食事がより楽しくなる《山本憲卓》のうつわ
削ぎ落とされたフォルムに漂う土の気配
|注目のうつわ作家カタログ⑧
素材を大切にする作家もいれば、ひとつの技術を洗練させていく作家もいる。そんな彼らの個性に満ちた作品は、私たちの食事をより楽しいものに変えてくれる。あなたの暮らしをより豊かにするうつわを探してみては。
今回は、土本来の美しさを引き出す陶器づくりが信条の山本憲卓さんが生み出す大地の優しさに満ちたうつわを紹介。
山本憲卓(やまもと・のりたか)
芸術大学卒業後、陶芸家・大嶺實清(じっせい)さんに師事。沖縄・読谷村に工房を構える。土に含まれる成分や性質を生かし、土の個性を引き出した作品が特徴。沖縄の自然などからインスピレーションを受け取っている
芸術大学に在学時代、実験的に土を窯で焼いてみたところ、土とはまったく異なる硬い物質になって窯から出てきた。その光景に心奪われ、山本憲卓さんは陶芸に目覚めたという。
「もともとアート性の強いオブジェを制作していたのですが、土を練って窯で焼いてうつわをつくる。陶器づくりは原始的ですごくおもしろいなと思って」と語る山本さん。意識しているのは、土本来の美しさを引き出すこと。そのためなるべく手を加えず、フォルムも高台などを省いて極限までシンプルに。土と炎の力を借りて生み出されるうつわは力強く、マットな質感から大地の優しさが伝わってくる。自然が生み出す造形美を、ぜひ肌で感じてほしい。
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食卓がパッと華やぐモノトーンの優美な世界
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text: Misa Hasebe photo: Shimpei Fukazawa
Discover Japan 2023年12月号「うつわと料理」