に生涯を捧げた牧野富太郎博士を知っていますか? 2023年春にスタートするNHK連続テレビ小説『らんまん』の主役のモデルであり、俳優・神木隆之介さんが演じることでも注目されている人物。
そんな“探究”し続けた植物分類学者・牧野富太郎の想いを受け誕生したのが「高知県立牧野植物園」だ。起伏に富んだ広大な敷地を彩る3000種類以上の植物に加え、94年の生涯を植物分類学の研究に捧げた博士の素顔を見ることができる。

浮遊性の水生植物で、ミジンコなどを捕食する「ムジナモ」。日本で植物分類学者・牧野富太郎がはじめて発見。世界的に稀少で、中でも夏に1時間ほどしか咲かないという花は珍しい。花を解剖し緻密に描いた植物図により牧野富太郎の名は世界に知られることとなる 高知県立牧野植物園蔵

「日本の植物分類学の父」を育んだ高知へ
牧野植物園で知る探究のココロ

高知駅から車で15分ほどの五台山に、世界が注目する植物園がある。なぜ高知にそれほどの植物園が存在するのか、ここを訪れればわかるだろう。

温暖な気候で、海から海抜約1900mまでの標高差を有す高知はそもそも植物の宝庫だ。加えて、石灰岩地と蛇紋岩地の存在がより多様な植物を育んでいる。これらはアルカリ性で保水力が乏しく、貧栄養で乾燥しやすいことから、森林の発達が悪く、ゆえに特殊な植生が成立する。

日本には約7000種(これは同じ島国イギリスの3〜4倍)の植物が自生するといわれ、高知県にはその約4割にあたる2700種ほどがあるというから、いかに高知の植物相が豊かであるかがわかる。
 幼き牧野少年は、高知・佐川町にあった自宅の裏山で、草木に魅せられた。時は幕末から明治への動乱期。博士が生まれ育った佐川は、土佐藩の筆頭家老の領主が治める地で、学問が奨励されていた。少年は寺子屋で読み書きを習い、伊藤蘭林の塾で漢学を修め、名教館で西洋の最先端の学問を学んでいた。その後、佐川に小学校ができて入学するも、その授業は少年には物足りなく、2年たらずで自主退学。独学で植物分類学者への道を進んでいく。

90歳まで野外調査で日本各地をめぐった牧野博士。生涯で発見・命名した植物の新種や新品種は1500種類以上。収集した標本は約40万枚。植物の姿だけでなく、構成要素や生殖器官、解剖図などが盛り込まれた「牧野式植物図」は世界に驚きを与え、植物図を用いた植物図鑑は、いまでも日本最高峰の図鑑として愛用されている。

高知県立牧野植物園は、博士が逝去した翌年の1958年に開園。博士が生前に残した「暖帯のいろいろな草木を集めて立派な園にし、観光客が〝さすがは土佐だけのことはある〟と絶賛するようにしたいもんです」という言葉のままに、ここでは博士ゆかりの植物や高知県の自然を再現した森をはじめ、四季折々のさまざまな植物を観賞できる。加えて、敷地内の牧野富太郎記念館・本館の牧野文庫には、牧野家から寄贈された4万5000冊に及ぶ書籍や膨大な植物図を収蔵。展示館では博士の生涯を追える常設展、年に数回の企画展があり、植物のおもしろさを体験できる。

牧野富太郎生誕160年の今年、博士がモデルとなるNHK連続テレビ小説『らんまん』が2023年春にスタートする。博士の知られざる素顔が垣間見られるか、こちらも楽しみだ。

牧野富太郎記念館 展示館より中庭を眺める。設計は内藤廣さん。日差しが強く雨が多い高知の民家はひさしが長く、その特徴をとらえた有機的な建築は必見

 


植物分類学者・牧野富太郎とは?
 
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text: Yukie Masumoto photo: Yoshihito Ozawa
2022年9月号「ワクワクさせるミュージアム!」

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