《伝教大師最澄1200年大遠忌記念》
1200年前から受け継がれる
“共生”という考え方
互いを認め、ともに生きる。まっすぐに信念を貫きながら、時代に合わせてしなやかに変化を続ける天台宗。もはやそこに国境や壁はありません。“共生”の精神が宿り、仏教の総合大学とも称される比叡山延暦寺をエリア別に紹介します。
天台宗の象徴ともいうべき「一隅を照らす」の精神は、いまや国内のみならず世界中に広がりを見せている。
「1986年にローマ教皇ヨハネ・パウロ2世の呼びかけで世界中の宗教者が集結し、イタリアのアッシジで平和の祈りを行いました。この集いに参加した当時の天台座主はいたく感銘を受け、『来年からは比叡山でも平和の祈りを捧げたい』とローマ教皇に嘆願されたのです」
それから毎年8月4日に比叡山では「世界平和祈りの集い」を開催し、世界中の宗教者と交流を深めている。教義や思想は違っても、世界平和を希求する気持ちに宗教の隔たりはない。比叡山から多種多様な宗派が巣立っていったように、相手の考えを尊重し、よいところを伸ばし合う。そんな“共生”の精神が比叡山には宿っている。
「今年はコロナ禍の影響で規模を縮小し、オンラインで平和の祈りを配信しました。かたちは少し違っても、新しい考えを柔軟に取り入れて継続することが大切です」
それはまさに比叡山のシンボルである「不滅の法灯」と同じ。灯火を維持するためには新しい油を注ぎ続ける必要がある。その文脈でいえば近年、比叡山延暦寺と若手クリエイターを結ぶコラボレーション企画がスタートした。
中でも日常に取り入れやすい、御仏を表す梵字をポップな印象に仕上げた、延暦寺オリジナルのトートバッグと祇園うちわに注目したい。デザインを手掛けたのは和の文様を取り入れたアパレルを展開する「火消魂(HiKESHi SPiRiT)」。いままでにない土産品としてSNSで話題を呼んでいる。
伝教大師最澄の1200年大遠忌を記念して開かれる、比叡山延暦寺の“非公開”。その秘密をたどると、いまの我々に必要なものが見えてくる。
東塔エリア
横川エリア
西塔エリア
比叡山延暦寺
住所|滋賀県大津市坂本本町4220
Tel|077-578-0001
拝観時間|
東塔エリア/8:30〜16:30(3〜11月)、9:00〜16:00(12月)、9:00〜16:30(1〜2月)
西塔・横川エリア/9:00〜16:00(3〜11月)、9:30〜15:30(12月)、9:30〜16:00(1〜2月)
※受付は30分前まで。
※冬季は除雪などのため閉堂を早める場合あり。
※法要・行事などで入堂を制限する場合あり。
拝観料|
東塔・西塔・横川共通券/大人1000円、高中生600円、小学生300円
国宝殿(宝物館)/大人500円、高中生300円、小学生100円
国宝殿と巡拝料のセット/大人1500円、高中生900円、小学生はセット料金なし
www.hieizan.or.jp
「最澄と比叡山 〜最澄の志を継ぐ堂塔〜」特別拝観
期間|9月12日(日)〜12月12日(日)
※9月25日(土)、26日(日)は拝観停止
拝観料|大人500円、高中生300円、小学生100円
※巡拝料は別途必要。9月の常設展及び10月からの「戦国と比叡展」も拝観可能。
時間|9:00〜16:00(9〜11月)、9:30〜15:30(12月)
※受付は30分前まで。
場所|比叡山延暦寺 東塔 戒壇院及び法華総持院東塔
問い合わせ|077-578-0521(比叡山延暦寺 参拝部)
text: Junko Nakao photo: Mariko Taya
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