福井県・坂井市
《オーベルジュほまち 三國湊》
北前船の歴史を感じる分散型宿泊施設
|北陸の名宿⑥
北陸新幹線の延伸によって、さらにアクセスがよくなった北陸エリア。老舗温泉旅館から注目のオーベルジュまで名宿を紹介するとともに、地元を知り尽くした主人や女将たちに、ローカルの魅力を教えていただきました!
今回は福井県・坂井市に今年1月にオープンしたばかりの分散型ホテル「オーベルジュほまち 三國湊」を紹介。客室ごとにテーマの異なるインテリアも魅力のひとつだ
趣のある町家で至極のフレンチに舌鼓を打つ
福井県の北部、九頭竜川の河口に位置し、江戸時代から明治時代にかけて北前船の寄港地として栄えた三国湊。江戸時代後期には豪商が現れ、遊郭番付表に「三國」の地名が掲載されるほど繁栄した港町だ。格子戸が連なる町家をはじめ、歴史を感じられる建造物がいまも多く残るこの町に2024年1月、「オーベルジュほまち 三國湊」がオープンした。
街一帯を宿泊施設としてとらえてつくられた分散型ホテルで、9棟ある宿泊棟、レストラン棟、フロント棟の全11棟が徒歩圏内に点在。妻入りの主屋の前面に平入りの建物を連結させた三国特有の建築様式「かぐら建て」の町家や、天井に立派な梁を残す蔵などが宿泊施設へとリノベーションされた。客室ごとに「三国祭」、「湯屋」、「武道」といったインテリアのテーマを設け、同じ客室はひとつもない。
滞在中の楽しみといえば、レストラン「タテルヨシノ 三國湊」で味わえる福井県産食材を使った美食の数々だ。国内で多くのレストランを監修し、フレンチの巨匠として名高い吉野建さんがプロデュース。豊富な食材が揃い、北前船とともに栄えた食文化が色濃い地域だからこそ、季節ごとに変化する味わいを求めて何度でもオーベルジュを訪れてほしい。
「オーベルジュほまち 三國湊」の旅案内
レストランで越前がにや甘海老など多くの魚介類を提供している通り、北前船の文化によって栄えた三国湊はさまざまな海の幸の宝庫です。そこで宿泊客におすすめしている店のひとつが「与平寿司」。鯖をぬか漬けにした福井の郷土料理・へしこの寿司や、甘海老をたっぷり使った押し寿司は、見た目も美しい逸品です。
小腹がすいているときには、地元名物·酒まんじゅうで有名な「酒万寿処にしさか」へ。江戸時代、大阪を経由して砂糖を運んできた北前船の船頭たちが三国湊に停泊した際に、地元の人たちに酒まんじゅうのつくり方を教えたのがはじまりだといわれています。
買い物を楽しむのであれば「三本日和」が人気。北陸でつくられたうつわや生活道具を扱うセレクトショップです。コンパクトな街の中に見どころが集結しているのが、三国湊の特徴でもあります。三本日和と同じ通りには、地元の豪商・森田家が創業した銀行の本店として1920年に建設された「旧森田銀行本店」も。西欧の古典主義的デザインの建築で有形文化財にも登録されています。
旅の最後には、日本名勝庭園指定の「瀧谷寺」へ。四季折々に変化する日本庭園は、いつまで見ても飽きない美しさです。
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「角屋旅館」
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オーベルジュほまち 三國湊
住所|福井県坂井市三国町南本町3-4-39(フロント)
Tel|0776-82-0070
客室数|16室
料金|1泊2食付4万円〜(税・サ込)
カード|AMEX、DINERS、JCB、VISA、Masterなど
IN|14:00
OUT|11:00
夕食|フレンチ(レストラン)
朝食|フレンチ(レストラン)
アクセス|車/北陸自動車道丸岡ICから約30分 電車/JR芦原温泉駅から車で約20分
施設|レストラン、フィットネスルーム
www.homachi.jp
与平寿司
住所|福井県坂井市三国町神明2-1-20
Tel|0776-82-0273
営業時間|11:30〜21:00
定休日|水曜
酒万寿処にしさか
住所|福井県坂井市三国町北本町4-2-14
Tel|0776-82-0458
営業時間|9:00〜18:00(なくなり次第終了)
定休日|木曜
三本日和
住所|福井県坂井市三国町北本町4-4-16
Tel|0776-92-0301
営業時間|11:00〜17:00
定休日|水曜
旧森田銀行本店
住所|福井県坂井市三国町南本町3-3-26
Tel|0776-82-0299
開館時間|9:00〜17:00
休館日|月曜
瀧谷寺
住所|福井県坂井市三国町滝谷1-7-15
Tel|0776-82-0216
拝観時間|8:00〜17:00(最終受付16:30)
拝観料|500円
01|石川県・加賀市「あらや滔々庵」
02|石川県・加賀市「べにや無何有」
03|石川県・小松市「Auberge“eaufeu”」
04|富山県・砺波市「楽土庵」
05|富山県・氷見市「SAYS FARM」
06|福井県・坂井市「オーベルジュほまち 三國湊」
07|新潟県・阿賀野市「角屋旅館」
text: Akane Sato
Discover Japan 2024年5月号「進化するホテル」