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京都・南條工房《LinNe/リンネ》
⼼に響く、佐波理おりんの⾳⾊を届ける。

2022.2.2
京都・南條工房《LinNe/リンネ》<br><small>⼼に響く、佐波理おりんの⾳⾊を届ける。</small>

京都で創業190年余り、祇園祭や各地の囃子鉦・鳴物神仏具を専門に製造してきた南條工房が立ち上げた『LinNe/リンネ』。素材は「佐波理(さはり)」という銅と錫の合金のみを使い、代々受け継ぐ⼯房独自の配合率と伝統的な薪を用いた鋳造法「焼型鋳造」で素材の特性を⽣かし、⼆つとない⾳⾊を⽣み出す。そんな南條工房による⼼に響く“佐波理おりんの⾳⾊”とは・・・・・・。

代々、佐波理製の鳴物神仏具を専⾨に制作している⼯房

配合し溶かした佐波理の不純物を取り除く様子

LinNeを製造する南條工房は、創業190年余りの歴史と共に培われた伝統の技術と⼯房独⾃の配合による素材「佐波理(さはり)」を⽤いて、鳴物神仏具といわれる神社仏閣や家庭で使⽤する⾳の鳴る神具(祇園祭の囃⼦鉦や雅楽の鉦など)や仏具(おりんや伏鉦など)を専⾨に制作してきた国内で数少ない⼯房。

佐波理を溶解する炉の様子
サラサラに溶けた佐波理を鋳型に流し込む様子

⾳⾊の素「佐波理(さはり)」
佐波理とは、銅に錫を多量に含ませた合⾦を指し、古くは正倉院宝物にも⽤いられている。響きと⾳⾊が良いことから「響銅(きょうどう)」とも呼ばれ、⾮常に鋳造が難しい合⾦。

古くから佐波理の⾳⾊には、魔を払い浄める⼒があると信じられてきた。佐波理の配合率は通常、銅80~85%、錫15~20% といわれているが、南條工房では⾳⾊の良さを最⼤限に引き出すために研究を重ね、五代⽬・南條勘三郎が独⾃の配合率を⽣み出した。

窯から出した鋳型、中心の色を見て冷め具合を見極める

⾳⾊を作る「伝統の焼型鋳造」
焼型鋳造法とは、鋳型を1つ1つ鋳物⼟・粘⼟・籾殻をこねたもので作り、天⽇で乾燥させた後、窯に⼊れ、薪を焚いて焼き上げてから、⼀度適温まで冷まし、そこに溶かした佐波理を流し込むという⽅法。

そして佐波理の鋳造には、昔ながらの薪を使った「焼型鋳造法」が⼀番適しているとされてきた。南條工房は、佐波理製の鳴物を伝統的な薪を⽤いた焼型鋳造法で製作する国内で唯⼀の⼯房だ。

轆轤を使い仕上げの削りをする様子
何度も叩き音色を確認している様子

⾳⾊を仕上げる「切削加⼯」
鋳造した佐波理の鋳物は、⾮常に硬くそのままで加工すると割れてしまうため柔らかくする熱処理を施す。柔らかくした鋳物を⼿作業で削りと磨きを繰り返し⾳⾊を調整。削り終わった鋳物を、硬くもどすためにもう⼀度熱処理を施し⾳⾊を仕上げる。

真の⾳がブレていないか、余韻がしっかり響くか、などおりんを何箇所も叩き⾃⾝の⽿で⾳を確認して、⼯房として納得の⾳⾊に仕上がっているかを検品し、唯⼀無⼆の⾳⾊をつくり上げる。

無駄のない材料の使い⽅と⼯程
鋳造後、おりんを取り出した鋳型は繰り返し使えないため、細かく粉砕し、ふるいにかけて土に戻し、鋳型作りに再利⽤する。鋳物を削った時に出る削りカスや⾳⾊に納得のいかない不良品は、鋳造時に溶かし素材として再利⽤。

また鋳型作りで⼟をこねるために使⽤する⽔は、⼀年を通して溜めた⾬⽔を利⽤している。先人が築いたこのような材料の使い⽅や⼯程を受け継ぎ続けることで、⼯房の廃棄物を極⼒減らすように⼼がけている。

あたらしい商品開発のための挑戦

南條工房・七代目の南條和哉さんは、2018年、商⼯会の販路開拓セミナーに参加したことがきっかけで、⽇吉屋の⻄堀⽒に出会い、「JAPAN BRAND PRODUCE SCHOOL」開校を知り参加。それまで商品を新しく開発することについて、何から始めたら良いかもわからず、デザイナーやプロデューサーとの繋がりもなかったため、そのような協⼒者をみつけることが難しく、また協⼒者の⽅がどのような考えを持って⼀緒に開発していくのかをこのスクールで学び知りたいと思い参加したそうだ。

そして⼀年間、セルフプロデュースをするという⽬標でいろいろと学び、同時期に「京都職⼈⼯房」という職⼈を⽀援する団体にも参加し、商品開発ゼミやライティング、デザイン、など⾃⾝のスキルアップをするための講座を受けたり、他業種との交流をした。

