サウナーが選ぶ、九州のサ旅
ととのえ親方 松尾 大
いまからワクワクが止まらない夏の旅計画。日頃から全国各地を拠点に活躍中の気になるアーティスト9人にも、この夏、旅に出るならどこへ? とうかがってみました。今回は、実業家兼プロサウナーの通称「ととのえ親方」、松尾 大さんに、夏旅スケジュールを伝授してもらいました!
〈お話をうかがった方〉
松尾 大(まつお・だい)
実業家兼プロサウナー。2017年にプロサウナー専用ブランド「TTNE PRO SAUNNER」、’19年に「日本サウナ学会」を友人と設立。「ととのえ親方」の愛称で親しまれ、第3次サウナブームをポップカルチャーに昇華させた
福岡、佐賀、大分をめぐる
極上サウナと知られざる秘湯の旅
真夏にサウナ? 意外に思われそうですが、実はすごくいいんです。僕は北海道で生まれ育って、いまも拠点があるから、都市部のベトベトする中途半端な暑さが大嫌いなんですが、80℃帯のサウナに入った後はどこに行っても涼しく感じるし、水風呂の気持ちよさも違う。夏休みの旅なら〝サ旅〟一択ですが、この夏に行くなら、サウナ界で最も〝熱い〟九州を、サウナに加えて知られざる秘湯も合わせてめぐりたい。
朝イチの飛行機で福岡空港に着いたら、レンタカーを借りて目指すのは「①サウナ&カプセルホテル ウェルビー福岡店」。代表の米田行孝さんは、日本のサウナ界のゴッドファーザーと呼ばれている傑人で、3種類のサウナが楽しめることはもちろん、フィンランドの外気を体験できるアイスサウナをつくったりと、フィンランド式サウナへの本気度合いがケタ違いにすごい。ここでまず飛行機の気圧を抜いて、しっかりととのえます。
お昼ごはんの定番は、近くにある「②味の正福」がおすすめ。地元の人に愛されている食堂で、魚は何を食べても美味しいんだけど、「こんなの食べたことない」ってくらい濃厚で、ステーキみたいにジューシーななすみそは特に絶品! 僕はいつも、銀だらの西京焼き定食に、単品でなすみそを付けていただきます。午後は、博多湾沿いに南下して福岡・糸島市のキャンプ場「③HIDEAWAY sunset camp」へ。ここには日本でも有数のログハウスサウナがあって、驚くほどぶっとい楠の丸太のサウナは世界を探してもほとんどない。それを数カ月かけてDIYでつくったのもすごいし、なんといっても山をバックに目の前が海という最高のロケーション! サウナに入った後にそのまま飛び込んだら、ほんの40分前まで都会にいたことを忘れるくらい大自然の気持ちよさを体感できます。デイキャンププランで貸切にできるのもいい。
玄界灘に沈む美しい夕陽を眺めた後は、さらに南下して1泊目の宿「④御船山楽園ホテル」へ向かう……んだけど、道中にある「⑤鮨処 つく田」も行きたいなァ。ここは全国から美食家が集まる、まさに名店中の名店。ちょっと贅沢な旅を楽しみたい人にはおすすめです。
300万年前に生まれた佐賀・御船山の神聖な森に建つ、御船山楽園ホテルの「らかんの湯」は、サウナシュランで3年連続グランプリに輝いた最高峰のサウナで、その魅力は言わずもがな。昨年新設されたばかりの世界最大級の薪ストーブサウナを堪能した後は、ホテル併設のレストラン「kaji synergy restaurant」で佐賀食材の美食をコースで味わってほしい。中でも、薪でじっくりと焼いたメインの佐賀牛は格別です。さらにこのホテルでは、夏から秋にかけて、アートコレクティブ「teamLab」のデジタルアート作品『かみさまがすまう森』を森の中に展示しているから、訪れるならこれからの時期が絶対にいい。夜に散策すると幻想的な世界観に浸れますよ。
2日目は、前日と男女で入れ替わった“朝ウナ”からスタート。僕自身のサ旅ではサウナをとことん楽しみたいから、朝と夜で入れ替え制の宿を選ぶのがポイントです。
ホテルをチェックアウトしたら、九州を横断しながら目指すは大分県竹田市。まずは「⑥湧水茶屋」で、出来たてのみずみずしい豆腐を満喫してから「⑦ラムネ温泉館」へ。このあたりの長湯温泉エリアは、世界でも有数の炭酸泉が湧き出る温泉郷で、中でもラムネ温泉では、建築家・藤森照信さんのファンタジックな建築デザインの中で湯浴みが楽しめます。さらに、日本一の高濃度炭酸泉といわれている共同浴場「⑧七里田温泉館」の「下湯・ラムネの湯」も外せない。入浴した瞬間から尋常じゃないくらいの泡立ちで、夏は湯温が高くないからずっと浸かっていられるほど気持ちがいいんです。
