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《宇宙事情Q&A》
アルテミス世代の宇宙飛行士、誕生へ
日本の宇宙開発を探る旅 Part 4

2022.10.3
《宇宙事情Q&A》<br><small>アルテミス世代の宇宙飛行士、誕生へ<br>日本の宇宙開発を探る旅 Part 4</small>
©JAXA/NASA

「アポロ計画」以来となる月面着陸を目指してNASAが進めている「アルテミス計画」。現在、日本でも月探査プログラムなどに携わるアルテミス世代の宇宙飛行士を選抜中だ。人類の探究心は宇宙へ、月へ、そしてその先へ……世界でもトップクラスにある日本の宇宙開発技術から、進行中の宇宙開発計画、宇宙に挑んできた人類の歴史などをPart1からPart8に分けて探っていく。

Part3〜5では、宇宙に挑んできた人類の歴史から宇宙飛行士の日常まで、いまこそ知りたい日本の宇宙事情を探る。

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いまこそ知りたい
ニッポンの宇宙事情Q&A
<宇宙開発編>

Q 宇宙開発はいつから進められているの?
A 天文学の発展から、20世紀ロケット工学の基礎ができて今日に至ります

【望遠鏡の発明〜国際宇宙ステーション(ISS)ができるまでの主な出来事】
1668
ニュートンが反射望遠鏡の1号機を発明(イギリス)
1675
グリニッジ天文台創設(イギリス)
1783
モンゴルフィエ兄弟が搭乗した熱気球が25分間で8㎞飛行することに成功(11月21日)。 史上初の有人飛行となった(フランス)
1894
ローウェル天文台創設(アメリカ)
1897
コンスタンチン・ツィオルコフスキーが、ロケットの噴射と速度の公式「ツィオルコフスキーの公式」を発表(ロシア)
1903
ライト兄弟が世界初の動力飛行機を発明(アメリカ)
1915
アインシュタインが一般相対性理論を完成させる
1919
国際天文学連合設立
1926
ロバート・ゴダードにより、人類初の液体燃料ロケットが打ち上げられる(アメリカ)
1928
第3回国際天文学連合総会で、88星座を制定
1957
世界初の人工衛星「スプートニク1号」の打ち上げに成功(ロシア)
1958
米国初の人工衛星「エクスプローラー1号」の打ち上げに成功(アメリカ)
アメリカ航空宇宙局(NASA)設立
1960
世界初の気象衛星「タイロス1号」の打ち上げに成功。
宇宙から地球の雲の画像を撮影(アメリカ)
1961
ユーリ・ガガーリンが搭乗した「ボストーク1号」が人類初の有人宇宙飛行を成功させ「地球は青かった」の名言が誕生(ロシア)
ジョン・F・ケネディ大統領が月着陸計画(後のアポロ計画)を宣言(アメリカ)

©NASA
1961年5月、ケネディ大統領の提唱によって、月への有人宇宙飛行を目指すアポロ計画が始動。’69年7月20日、アポロ11号が「静かの海」への着陸に成功し、人類がはじめて月面に降り立った

1969
「アポロ11号」による有人月面着陸に成功、天体からの人間の帰還に成功(アメリカ)
1971
長期滞在型宇宙ステーションである「サリュート1号」の打ち上げに成功(ロシア)
1972
ニクソン大統領がスペースシャトル計画を決定(アメリカ)
「アポロ17号」の打ち上げにて最後の月面着陸を果たす
1973
NASAによる地球軌道を周回する大型宇宙ステーションを建設するスカイラブ計画の実施(アメリカ)
1975
NASAによる初の国際合同有人ミッション「アポロ・ソユーズテスト計画」の実施(アメリカ・ロシア)

©JAXA/NASA
スペースシャトルは、NASAが開発した世界初の再使用型宇宙往還機。ロケットのように打ち上げられるが、飛行機のように着陸でき、反復利用できるところがロケットとは異なる。1981年から2011年まで135回打ち上げられた

1981
スペースシャトルの第一回ミッション「コロンビア」の打ち上げに成功(アメリカ)

