石川・小松で五感に触れる!
職人の聖地でクラフトマンシップの神髄に出合う
2024年3月に北陸新幹線が延伸し、注目を集めている石川県小松市。羽田空港から約1時間の空路だけでなく陸路でもアクセスしやすくなるこの地に根づく“世界に誇るものづくり”を体感する旅をご紹介。発見の悦びに満ちたクラフトツーリズムへ、いざ!
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約2300年、進化を続けるクラフトマンシップ
石川県の南部に位置し、県内随一の工業都市である小松市。この地は、世界的建設・鉱山機械メーカー「コマツ」の創業の地として知られているが、それ以外にも多彩なものづくりが根づいているのをご存じだろうか。その起源は約2000万年前、日本海側の火山活動で誕生した金や銅、メノウ、オパールといった「石の文化」に端を発する。
約2300年前の弥生時代には、小松で豊富に産出された緑色の宝石・碧玉を驚異的な加工技術を用いてアクセサリーを制作し、当時最先端の逸品として各地の有力者を魅了したという。
古墳時代より凝灰岩を切り出し、建築材として活用されはじめるが、それらの素材から得られる自然への畏敬の念は、1300年前に開山したと伝わる白山への信仰につながり、現在も地域の心のよりどころとして崇敬されている。
そして、江戸時代に小松のものづくり文化は新たなフェーズを迎える。1640年、加賀前田家3代当主として活躍した前田利常公が、隠居の地として小松城に入城。多くの職人や商人が小松に集い、南加賀の産業の中心として大きく発展した。利常公は、茶道や能などの伝統芸能を奨励し、白山信仰の古刹・那谷寺を再興。さらに、製茶や絹織物、瓦などの産業を保護し、町人文化が花開くとともに小松のものづくりを著しく発展させた。
明治時代になると、2万年前に石器として使用された流紋岩が変質し、生まれ変わった「花坂陶石」を原料にした九谷焼が〝ジャパンクタニ〟として世界で名を馳せるように。
時代に合わせて変化・進化を続けてきた小松のものづくり、そのクラフトマンシップは次世代の職人たちへ受け継ぐ、いま注目したい小松の職人を紹介しよう。
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ものづくりの聖地・小松のクラフトツーリズムへ!
2024年3月より北陸新幹線の延伸に合わせてJR小松駅と小松空港を結ぶ自動運転バスが運行され、より快適になったいま、ものづくりの聖地・小松のクラフトツーリズムを楽しみましょう!
text: Ryosuke Fujitani photo: Norihito Suzuki illust: Fumiaki Muto
2024年4月号「日本再発見の旅」