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高知の美酒と美景を味わう旅
EXILE 橘ケンチ

2022.8.13
高知の美酒と美景を味わう旅<br><small>EXILE 橘ケンチ</small>

いまからワクワクが止まらない夏の旅計画。日頃から全国各地を拠点に活躍中の気になるアーティスト9人にも、この夏、旅に出るならどこへ? とうかがってみました。今回は、EXILEのパフォーマーでEXILE THE SECONDのリーダー兼パフォーマー、橘ケンチさんに夏旅スケジュールを伝授してもらいました!

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〈お話をうかがった方〉
橘 ケンチ(たちばな・けんち)
EXILEのパフォーマーで、EXILE THE SECONDのリーダー兼パフォーマー。現在、EXILEのデビュー20周年を記念したドームツアー「EXILE LIVE TOUR 2022 “POWER OF WISH”」を開催中。小誌にて日本酒にまつわる連載を担当

美酒と美景を味わう
高知県横断の旅

スノーピークおち仁淀川キャンプフィールドの、住箱-JYUBAKO-

仕事でもプライベートでも旅が大好きなのですが、この夏行きたいのは高知です。この5月に収録で訪れたばかりなのに、全然足りません(笑)。もう行きたくなっています。高知は自然が美しく食べ物が魅力的で、何より日本酒が美味しいので、夏休みは地酒蔵をめぐりたい。

僕は酒蔵を訪れる際、可能な場合は必ず造りを見学させていただき、造り手の方にお話をうかがいます。どういった土地で、どんな造り手の方が想いをもって醸していらっしゃるのか。その背景を学ぶことで、現地で飲むだけでも美味しいお酒の味わいがよりいっそう輝く。まさに地方の酒蔵めぐりの醍醐味です。そうした意味でも、古くより酒文化が根づいている高知は、18の酒蔵がどこも個性豊かなので行かない理由がない。お酒好きな仲間とともに訪れ、さらに高知ならではの美景や風土も楽しめたら最高ですね。

なるべく多くの酒蔵をめぐりたいので、出発は朝から。まず、高知龍馬空港から「美丈夫(びじょうぶ)」で有名な①濱川(はまかわ)商店へ向かいます。こちらは国内でも屈指の超軟水を仕込み水に使っていて、すっと入ってくるのに、しっかりとした芯の強さがあって酒質が清らか。幕末の志士・中岡慎太郎にちなんだ「美丈夫 SHINTARO」が印象に残っています。

濵川商店の酒造りの様子

続いて訪れるのは「文佳人(ぶんかじん)」の②アリサワ酒造。以前おじゃまさせていただいたとき、若女将の有澤綾さんがとにかく活発で元気をいただきました。この時期ならではの「文佳人 夏純吟 うすにごり」を飲みながら、今度はじっくりお話をうかがいたい。文佳人は、みずみずしく飲みやすいので日本酒に慣れていない人にもおすすめです。

さて、初日から飛ばすと後に響くので(笑)、最後は土佐が生んだ天才植物学者の「③高知県立牧野植物園」へ。ここは牧野博士が命名された、さまざまな植物が植栽されていて、五台山(ごたいさん)と調和したロケーションがジブリの森のようにファンタジック。建築家・内藤廣さんが設計した建物も素晴らしいので見どころしかないです。牧野博士の一生は、2023年前期に予定されている、朝の連続テレビ小説『らんまん』のモチーフになっているので、今後注目を集めるでしょうね。

宿泊は、仁淀川(によどがわ)沿いの「④スノーピークおち仁淀川キャンプフィールド」にある、建築家・隈研吾さんとスノーピークが共同開発した「住箱−JYUBAKO−」がいい。〝奇跡の清流〟と称されている仁淀川が目の前を流れていて、その日は夕涼みしながら川沿いで仲間とBBQ、翌朝は川沿いの散歩や川遊び……。想像しただけでワクワクします!

