FOOD

南蛮風の箱絵がかわいい
『御菓子所高木』のカステラ
福田里香の民芸お菓子巡礼

2020.5.11
南蛮風の箱絵がかわいい</br>『御菓子所高木』のカステラ<br>福田里香の民芸お菓子巡礼
手土産にほどよい大きさ。カステラ(ハーフ)810円

民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は広島にある創業100年の老舗和菓子店・御菓子所高木の「カステラ」を紹介する。

福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍する。8年間にわたり続けている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中

黄色を挿し色にした花柄が上品な御菓子所高木の包装紙

カステラは江戸時代からほとんど配合を変えていない、よくできた焼き菓子です。南蛮菓子ですから、長崎のものが有名ですが、実は日本中にカステラ自慢の菓子舗があります。

広島市の「御菓子所高木」は、大正8年創業の老舗和菓子店ですが、こちらのカステラもとても美味しい。まず、箱から取り出した姿が美しい。色よく均一に焼き上がったブラウンの表面に、きめ細かい卵色の生地はやさしい味わい。すっと消える口溶けは日本茶にもよく合います。

カステラ2斤入り 3240円

箱絵を柚木沙弥郎氏が手掛けているのも、うれしい驚きです。犬を連れてパイプを吹かすのは、カステラを日本にもたらしたポルトガル人。箱の側面で望遠鏡をのぞいているから、商船の船長さんなのかもしれません。かわいいを滲ませた柚木氏の詩情あふれる作風は、お菓子とすごく相性がいい。

今年98歳の柚木氏は、芹沢銈介に型染めを学んだ画家で、柳宗悦をはじめとする民藝運動の創始者たちと実際にかかわった世代の人物。いまでも定期的に日本民藝館等で個展を開催しています。

御菓子所高木
住所|広島県広島市中区十日市町1-4-26
Tel|082-231-2121
営業時間|9:00〜19:00
定休日|元日
https://www.okashidokoro-takaki.com/

text : Ricca Fukuda photo : Wakana Baba
2020年5月号 特集「日本人は何を食べてきたの?」


≫福田里香さんに関する記事をもっと読む

≫広島県に関する記事をもっと読む

広島のオススメ記事

関連するテーマの人気記事