そして2019年3月、「もっと身近におりんの音色を楽しんでほしい」という想いから佐波理製鳴物製品のブランド「LinNe」を立ち上げ、自由な用途で使えるおりんのプロダクトを開発。そのほか、サウンドアーティストや作曲家へのおりんの提供やコラボレーション、Apple京都でのワークショップの開催など工房が生み出す音色の発信をしている。

南條工房・七代目
南條和哉(なんじょう・かずや)
鳴物鋳物師。職人歴20年目。1979年 京都市生まれ。1997年 高校卒業後、飲食店に就職 料理の道を目指す。2003年、(有)南條工房に入社。2011年 、京もの認定工芸士(京仏具)認定。2019年、佐波理製鳴物製品のブランド「LinNe」を立ち上げる。2021年、京ものユースコンペディション グランプリ受賞。

⾳⾊を作り届けることで繋がる世界

LinNeを⽴ち上げたことで、今まで仏具のカテゴリーでは届かなかった⼈たちに⾳⾊を聞いてもらえる機会が⽣まれ、⾳⾊の魅⼒を発信することで、現代のライフスタイルにも取り入れやすくなった。

澄んだ⾳⾊と美しい余韻を、⽇々の暮らしのなかで⾃由に楽しむことで、⾳⾊が⼼に寄り添い豊かな時をつくる。また⾳⾊を知ることで、仏具についての知識や伝統の技術、仏教などに興味をもっていただけるきっかけにも繋がっていく。

南條さんはこの活動を通じて後継者の育成の問題解決にも繋げていければと考えている。2022年には、⼯房横に⾳⾊の魅⼒と提案を体感するためのショップをオープン予定。ファクトリーツアーを開催し、素材や伝統技術の認知に努め、地域の観光にも貢献できる店づくりを目指している。

⾳⾊から⽣まれる
さまざまなコラボレーション

サウンドアーティストとのコラボレーション「CYCLEE」江島 和臣 & 武田 真彦(サウンド・インスタレーション作品、2020年)

⾳⾊の魅⼒を発信することで、サウンドアーティストや作曲家、企業に興味をもってもらいコラボレーションする機会が⽣まれ、アップルストア京都でのiPadでおりんの⾳⾊を使ったワークショップの開催。サウンドアーティストと共同でインスタレーションを制作。作曲家や演奏家へのおりんの提供、協賛や、ホテルのBGM制作のための⾳⾊の提供をしてきた。

音色の新しいカタチ、
伝統の技術と素材が織りなすおりん
「LinNe Myo(リンネ ミョウ)」

⼼に響く「佐波理おりんの⾳⾊」を、もっと身近に自由に楽しむための「おりん」。それが「LinNe Myo(リンネ ミョウ)」。やさしく叩くと澄んだ音色と美しい余韻が響く。

おりんを叩いて音を鳴らしたあとに、りん棒を置くことに気を使わなくてもいいように、りん棒の置き場所が決まっている。そしてマグネットでくっつく仕組みにもなっている。

価格|3万5200円
カラー|辛子、浅葱、鼠、桃
カタチ(テーマ)|hou(リフレッシュ)、sui(コンセントレーション)、enn(リラックス)

そのほかにも

左から) Chibi(M)菊結び、Chibi(M)二重叶結び、Chibi(S)相生結び

Chibi(M)菊結び
直径3センチ弱の「佐波理」製の小さなおりん。軽く振ることで深みのある、やさしい響き。 吊るすだけでなく、つまんでベルのように振ることもできる。京都の宇治にある「昇苑くみひも」で組み上げた「正絹 唐打」というくみひもを使い、「菊結び」で結んでいる。

Chibiは、くみひもの上部を持って振って頂いてもあまり鳴りません。くみひもの結び(相生結び・菊結び・二重叶結び)部分を持って頂き、軽く振って頂くといい音色が鳴り響きやすくなります。

Chibi(M) 二重叶結び
直径3センチ弱の「佐波理」製の小さなおりん。軽く振ることで深みのある、やさしい響き。 吊るすだけでなく、つまんでベルのように振ることもできる。 京都の宇治にある「昇苑くみひも」で組み上げた「正絹 唐打」というくみひもを使い、「二重叶結び」で結んでいる。

価格|1万6500円
カラー|赤・黒・黄色・ピンク

Chibi(S)相生結び
直径約2センチ弱の「佐波理」製のすごく小さなおりん。小鳥のような、可愛いらしい響き。 紐を長めにとっているので、つるしたり、結び付けたりもしやすい形。京都の宇治にある「昇苑くみひも」で組み上げた「正絹 唐打」というくみひもを使い、「相生結び」で結んでいる。

価格|1万4850円
カラー|赤・黒・黄色・ピンク
※すべて税込
※手作りのため一つひとつサイズ・色等に多少の違いがある。

朝の目覚めやおやすみ前の安らぎ、出発前や帰宅時の気持ちの切り替えなど、いろんなシーンで奏で、音色を楽しめる「LinNe Myo」をぜひ手にとってみてはいかが。

読了ライン

南條工房/LinNe
住所|京都府宇治市槙島町千足42-2
Tel/Fax |0774-22-2181
WEBページ| https://linne-orin.com/
Instagram|https://www.instagram.com/linne_orin/
YouTube|https://www.youtube.com/channel/UCpvmvGGBHN68xwr0Uu1tpqA

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