食事がより楽しくなる《小島鉄平》のうつわ
カラフルなプレートで踊る躍動感あふれる生き物たち
|注目のうつわ作家カタログ⑪
素材を大切にする作家もいれば、ひとつの技術を洗練させていく作家もいる。そんな彼らの個性に満ちた作品は、私たちの食事をより楽しいものに変えてくれる。あなたの暮らしをより豊かにするうつわを探してみては。
今回は、スリップウェアの技法で躍動感あふれる動物たちを描く小島鉄平さんの色鮮やかなプレートを紹介。
小島鉄平(こじま・てっぺい)
1978年、長崎県生まれ。欅窯の庄司宣夫さんの下で学んだ後、2010年、長崎市に「てつ工房」を設立。スリップウェアの技法を用いた動物たちの絵が作品の特徴。2011年、第41回長崎陶磁展審査員特別賞ほか、多数受賞
キャラクターものの単なるかわいさとは異なる、いまにも動き出しそうなほどリアルな猫や兎……。小島鉄平さんの描く生き物たちには、愛らしさを超えた力が宿っているように思える。
かつて東京の飲食店で働いていた小島さんは、激務に嫌気が差し、故郷の長崎に戻る。そして自分の本当にやりたいことを仕事にしようと、思いついたのが陶芸だった。
「大学時代、居候先に陶芸家が遊びに来ていたんです。いつも個展帰りに1週間ぐらい滞在するんですが、お酒を飲みながらよく芸術論を語っていました」。そのときに「ものづくりで食えるのは陶芸家だ」と言われ、もともと手仕事が好きだったこともあり、陶芸教室に通うことに。長崎陶磁展での受賞を皮切りに、その後も受賞や百貨店での出店が続き、陶芸家として本格的にデビューした。
小島さんの作品といえば、色鮮やかなプレートが印象的。これは成形した素地に自身で配合した化粧土を塗り、透明の釉薬をかけて色を出す。そして真骨頂といえば、やはり絵柄だろう。スリップウェア(クリーム状の化粧土で装飾する技法)で描いていくのだが、絵柄は小島さんが人生で出合った生き物たちがモチーフになった。
「たとえば兎。小学生の頃、父親が兎を持って帰ってきたのですが、それが皮をむかれた食用兎だったことが印象に残っています」
理想や想像ではない“本物”を描写しているから躍動感があり、見る者の心にもまっすぐ響くのだ。
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どこかエキゾチックでモダンな
スリップウェアの技法を継承
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text: Misa Hasebe photo: Shimpei Fukazawa
Discover Japan 2023年12月号「うつわと料理」