大忠堂《滋賀県大津市 》の「大津絵煎餅」
福田里香の民芸お菓子巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は、伝統的な大津絵の絵柄を焼印した大忠堂の「大津絵煎餅」を紹介します。
福田里香(ふくだ・りか)
菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。11年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中
2020年秋のこと。東京ステーションギャラリーで「もうひとつの江戸絵画 大津絵」展が開催されました。宣伝ポスターには大きく「欲しい! 欲しい! 欲しい!」と書かれ、鬼の大津絵が印刷されています。その大津絵に添えて小さく「【旧蔵者歴】渡辺霞亭⇒山村耕花⇒大原孫三郎⇒大原總一郎⇒柳宗悦」とあり、そうそうたる目利きと民藝運動関係者の名前が連なっていてびっくり。欲しい!を3回も重ねた惹句の意味がよくわかりました。
大津絵は滋賀県大津市・逢坂関の追分で発祥した民俗絵画で、江戸初期から東海道を行き交う旅人たちの土産物や護符でした。偉大な先人に倣って、本物の大津絵をコレクションするかどうかは別として、まずは「大忠堂」の「大津絵煎餅」をおやつに食べてみてはどうでしょう。「大忠堂」は1932(昭和7)年創業の地元大津の菓子舗です。
大津絵煎餅は、伝統的な大津絵の絵柄を焼印したお菓子。シンプルに砂糖と小麦粉、鶏卵で焼き上げたパリッと風味豊かな卵煎餅は、安心できる素朴な味わいです。
大忠堂 本店
住所|滋賀県大津市観音寺8-17
Tel|077-522-3204
営業時間|9:00〜18:00
定休日|日曜、祝日
www.daichudo.com
text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
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