《四国村ミウゼアム》
高松市屋島の麓にある野外博物館がリニューアル
香川県・高松市屋島の麓にある野外博物館「四国村ミウゼアム(旧:四国村)」は、実業家・加藤達雄氏が収集した古民家を展示する屋外博物館として1976年に開村したもの。2022年4月から「四国村ミウゼアム」へと改名し、建築家・川添善行氏が率いる空間構想の設計によるエントランス棟「おやねさん」のオープンなど、入口周辺が一新された。村内には33棟の古民家や建造物が点在し、現在開催中の『瀬戸内国際芸術祭 2022』でも3作品、計8点が展示されている。
昔の暮らしを今に伝える
古民家を展示する屋外博物館
四国村は香川県の屋島山麓の広大な敷地に広がっている。村の核になっているのが四国四県から33棟の建物を移築復元した野外博物館「四国村ミウゼアム」。移築されているのは、江戸時代から大正時代に建てられた住宅や作業小屋、寄合い所、芝居小屋、米倉、醤油醸造所などで、いずれも実際に人が住み、使ってきたもの。家々の柱や梁、またそこに展示されている多くの民具には、人々の知恵や労苦、祈りが染み込んでいる。
また、安藤忠雄氏設計のコンクリート打ち放しのソリッドでモダンな「四国村ギャラリー」や、古民家を改築したうどん店「四国村わら家」、神戸の異人館だった「四国村カフェ」など、多様な魅力を持つスポットが点在している。
新エントランス「おやねさん」
新築のエントランス《おやねさん》は、四国村ミウゼアムの創始者・加藤達雄氏が茅葺屋根の美しさに惹かれて古民家の収集を始めた象徴のような存在で、屋根の美を愛でるミュージアムの入口にふさわしい建物だ。
建物内は、限られたスペースの中に展示やショップ、手洗いなどの多様な機能がミックスされ、さらに1階部分と2階部分がある。それぞれに必要な高さを切妻という民家にも通じる建築形式で連続させようとすると、自ずと高さの変化が生まれた。その高さの変化を全体として有機的な特徴的なシルエットとして、今回のような屋根のうねりとしてまとまった。伝統的な建築の形式を現代の技術で実現可能な極限のところまでアレンジされている。
そのほかにも、エントランス建物正面とわらやの店舗入り口がスロープの上下で正対の一体化したランドスケープはオープンなスペースと樹木、芝、芝桜などの豊富な植栽が植えられている。
建築家
川添善行(かわぞえ・よしゆき)
東京大学生産技術研究所准教授。空間構想一級建築士事務所。1979年神奈川県生まれ。東京大学卒業、オランダ留学後、博士号取得。「東京大学総合図書館別館」、「望洋楼」、「四国村ミウゼアム」などの建築作品や、「空間にこめられた意思をたどる」(幻冬舎)、「このまちに生きる」(彰国社)などの著作がある。東京建築賞最優秀賞、日本建築学会作品選集新人賞、グッドデザイン未来づくりデザイン賞、ロヘリオ・サルモナ・南米建築賞名誉賞、BCS賞、BELCA賞など国内外の受賞多数。
瀬戸内国際芸術祭 2022について
四国村ミウゼアムでは、『瀬戸内国際芸術祭 2022』の期間中は、砂糖しめ小屋内にラムカツィール《Suitcase in a Bottle 》や、新作として、四国村エントランス《おやねさん》、本山ひろ子の《装う神さま》が展示されている。石垣の隙間や古民家の縁側など、ふとしたところに愛らしい“神さま”が佇んでいる。キツネやサルなどの姿をした神さまにはそれぞれオリジナルの物語があって、それを記した札を読んでいくのも愉しい。
展示3作品
・四国村エントランス《おやねさん》
・ラムカツィール《Suitcase in a Bottle 》※砂糖しめ小屋で展示
・本山ひろ子《装う神さま》(村内6か所に展示)
瀬戸内国際芸術祭 2022
https://setouchi-artfest.jp/
古民家や自然、アートに囲まれながら、ゆったりとした時間を愉しんでみてはいかがだろうか。
四国村ミウゼアム
住所|香川県高松市屋島中町91
開館時間|9:30〜17:00(入村受付は16:30分まで)
休館日|火曜日(祝休日の場合は翌日)
料金|大人1600円、大学生1000円、高校生・中学生600円、小学生以下無料
駐車|無料駐車場あり
https://www.shikokumura.or.jp/