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大分県《別府温泉》
温泉×アートで心も身体も癒される
温泉地が復活を遂げた理由とは?

2025.4.2
大分県《別府温泉》<br>温泉×アートで心も身体も癒される<br>温泉地が復活を遂げた理由とは?

かつての賑わいを取り戻そうと、リブランディングを実施する温泉地が全国で増加中。その地の歴史や伝統を踏襲しつつ、アートや建築、食など独自の見どころを創出し、新しい魅力を生み出している。生まれ変わりゆく温泉地を、その目で確かめよう。

大分県の別府温泉が、温泉地の新しい価値として生み出した「アート」とは?別府温泉で今行くべき、アートと温泉の組み合わせもご紹介。

温泉×アートが温泉地の新たな魅力に

浴衣に着想を得た桜や椿の花柄が駅前通りのビルの壁を覆う『温泉花束(ブーケ)』。 巨大な絵画を公共空間に生み出すマイケル・リン氏の作品
撮影=山中慎太郎(Qsyum!)©混浴温泉世界実行委員会

世界一の源泉数を誇る大分県の別府温泉郷。8世紀はじめの『伊予国風土記いよのくにふどき』にも記されるほど長い歴史をもつ、日本を代表する温泉地だ。10種類に分類される泉質のうち7種類があり、「鉄輪かんなわ温泉」や花街の面影をとどめる「浜脇温泉」などの「別府八湯」をめぐれば、多彩な泉質とともにノスタルジックな街並みやのどかな自然も感じられる。

米国の現代彫刻家トム・フルーイン氏の『ウォータータワー10:別府市、2023』。県内で集めたアクリルがカラフルなステンドグラスのよう
撮影=山中慎太郎(Qsyum!)©混浴温泉世界実行委員会

その温泉地に、新しい価値を生み出しているのが「アート」だ。大分県出身のアーティスト・山出淳也氏が、まちおこしのために立ち上がった市民有志の活動に共鳴し、2005年にアートNPO「BEPPU PROJECT」を設立。

別府現代芸術フェスティバル「混浴温泉世界」をはじめ、地域住民や自治体とともに数々の芸術祭やアートイベントを開催。長期滞在しながら創作活動を行うアーティストも毎年受け入れている。

ホテル屋上看板には国際的なアーティスト・サルキス氏の『別府の天使』が。虹色の光が作家の呼吸のリズムを基にした8秒ごとに明滅する
撮影=山中慎太郎(Qsyum!)©混浴温泉世界実行委員会

共同温泉をはじめとした地域住民の暮らしとアートが自然に共存するかたちでまちづくりが進んでいるいまの別府。

アートホテル「ガレリア御堂原」や、温泉を軸としたエンターテインメント施設「別府鉄輪 地獄温泉ミュージアム」など、新しい施設やショップも続々とオープン。

碁盤の目状に整備された道に路地が入り組んだ街を歩いて、情緒豊かな街並みのあちらこちらでアートや新しい店を発見する楽しみがある。

ご近所同士! おすすめセットで別府を愉しんでみて

〈清島アパート×末広温泉〉

清島アパート
戦後すぐに建てられた22室のアパートがアーティストの住居兼制作アトリエに。1年交代でアーティストが入居し、多様な企画も開催。

住所|大分県別府市末広町2-27
見学|可(2営業日前までに要問い合わせ)
Tel|0977-22-3560(BEPPU PROJECT)

末広温泉
地元の人が憩う共同浴場。浴室内には、清島アパートで暮らした日本画家・大平由香理氏による由布岳と鶴見岳の壁画が描かれている。

住所|大分県別府市末広町4-20
Tel|090-1530-2387
営業時間|7:00~11:00、14:00~22:00
定休日|毎月15日
料金|200円

 

〈SELECT BEPPU×竹瓦温泉〉

SELECT BEPPU
「別府のまちのミュージアムショップ」をコンセプトに地元作家や企業の商品を扱う。2階にマイケル・リン氏の襖絵作品を展示。

住所|大分県別府市中央町9-34
Tel|0977-80-7226
営業時間|ウェブサイトを要確認
定休日|火・水曜(祝日の場合は営業)
ウェブサイト|www.selectbeppu.com

竹瓦温泉
唐破風造の屋根の豪華な外観は別府温泉のシンボル的存在。普通浴場のほか名物の砂湯もある。

住所|大分県別府市元町16-23
Tel|0977-23-1585
営業時間|普通浴6:30~22:30、砂湯8:00~22:30(最終受付21:30)
定休日|第3水曜(祝日の場合は翌日休)
料金|大人300円、子ども100円

 

〈別府鉄輪 地獄温泉ミュージアム×鉄輪むし湯〉

別府鉄輪 地獄温泉ミュージアム
温泉が生成されるメカニズムや別府温泉の歴史を学べるミュージアム。ショップスペースも。

住所|大分県別府市鉄輪321-1
Tel|0977-84-7858
営業時間|9:00~18:00(最終入場17:30)
定休日|不定休
料金|大人1500円、中小生1000円
ウェブサイト|https://jigoku-museum.com

鉄輪むし湯
鎌倉時代から続く蒸し風呂。清流沿いにしか群生しない薬草「石菖(せきしょう)」を敷き詰めた石室に横たわる、原始のサウナ体験をぜひ。

住所|大分県別府市鉄輪上1
Tel|0977-67-3880
営業時間|6:30~20:00(最終受付19:30)
料金|700円(中学生以上が入浴可能)

 

〈浜脇の長屋×浜脇温泉〉

浜脇の長屋
築100年以上経つ長屋を改築した宿泊施設。「アートに泊まる」をコンセプトに、『白い箱』と『天空の庭』という趣の異なる2部屋がある。

住所|大分県別府市浜脇1-10-3957-3
Tel|0977-22-3560(BEPPU PROJECT)
料金|1泊素泊まり9000円~(税・サ込)

浜脇温泉
鉄輪と並び別府温泉発祥の地とされる。市営温泉では珍しく深夜まで営業し地域に密着。

住所|大分県別府市浜脇1-8-20
Tel|0977-25-8118
営業時間|6:30 ~翌1:00(14:00~15:00は清掃のため入浴不可)
定休日|第3月曜(祝日時は変更の場合あり)
料金|大人200円、子ども100円

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text: Miyo Yoshinaga
2025年3月号「ニッポンのまちづくり最前線」

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