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《冨田酒造》天文年間創業の老舗酒蔵
空間コーディネーター・石村由起子さんが行く
“発酵”と“食”でととのう滋賀旅

2022.5.3
《冨田酒造》天文年間創業の老舗酒蔵<br><small>空間コーディネーター・石村由起子さんが行く<br>“発酵”と“食”でととのう滋賀旅</small>

旅の最初に訪れたのは、約480年の歴史をもつ老舗の酒蔵、冨田酒造。琵琶湖の北端部に位置する滋賀県長浜市木之本にある。旧街道の趣が漂う家並みが残る町だ。

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湖北の地で醸される
テロワールが語れる日本酒

旧蔵内で、ひと際目を引く真新しい木桶は吉野杉製。2020年、2021年と2年続けてふたつの木桶を導入した
2016年、桶蔵を解体して建てた新々蔵。蔵内には11のタンクが並ぶ。蔵の土壁は、旧蔵の土壁だった土を練り直して再び壁に仕上げた

北大路魯山人が愛飲した日本酒「七本鎗」で知られる冨田酒造。力強さの感じられる冨田酒造の酒粕は、「湖のスコーレ」で提供するドリアや粕汁にも用いられている。

昔ながらの厳寒仕込みに徹する酒蔵は訪問時、まさに仕込みの真っ最中。木桶を使って仕込む新銘柄用の酒米が、蒸し上がったところに出合えた。

洗米された酒米は蒸し上げられ、いったん冷やしてから仕込まれる
3回に分けて原料を加える三段仕込みでは、適する蒸米の硬さかどうか“ひねり餅”を食べて都度必ず確認

15代目蔵元の冨田泰伸さんは、もともとワインメーカーの営業マンとして東京で働いていた。暇を見つけては海外のワイン産地を訪ねる中、フランスの醸造家らが、ブドウの生育する土壌について語る姿が印象に残ったという。テロワールと称され、ブドウの育つ土地や地形からその味わいが語られるワイン。日本酒でテロワールが語れたらカッコいい……そんな思いを抱いて家に戻り酒造りの道に入ったという。「米と水だけを原料とする日本酒は水こそがテロワール」。冨田酒造の仕込み水は奥伊吹山系の伏流水。米は地元篤農家による減農薬栽培が中心の4種類の酒米を使用。蔵をめぐりながら冨田さんの話を聞いた石村さんは「滋賀の未来は安心ね」とつぶやいた。

まるで子育てをするような感覚で、大切に酒を醸すという冨田さん。石村さんも仕込みのはじまった木桶にそっと手で触れてみる

七本鎗 木ノ環 木桶仕込 生原酒 (右)
2020年から再開された木桶仕込みの新ブランド。伝統の技に再び光を当て、次世代へ輪のようにめぐらせていきたいという思いから命名
1760円/720ml

七本鎗 無農薬 無有 生酛(左)
2010年登場の「無有」は無農薬米の玉栄を使った銘柄。同様の酒米を生酛造りで仕込んだこちらは、乳酸による幅のある豊かな味わい
2860円/720ml

冨田酒造
住所|滋賀県長浜市木之本町木之本1107
Tel|0749-82-2013
営業時間|9:00~18:00
定休日|不定休 ※醸造所見学不可
www.7yari.co.jp

 

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text:Makiko Shiraki(Arica Inc.) photo:Yayoi Arimoto
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