©NASA
ISSは「きぼう」日本実験棟をはじめ各国の実験モジュールや居住モジュールなど複数のパーツで構成されている。「ザーリャ」の打ち上げ以降、40数回に分けて打ち上げたパーツを宇宙空間で組み立て、2011年7月に完成した

1998
ISSの組み立て開始。「ザーリャ」(基本機能モジュール)が打ち上げられた(アメリカ・ロシア)
2011
40数回に分けての打ち上げ、組み立てを経て、ISSが完成

日本独自のロケット開発〜
「きぼう」日本実験棟が
できるまでの主な出来事

1955
東京大学生産技術研究所が、国分寺市本町一丁目の南部銃製造所(現早稲田実業学校)で、日本初のロケット発射実験を行う
1964
東京大学に宇宙航空研究所設立

©JAXA
「おおすみ」は、ミューロケットによる人工衛星打ち上げ技術の習得と、衛星の工学的試験を目的として開発された。1966年の1号機から4度の失敗を経て打ち上げに成功。軌道に乗って地球を周回した

1970
日本初の人工衛星「おおすみ」の打ち上げに成功
1975
米国のデルタロケットの技術を導入し、「N-I」ロケットの開発・運用を開始
液体燃料ロケットで技術試験衛星I型「きく」の打ち上げに成功
1977
技術試験衛星II型「きく2号」の打ち上げに成功。日本初の静止衛星となった
1981
「N-II」ロケットの運用開始
1985
日本初の人工惑星、ハレー彗星探査機「さきがけ」の打ち上げに成功
1986
日本初の液体水素ロケット「H-I」の運用開始
1990
初の商業宇宙飛行が実現。ジャーナリスト・秋山豊寛さんが世界初の民間人宇宙飛行士として日本人初の宇宙飛行を実現させた

©JAXA/NASA
毛利さんは日本人科学者初のペイロードスペシャリスト(搭乗科学技術者/PS)。1998年にはNASAのミッションスペシャリスト(搭乗運用技術者/MS)の資格を取得し、2000年にMSとして再び「エンデバー号」に搭乗した

1992
毛利衛飛行士が日本人ではじめてスペースシャトル「エンデバー号」に搭乗
1994
国産化率100%のロケット「H-II」の運用開始
1997
宇宙ステーション補給機「こうのとり」の開発を開始
2001
日本の基幹ロケット「H-IIA」の初号機打ち上げに成功
2003
宇宙開発事業団、宇宙科学研究所、航空宇宙技術研究所が統合し、宇宙航空研究開発機構(JAXA)が発足
小惑星探査機「はやぶさ」の打ち上げに成功
2008
「きぼう」日本実験棟の最初のモジュール(船内保管室)の打ち上げに成功、組み立て開始

©JAXA/NASA
「こうのとり」はISSのロボットアームで結合された後、食糧や衣類、実験装置など最大6tの物資を補給。補給後は、用途を終えた不要品を積み込み、大気圏へ再突入する。船内用・船外用のどちらの物資も大量に輸送できるのが特徴

2009
無人の物資補給機、宇宙ステーション補給機「こうのとり」技術実証機(1号機)の打ち上げに成功

参考文献:JAXA「日本の宇宙開発の歴史[宇宙研物語]」(www.isas.jaxa.jp/j/japan_s_history)、『「もしも?」の図鑑 宇宙の歩き方』渡辺勝巳監修・著(実業之日本社)、『ビッグバンから137億年 宇宙の進化がわかる事典 銀河系・太陽系・地球のなりたち』縣 秀彦監修(PHP研究所)、『宇宙探査機 ルナ1号からはやぶさ2まで50年間の探査史』フィリップ・セゲラ著、川口淳一郎監修、吉田恒雄訳(飛鳥新社)、宇宙こぼれ話「宇宙開発の現状と未来(第3回)」コスモテック代表取締役社長 虎野吉彦(www.cosmotec-hp.jp/column)(順不同)

 

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日本の宇宙開発を探る旅

1|筑波宇宙センター 前編後編
2|宇宙事情Q&A 前編中編後編
3|宇宙のこれからを知る
4|種子島宇宙センター
5|日本科学未来館

text: Miyu Narita
Discover Japan 2022年9月号「ワクワクさせるミュージアム!/完全保存版ミュージアムガイド55」

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