北浦橋から眺めた、仁淀川の風景

2日目は、宿から車で15分の「⑤司牡丹(つかさぼたん)酒場」に行きましょう。坂本龍馬と最も縁の深い由緒正しい酒蔵で、高知県では珍しい生酛(きもと)仕込み「かまわぬ」がおすすめです。クラシカルな蔵の雰囲気や周辺の街並みも風情豊かで、昔ながらの地域に根ざした地酒文化が体感できます。

その後は西進して四万十町にある「無手無冠(むてむか)酒造」へ。ここでぜひ飲んでほしいのが栗焼酎の「ダバダ火振」。四万十川の伝統的な鮎漁法「火振り」と人の集まる場所を意味する「駄馬」から名づけられたこの焼酎は、ほんのりとした栗の甘みが独特で、ロックでいただいたらすごく美味しい。高知は日本酒だけではなく、多彩な美酒が楽しめる懐の深さも魅力です。

この日の宿は「鰹乃國の湯宿 黒潮本陣」へ。土佐の食材をふんだんに使用した料理もさることながら、太平洋を一望できる露天風呂が最高です。海水をくみ上げて沸かした、汐湯の朝風呂を堪能した後、最終日に体験したいのは鮎釣り遊び。大自然に包まれながらゆったり過ごす贅沢な時間は、四万十川の夏ならではです。

そこから空港までの道程で立ち寄りたいのが「⑧酔鯨(すいげい)酒造」。以前に訪れた際、「土佐蔵」が美術館のようにモダンな建築で驚きました。機能性を重視し、最新技術を駆使したアプローチが魅力的で、独自の造りの美学に触れられました。土佐蔵限定酒が飲めるストアも併設されているので存分に楽しめます。

そして最後は、高知城の前にある「⑨ひろめ市場」で旅を締めくくる。ここは、多種多彩な郷土料理の飲食店が屋台のように軒を連ね、フードコートスタイルで食べ飲みできる〝酒のワンダーランド〟。昼間から地元の方々で賑わっている光景が圧巻です。お土産店もたくさんあるのもいい。

あと、もし縁があったらまた現地の人と酌み交わしたいですね。以前、宿毛市の方々とお酒の席をご一緒させていただいたのですが、車座になり大皿に盛りつけた「皿鉢料理」を囲みながら、お座敷遊びの「べく杯 ※」や「菊の花」に興じた夜が忘れられない……。人柄も温かく酒豪が多い高知は、何度でも訪れたいですし、皆さんもぜひ行ってみてください!


※「べく杯」は、こまを回して止まったときに、軸の向いている方向に座っている人が天狗やひょっとこなどの絵柄のおちょこにお酒を注いで飲み干す。おちょこは下に穴が開いているので飲み干さないと置けない。「菊の花」は、人数分のおちょこを盆に伏せて並べ、その中のひとつに菊の花を忍ばせ、囃子唄を歌いながら菊の花を引き当てた人がすべて飲み干す。

四万十川で行われる火振り漁の様子
酔鯨酒造にある土佐蔵の外観デザイン

旅のスケジュール

①濵川商店
住所|高知県安芸郡田野町2150
Tel|0887-38-2004
蔵見学|不可
https://bijofu.jp

②アリサワ酒造
住所|高知県香美市土佐山田町西本町1-4-1
Tel|0887-52-3177
蔵見学|可(要事前問合せ)

③高知県立牧野植物園
住所|高知県高知市五台山4200-6
Tel|088-882-2601
開園時間|9:00〜17:00(最終入園16:30)
料金|730円
www.makino.or.jp

④スノーピークおち仁淀川 キャンプフィールド
住所|高知県高岡郡越知町片岡4
Tel|0889-27-2622
料金|1棟2食付 1万7600円〜(税・サ込)
https://sbs.snowpeak.co.jp/ochiniyodogawa

⑤司牡丹酒造
住所|高知県高岡郡佐川町甲1299
Tel|0889-22-1211
蔵見学|可(要事前問合せ)
www.tsukasabotan.co.jp

⑥無手無冠酒蔵
住所|高知県高岡郡四万十町大正452
Tel|0880-27-0316
蔵見学|可(要事前問合せ)
https://mutemuka.com

⑦鰹乃國の湯宿 黒潮本陣
住所|高知県高岡郡中土佐町久礼8009-11
Tel|0889-52-3500
料金|1泊2食付1万5550円〜(税・サ込)
http://honjin.or.jp

⑧酔鯨酒造 土佐蔵
住所|高知県土佐市甲原2001-1
Tel|088-856-8888
蔵見学|可(要事前申込み)
https://suigei.co.jp

⑨ひろめ市場
住所|高知県高知市帯屋町2-3-1
Tel|088-822-5287
営業時間|10:00〜23:00、日曜9:00〜
定休日|不定休
https://hirome.co.jp

 

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illustration: Saki Machida
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