石川県・小松市《Auberge“eaufeu”/オーベルジュ オーフ》
石川の恵みを満喫する里山オーベルジュ
|北陸の名宿③
北陸新幹線の延伸によって、さらにアクセスがよくなった北陸エリア。老舗温泉旅館から注目のオーベルジュまで名宿を紹介するとともに、地元を知り尽くした主人や女将たちに、ローカルの魅力を教えていただきました!
今回は石川県・小松市の廃校を利用した「Auberge“eaufeu”(オーベルジュ オーフ)」を紹介。世界的に注目を集めるシェフ・糸井章太さんによる美食の数々を堪能しよう。
小松の食材×酒×うつわが織りなす美食を味わう
弥生時代には宝石・碧玉の玉つくりからはじまり、明治時代以降は世界的に評価される九谷焼の原料·花坂陶石が採掘されるなど、約2300年にわたり“石の文化”とともに発展してきた石川県・小松市。良質な水にも恵まれた環境で、ドジョウなどの川魚、イノシシ、野草をはじめとする食材の宝庫でもある。小松市の里山集落の中で、2018年に廃校となった旧西尾小学校を利用して、2022年に「Auberge “eaufeu”」が誕生。シェフを務めるのは、日本最大級の料理人コンペティション「RED U-35」において史上最年少の26歳でグランプリを獲得、翌年にはフォーブス「30 UNDER 30 Asia」でアーティスト部門に選出されるなど、世界的に注目を集める糸井章太さん。小松の食材や環境に惚れ込み、オーベルジュのシェフ就任を決意したという。
糸井さん自ら、近隣で自生する植物や川にいるサワガニを捕り、フレンチをベースにした調理法でフルコースへと昇華。北陸は発酵文化も盛んであるため、ぬか床づくりなどにも注力し、朝食では自家製のぬか漬けや麹で漬けた焼き魚などの和食が味わえる。うつわは「須田菁華」をはじめとする九谷焼や、かつてオーベルジュの目の前に採石場があった「観音下石」もプレートとして使用。好みに合わせて、隣接する酒蔵「農口尚彦研究所」の日本酒によるペアリングメニューも提供している。その美食の数々を味わえば、小松がいかに自然に恵まれた地であるか体感できるであろう。
「Auberge“eaufeu”」の旅案内
水が美味しいことを証明するように、小松は美味しいものであふれています。その代表格が「農口尚彦研究所」。“酒造りの神さま”と呼ばれる杜氏・農口尚彦さんがつくる日本酒は、どれも料理の味を引き立ててくれます。料理においても水は非常に重要なので、オーベルジュでも仕込み水をいただいて自家製ドリンクや出汁に使用。酒蔵には日本酒の飲み比べができる「テイスティングルーム杜庵」が併設されているので、ぜひ立ち寄ってほしいです。
レストランでいえば、ヨーロッパで修業した米田裕二さん・亜佐美さん夫妻が手掛け、ミシュラン一つ星を獲得した「SHÓKUDŌ YArn」も。慣れ親しんだ味をアプローチを変えて表現した遊び心のある料理が味わえます。
よりカジュアルに食事をするなら、金沢市から移転オープンしたベーカリー「穀雨」がおすすめ。小麦本来の美味しさが伝わるシンプルなパンを求めて朝から多くの人が並びます。
そして美食がある地には、うつわあり。市内には製土工場やギャラリー、体験工房などを兼ね備えた文化施設「九谷セラミック・ラボラトリー」があり、九谷焼の製造から作家などを知ることができます。小松の旅の思い出として、お土産としても最適です。
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「楽土庵」
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Auberge“eaufeu”
住所|石川県小松市観音下町ロ48
Tel|0761-41-7080
客室数|12室
料金|1泊2食付3万7500円〜(税・サ込)
カード|AMEX、DINERS、JCB、VISA、Masterなど
IN|15:00
OUT|11:00
夕食|フレンチ(レストラン)
朝食|和食(レストラン)
アクセス|車/北陸自動車道小松ICから約25分 電車/JR小松駅から車で約20分
施設| レストラン、カフェ、レンタルスペース
https://eaufeu.jp
農口尚彦研究所 テイスティングルーム杜庵
住所|石川県小松市観音下町ワ1-1
Tel|0761-41-1227
営業時間|11:00〜、13:00〜、15:00〜 ※要予約
定休日|水曜
SHÓKUDŌ YArn
住所|石川県小松市吉竹町1-37-1
Tel|0761-58-1058
営業時間|12:00〜14:30(入店時間12:00)、18:00〜23:00(最終入店19:00) ※要予約
定休日|月・日曜
穀雨
住所|石川県小松市長谷町ケ100
Tel|050-8884-7986
営業時間|8:00〜15:00(なくなり次第終了)
定休日|不定休
九谷セラミック・ラボラトリー
住所|石川県小松市若杉町ア91
Tel|0761-48-4235
開館時間|10:00〜17:00(最終入館16:30)
休館日|水曜
01|石川県・加賀市「あらや滔々庵」
02|石川県・加賀市「べにや無何有」
03|石川県・小松市「Auberge“eaufeu”」
04|富山県・砺波市「楽土庵」
05|富山県・氷見市「SAYS FARM」
06|福井県・坂井市「オーベルジュほまち 三國湊」
07|新潟県・阿賀野市「角屋旅館」
text: Akane Sato photo: Yasuhiko Roppongi
Discover Japan 2024年5月号「進化するホテル」