旅の最後を締めくくるのは、大分・九重町の「⑨山の宿 霊泉 寒の地獄旅館」。江戸時代末期に開湯した歴史深い秘湯なんだけど、夏限定の冷泉入浴がとにかくすごい! 硫黄泉なのに透明度が高く、13〜14℃の温度帯で骨の髄まで冷やしてくれて、ここには水風呂の神さまが宿っていますね。暖房室との冷温浴の気持ちよさは唯一無二。ちなみに、僕が日本で一番好きな水風呂だから、直談判して9月以降にTTNEプロデュースのサウナを併設する予定です(笑)。まだ広く知られていないから、いまのうちにぜひ体験してほしいですね。
ほかにも、長崎のカプセルホテル「サウナサン」や熊本のスーパー銭湯「湯らっくす」など、九州には魅力的なサウナが、まだまだたくさんある。僕のとっておきの夏休み計画を追体験してもらいたいのはもちろん、この夏は自分だけのサ旅を楽しんでください!
旅のスケジュール
①サウナ&カプセルホテル ウェルビー福岡店
住所|福岡県福岡市博多区祇園町8-12 ロータリー大和2F
Tel|092-291-1009
料金|日帰り1500円〜
利用時間|宿泊14:00〜翌日12:00、日帰りサウナ利用5:00〜24:00
www.wellbe.co.jp/fukuoka
②味の正福 アクロス店
住所|福岡県福岡市中央区天神1-1-1 アクロス福岡B2F
Tel|092-712-7010
営業時間|11:00〜21:30(最終入店〜20:45)
定休日|木曜
https://masafuku.com
③HIDEAWAY sunset camp
住所|福岡県糸島市二丈福井2765
Tel|092-326-5211(Cafe inn ふくゐ)
料金|1泊朝食付1万2000円〜(税・サ込)、サウナ1万円〜
利用時間|日帰り 12:00〜15:00、15:30〜18:30
https://hideaway-sunsetcamp.com
④鮨処 つく田
住所|佐賀県唐津市中町1879-1
Tel|0955-74-6665
営業時間|12:00〜14:00(最終入店〜13:30)、18:00〜22:00(最終入店〜19:30)
定休日|月曜
⑤御船山楽園ホテル
住所|佐賀県武雄市武雄町武雄4100
Tel|0954-23-3131
料金|1泊2食付1万7050円〜(税・サ込、入湯税別)、日帰り4500円(屋内展示作品&サウナセット)
利用時間|宿泊15:00〜24:00、6:00〜10:30、日帰り15:00〜17:30、17:30〜20:00
www.mifuneyama.co.jp
⑥出来たて豆富 湧水茶屋
住所|大分県竹田市直入町大字下田北1385-5
Tel|0974-78-1755
営業時間|6:00〜17:00
定休日|火曜
https://yusuichaya.business.site
⑦ラムネ温泉館
住所|大分県竹田市直入町大字長湯7676-2
Tel|0974-75-2620
料金|500円 利用時間|10:00〜22:00
定休日|第1水曜
https://lamune-onsen.co.jp
⑧七里田温泉館
住所|大分県竹田市久住町大字有氏4050-1
Tel|0974-77-2686
料金|木乃葉の湯300円、ラムネの湯500円
利用時間|9:00〜21:00(最終受付20:00)
定休日|木乃葉の湯は第2火曜(※17:00〜20:00は営業)、ラムネの湯は無休 ※ラムネの湯は11月より改築工事予定
https://konoha.sichirida-onsen.com
⑨山の宿 霊泉 寒の地獄旅館
住所|大分県玖珠郡九重町田野257
Tel|0973-79-2124
料金|1泊2食付1万4850円〜(税・サ込、入湯税別)、温泉700円、冷泉700円〜
利用時間|日帰り/温泉10:00〜14:00(金〜火曜)、冷泉9:00〜17:00(木〜火曜)
休館日|水曜
http://kannojigoku.jp
美味しい朝ごはんを探す旅
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illustration: Saki Machida
Discover Japan8月号「美味しい夏へ出掛けよう!」