亀甲やの「鳥取ブランケーキ」
福田里香の民芸お菓子巡礼
民芸とお菓子の甘い関係をひも解いていく、お菓子研究家・福田里香さんの《民芸お菓子巡礼》。今回は民芸品が描かれた箱絵が人気の、亀甲やの「鳥取ブランケーキ」を紹介します。
福田里香(ふくだ・りか)
お菓子研究家。書籍や雑誌を中心に活躍。8年間にわたり続いている本連載をまとめた書籍『民芸お菓子』が小社より発売中
鳥取は昔から民芸運動が盛んな県です。これはひとえに、鳥取出身で後に“民芸のプロデューサー”と呼ばれた吉田璋也の功績といえます。
吉田は若い頃から柳宗悦の思想に共鳴し、市内に収蔵品を集めた「鳥取民藝美術館」、隣接して料理店「たくみ割烹店」と民芸品店「たくみ工芸店」をつくりました。さらに民芸を地元に根づかせようと、焼物や和紙、料理、お菓子に至るまで指導し、新しい民芸品を開発しました。
梨の輪切りを模した銘菓「二十世紀」で有名な「亀甲や」が、近年発売した菓子が「鳥取ブランケーキ」です。酒精が香る上品な味わいと、鳥取の風物が描かれたかわいい箱絵でお土産に大人気。
箱には、因幡の白兎やしゃんしゃん傘、獅子舞などに混じり、吉田が指導にかかわった民芸品も描かれています。染め分け皿やカップ&ソーサーは因州中井窯、茶色い面取りポットは福光焼、流し雛は民芸玩具。民芸由来の品々のなんと多いことでしょう。ケーキをいただくときは、箱絵も目で味わってください。
亀甲や
住所|鳥取県鳥取市片原2-116
Tel|0857-23-7021
営業時間|8:30〜18:30、日曜、祝日〜17:30
定休日|1月1日
text: Ricca Fukuda photo: Wakana Baba
2020年3月号 特集「SAKEに恋する5秒前。」