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《宇宙事情Q&A》
アルテミス世代の宇宙飛行士、誕生へ
日本の宇宙開発を探る旅 Part 5

2022.10.3
《宇宙事情Q&A》<br><small>アルテミス世代の宇宙飛行士、誕生へ<br>日本の宇宙開発を探る旅 Part 5</small>
©JAXA/NASA

「アポロ計画」以来となる月面着陸を目指してNASAが進めている「アルテミス計画」。現在、日本でも月探査プログラムなどに携わるアルテミス世代の宇宙飛行士を選抜中だ。人類の探究心は宇宙へ、月へ、そしてその先へ……世界でもトップクラスにある日本の宇宙開発技術から、進行中の宇宙開発計画、宇宙に挑んできた人類の歴史などをPart1からPart8に分けて探っていく。

Part3〜5では、宇宙に挑んできた人類の歴史から宇宙飛行士の日常まで、いまこそ知りたい日本の宇宙事情を探る。

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いまこそ知りたい
ニッポンの宇宙事情Q&A
<宇宙飛行士編>

Q 宇宙飛行士になれる人ってどんな人?
A 8つの特性に当てはまる多様性を尊重した人物像が求められている!

未知・未踏の世界である宇宙で、限られた人数からなる国際的なチームの中で、日本代表として活動する宇宙飛行士。多くの関心事や経験、知識などを有する個人としての多様性とともに、互いの価値観や手法を尊重しながら、ミッションを成功に導くための協調性とリーダーシップを発揮することが求められる。また、さまざまな環境に対する適応能力があり、柔軟な思考と着眼点をもって、適時的確な判断と行動ができることも重要。

<宇宙飛行士に必要な8つの特性>
任務・訓練に耐え得る健康状態

進歩・変化に対応するための
心身両面の適応性、強靭性

外部に伝える表現力・発信力

高いコンプライアンス意識

目的意識、達成意欲

日本人としての誇り、広範な素養・知識、
国際チーム員としての態度

ミッション遂行能力
(自己管理、コミュニケーションリーダーシップなど)
緊急事態対処能力

科学・技術・工学・数学の知識、
論理的思考力、英語力、専門性

Q 13年ぶりの募集! 宇宙飛行士候補者の応募条件は?
A 学歴、専門性の条件、身長制限が広がった!

米国が提案するアルテミス計画(有人月面探査プログラムの総称/P119)。2020年10月、この計画を推進するためアメリカや日本など8カ国がアルテミス合意にサインし、その中継基地である月周回有人拠点「ゲートウェイ」の建設計画が進行している。日本は、居住機能及び新型宇宙ステーション補給機(HTV-X)を活用した物資補給の機能を提供する予定だ。

昨年12月には、「ゲートウェイ」そして月面で活躍できる人材を求め、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は13年ぶりに宇宙飛行士候補者を募集した。その際、学歴と専門性の条件を設けず、身長制限の幅を広げるなど、前回と比べて応募条件を緩和。専門分野や学歴、職歴などで門戸を絞らず、あらゆる人に宇宙飛行士に挑戦する可能性を提供することを意図した。第0次から第3次まで、1年がかりの選抜試験によって、新しい宇宙飛行士が選ばれる。

©JAXA
宇宙開発事業団(NASDA)宇宙飛行士選抜試験で回転いすに乗る若田光一宇宙飛行士候補者

Q 宇宙飛行士の仕事内容って?
A 訓練・搭乗・技術/広報業務などが基本

【訓練】
宇宙飛行士になるためにはまず訓練から
選抜された宇宙飛行士候補者は、宇宙飛行士に必要な科学・技術の知識、国際宇宙ステーション(ISS)/「きぼう」システムの概要などを学び、サバイバル技術や飛行機操縦などさまざまな訓練を受ける

【搭乗】
宇宙に出向き、さまざまな業務を担当
訓練修了後、JAXA宇宙飛行士に認定され、特定の搭乗ミッションにアサインされると、ISSや「きぼう」での業務、将来的にはアルテミス計画や月周回有人拠点「ゲートウェイ」に関するさまざまな業務を行う

【技術/広報】
宇宙だけでなく地上でも大活躍
宇宙飛行士を地上からサポートしたり、宇宙で使用する実験装置の開発や運用計画の立案に携わったりするほか、講演会やイベント、教育プログラムへの参加、メディアを通して、宇宙での活動や体験を伝える広報業務も担当する。

©JAXA/NASA/David DeHoyos
船外活動ユニットを着用した金井宣茂宇宙飛行士

Q 国際宇宙ステーション(ISS)ではどう過ごしているの?
A ISSの一日は地上と同じ24時間が基準!

地上から約400㎞の上空を秒速約7.7㎞(時速約2万7700㎞)で飛行しているISSは、地球を約90分で1周、1日で約16周する。ISS内は地上と同じ1気圧、温度・湿度も常時快適な環境に保たれている。ただ重力がほとんどなく、何もしないでいると筋肉や骨が弱くなってしまうため、宇宙飛行士は毎日、体力維持のためのトレーニングを欠かさない。

食事は、約300種類以上の宇宙食が用意されており、地上と同じようなものを食べられる。また、寝室やトイレはあるが浴室や洗面台はない。身体の汚れは液体石けんを含ませた濡れタオルで拭き、髪を洗うときは水を使わずに洗えるシャンプーを使う。

作業(業務)時間は1日6.5時間。夕食後には自由時間もある。長期間、限られた空間で同じメンバーで過ごす宇宙飛行士にとって、ストレス解消のためにも自由時間は大切。読書やDVDでの映画鑑賞など、好きなことをして過ごす。インターネットで地上の家族などと話すこともできる。休日は週2日(土日)、祝日は、各国の祝日の中からクルーごとに決める。

<Weekday>
睡眠
朝食(1時間)
洗顔等(30分)
作業確認(2時間)※地上との交信含む
作業(午後と合わせて計6時間半)
昼食(1時間)
作業
体力維持トレーニング(2時間半)
夕食(1時間)
自由時間(1時間)
睡眠(8時間半)

<Day off>
土曜
午前:ボランタリーサイエンス(自由参加)
午後:休み

日曜
終日休み

祝日
各国の祝日の中からクルーごとに決定
(自国の祝日に限らない、半年間に4日)

 

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アルテミス世代の宇宙飛行士、誕生へ
日本の宇宙開発を探る旅

1|筑波宇宙センター 前編後編
2|宇宙事情Q&A 前編中編後編
3|宇宙のこれからを知る
4|種子島宇宙センター
5|日本科学未来館

text: Miyu Narita
Discover Japan 2022年9月号「ワクワクさせるミュージアム!/完全保存版ミュージアムガイド55」

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