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食事がより楽しくなる《蝶野秀紀》のうつわ
素材本来の質感にこだわった機能美あふれる日用の漆器
|注目のうつわ作家カタログ⑲

2024.1.12
食事がより楽しくなる《蝶野秀紀》のうつわ<br><small>素材本来の質感にこだわった機能美あふれる日用の漆器<br>|注目のうつわ作家カタログ⑲</small>

素材を大切にする作家もいれば、ひとつの技術を洗練させていく作家もいる。そんな彼らの個性に満ちた作品は、私たちの食事をより楽しいものに変えてくれる。あなたの暮らしをより豊かにするうつわを探してみては。
 
今回は、用の美に重きを置いた漆器づくりをつづける蝶野秀紀さんの木目を生かした日常に映えるうつわを紹介。

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蝶野秀紀(ちょうの・ひでき)
1971年、京都府生まれ。大学にて物性物理学を専攻した後、メーカーに就職。30歳を目前に学生時代より好きだったうつわ作家の道を志し、石川県挽物轆轤技術研修所へ入所。現在は広島を拠点に、個展などで活躍中

木肌とは異なる和紙のテクスチャーも
木地に強度のあるコウゾですいた国産和紙を貼ることで、和紙の繊維が透けたようなはかなげな風合いに。陶器、磁器など異素材とも調和する

学生の頃から頻繁にギャラリーに通っていたほどのうつわ好きという蝶野さんだが、大学卒業後はメーカーに就職。「30歳という年齢が近づき人生を見つめ直したときに、自分で何かを生み出してみたいと思ったんです」と、作家の道へと転換した。
 
蝶野さんが漆器を選んだ理由は、ものづくりの可能性を感じたため。「美しさを大切にする漆器の世界観は理解していますが、私自身あまりそこには興味がありません。使ってみたいと思わせる用の美にこそ魅力を感じるんです」と、軽さも耐久性もあり洗剤でも気軽に洗える蝶野さんの漆器は、まさに機能美あふれる日用品。「お正月などのハレの日ではなく、毎日の食卓で使ってほしい。漆器と聞くとハードルの高さを感じるかもしれませんが、使ってみれば気軽なものだとわかるはずです」

シャープなかたちと、木肌の柔らかな質感の妙
シャープな面取りと拭き漆の素朴な風合いが融合することで、モダンな雰囲気を醸し出す。すべて手作業で行われたとは思えないほどに端正

初期の頃より木目を生かした作品をつくり続けてきた蝶野さんだが、その理由は木そのものに大きな魅力を感じているため。中でも千差万別な木目をもつトチノキの幻想的なきらめきには、いまなお魅了され続けているという。
 
挽き目を残したり和紙を取り入れたりと、テクスチャーに一段とこだわりをもたせた作品は漆器の概念を大きく変えた。「漆器というジャンルや枠にはまらず、素材を生かした作品をつくっていきたいという想いは、ずっと変わりません。今後はうつわに限らず、素材の雰囲気を最大限に生かしたものづくりをしていきたいです」。

栃すり漆浅鉢φ4.5寸
トチノキの木目を生かした定番品。鍋物の取り皿にサラダと、どんな料理とも調和するうつわは、まさに用の美を体現。日々の暮らしに取り入れたい
価格|8000円
サイズ|φ135×H50㎜
重量|95g
楓面取杯
カエデがもつ不規則な木目を引き立たせた作品。滑りにくい八角形のかたちで、熱いお茶を入れても持ちやすい杯は、実用性も高い
価格|1万2000円
サイズ|W56×D56×H77㎜
重量|65g
和紙貼ティートレーL(黒)
小ぶりなサイズは、お茶と茶菓子をのせるのに最適。直置きもできる素材のため、銘々皿として季節の和菓子などを置くと黒が映える
価格|1万2000円
サイズ|W275×D160×H10㎜
重量|140g
栃挽き立て浅鉢φ5寸
モダンな雰囲気を醸すトチノキの大胆な木目を生かした作品。つややかな木肌の漆器は、ひとつ置くだけで食卓のアクセントに
価格|1万円
サイズ|φ150×H55㎜
重量|130g
和紙貼ティートレーL(茶)
耐水性、耐油性のある和紙貼シリーズは、洗剤を使用して洗える。素朴な素材から生まれる洗練された作品は、蝶野さんの真骨頂
価格|1万2000円
サイズ|W275×D160×H10㎜
重量|140g

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食事がより楽しくなる
《ごはん茶碗》18選

 
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text: Natsu Arai photo: Shimpei Fukazawa
Discover Japan 2023年12月号「うつわと料理」

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