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心が和む、ずっと美しいデザイン
《鈴木 環 ピジョンカップと干支のフェーブ展》

2024.12.19
心が和む、ずっと美しいデザイン<br>《鈴木 環 ピジョンカップと干支のフェーブ展》

ピジョンカップをはじめ、白を基調としたうつわをつくり続ける鈴木環さん。2024年11月2日(土)~10日(日)にかけて、東京・渋谷パルコのDiscover Japan Lab.にて「鈴木 環 ピジョンカップと干支のフェーブ展 」を開催。鈴木さんの代名詞であるピジョンカップと来年の干支「巳」にちなんだ蛇のフェーブを目の当たりにできる。作品一つひとつに愛情が感じられる“変わらない”美しさをもつその魅力とは?

“経年変化させない” という魅力

動物をモチーフにする際、意識するのは背中。「蛇は後頭部の下のくびれも特徴ですね」

「実家が茨城県笠間市と栃木県益子町の中間ぐらいのところにありまして。高校生の頃、よく自転車で地元の焼物店を回り、見せてもらっていたこともあり、私にとってうつわは身近な存在でした」

そう話す鈴木環さんは高校卒業後、迷わず陶芸の道を選んだ。北大路魯山人の最後の弟子でもあった故小野寺玄氏に師事していた時期は、「ささくれ」や「破片」といった、焼物特有の美学についても学んだ。しかし、知識を得れば得るほど、「何かが違う」と違和感を覚えはじめた。

「どうも私には、わびさびといった日本の伝統が肌に合わないと気づいてしまったのです。むしろそれとは真逆の、たとえばプラスチック製バケツのような、機能的で愛嬌あるプロダクトが好きだったのだと」

毎日、日が暮れるまでろくろを挽く。「25年以上カップをつくっていますが、毎回新鮮な気持ちで土と向き合っています」

独立して十数年、鈴木さんは一般的な陶磁器の概念にとらわれず、感性の赴くまま作陶をはじめた。目指したのは、ホーロー製品のようなマットでつるりとした質感。

「そのために力を入れたのが粉引です。粉引とは、陶土の上に白い泥(化粧土)をかけ、透明の釉薬で仕上げたうつわのことで、奥深い白色が特徴。ただ、化粧土の種類や配合によって同じ白でも色の出方が変わってくるので、産地別でもずいぶん試しました」

九州や朝鮮半島で採れたものは、不思議と和風な感じに仕上がってしまう。ならばと、ウズベキスタンやアメリカ産なども試した結果、フランスの土がぴったりはまった。マットな質感に、青みがかった奥行きのある白色。まさにホーローのような色みだった。

大きなカップが最初に登場し、その後中サイズ、そして近年小サイズも誕生

「デザインは、昔から興味のあった骨董のうつわを参考にしました。高麗青磁や天目茶碗のような、柔らかなフォルムと繊細な口縁。こうした要素を追求し、誕生したのがピジョンカップでした」

カップに持ち手を付けなかったのは、両手で包み込むように使ってもらいたかったから。その姿はまるで白いハトを抱えているかのよう。

「せわしない毎日、ほっとひと息つくときのお供に使ってもらえれば」と鈴木さんはほほ笑む。使い勝手もよく、陶器特有の貫入(細かな亀裂)がないのでカレーやエビチリを食べても色移りが気にならない。だから時間が経っても真っ白い状態をキープできる。陶土に磁器土を混ぜているため強度があり、電子レンジもOK。現代の暮らしにぴったりなのである。

素焼きを終えたカップがところ狭しと並ぶ

25年前、この愛らしいカップはうつわの目利きたちに注目され、たちまち世に広まった。いまでも注文が絶えないが、鈴木さんは変わることなくひたむきに、ろくろを回し続ける。

「お客さんがうれしそうにカップを抱えてお店から出ていく姿を見るのが大好きで。その光景を思い浮かべながら作陶しています」

“変わらない”美しさを愉しむ
ピジョンカップ

鈴木さんの名を世に知らしめたピジョンカップは、ホーローのようなつるりとした質感が特徴。どこかオリエンタルな雰囲気で、時を超えて人々に愛されている。定番の白井カップのほか、牛柄の「Mow」シリーズや、キャンドルを灯して楽しむ「透光」シリーズも展開。

価格|2530円 サイズ|Φ77×H68㎜ 重量|130g

ピジョンカップ(小)
お客の声から誕生したスモールカップ。ちょっと飲みたいときにちょうどいいサイズ。デザートを盛りつけたり、花器としても。

価格|3520円 サイズ|Φ94×H87㎜ 重量|220g

ピジョンカップ Mow(中)
白化粧したカップに模様を施した、牛柄のカップ。これでカフェオレを飲んだら、ミルクがいっそう美味しく感じられるかも!?

価格|4180円 サイズ|Φ95×H85㎜ 重量|180g

透光ピジョンカップ
透光性のある陶土を使用。カップの中でキャンドルを灯すと、オレンジ色の優しい光が透けて見える。癒されたい夜におすすめ。

一つひとつのかたちと、絵柄の違いを愉しむ
干支のフェーブ(巳)

フェーブとは、フランスの伝統菓子の中に入っている陶器製のラッキーアイテム。鈴木さんもさまざまなフェーブをつくっていて、来年の干支「巳」にちなんだ蛇もある。背中のゴツゴツした感じや首のくびれ加減がなんともリアル! 表情違いで飾ってもかわいい。

価格|990円〜 サイズ|W30×D28×H35㎜ 重量|15g

干支のフェーブ(巳)
手のひらに収まる極小サイズ。鱗の質感や、首を傾けたときの姿も本物そっくり。愛嬌たっぷりで見ていて飽きない。一つひとつ、柄も表情も違うので、選ぶ時間も楽しい。

『鈴木環 ピジョンカップと干支のフェーブ展』につきまして、初日の12月21日(土)は入店制限を実施させていただきます。入店整理券については、規定のお申し込み数に達したため、整理券の配布は終了いたしました。

当日の入店制限が解除される時間、その他最新情報については、ショップのInstagramにてご案内をさせていただきます。
>>Instagramアカウントはこちら(@discoverjapan_lab

お客様には大変ご不便をおかけいたしますが、混雑緩和・安全対策のためご了承のほど宜しくお願いいたします。

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鈴木 環 ピジョンカップと干支のフェーブ展
会期|12月21日(土)~12月22日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※初日に整理券配布予定です。
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。

text: Misa Hasebe photo: Yuko Okoso
2025年1月号「ニッポンのいいもの美味いもの」

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