「エネコ軽井澤」スペイン三つ星店が実践するサステナブルレストラン【前編】
犬養裕美子のディスカバー ベスト・レストラン
どんな小さな店でも、どんな辺鄙な場所でも、『ホンモノ』であれば、必ず人は引き寄せられる。今月も強烈な一店に出合いました!今回は、長野県軽井沢市にあるレストラン、「エネコ軽井澤」についてご紹介します。
犬養 裕美子(いぬかい・ゆみこ)
東京を中心に世界のレストラン事情を最前線で取材する。新しい店はもちろん、実力派シェフたちの世界での活躍もレポート。また、日本国内各地にアンテナを張り、料理や食文化を取材。農林水産省表彰制度「料理マスターズ」審査員
エネコ・アチャ・アスルメンディ
1977年、スペイン・ビスカヤ県生まれ。故郷のバスク料理をルーツにしたレストラン「アスルメンディ」のオーナーシェフ。2012年、ミシュラン三つ星獲得。2017年、六本木に「エネコ東京」出店
レストランから考える
未来のためにできるエコ
数々の華やかな話題に彩られた軽井沢。明治時代から続く避暑地に、スペインの三つ星店「アスルメンディ」の夏季限定レストラン「エネコ軽井澤」がオープンした。オーナーシェフのエネコ・アチャ・アスルメンディ氏は、スペインの若手シェフのリーダー的存在。2012年、35歳という若さでスペイン最年少・三つ星を獲得。環境とガストロノミーの関係に強く関心をもち、「世界のベストレストラン50」で、2014年と2018年の2年でベスト・サスティナブルレストランに選ばれている。年前、西麻布の「エネコ東京」オープン以来、何度も日本を訪れているエネコシェフが、次の出店地に選んだのが軽井沢だった。
自然環境の中で文化的な香りをたたえた軽井沢は、「アスルメンディ」があるスペインのバスク地方に似ているという。氏を最も刺激したのは蕎麦と創作料理「職人館」の北沢正和氏とハーブや西洋野菜の生産者「軽井沢サラダふぁーむ」の依田義雄氏との出会いだった。「豆料理は昔、どこの家でも欠かせなったけど、いまや豆は種が激減している。なんとか保存しておかなくちゃ」という北沢さんの言葉に、うなずくエネコシェフ。軽井沢新作第作目は豆料理になった。
シェフをサポートするキーパーソン
日本の里山料理の第一人者。地元の素材にこだわった蕎麦と創作料理は、食の安全、安心についてあらためて考えさせられる。特に豆の在来種の保存は、北沢さんにとってもライフワーク。日本人の食文化の根幹にあるのが豆だという。
高級スーパーに15年勤務後、安全、安心をモットーに、無農薬で野菜づくりをはじめる。シェフが畑に入って自分で選んで買える「理想の畑」を実現。東京からシェフが足を運ぶほどの人気。エネコシェフも一番にここの畑を訪れた。
サスティナブルなエネコシステムとは?
1 太陽熱の利用
2 地熱の利用
3 雨水の利用
4 ゴミのリサイクル
5 自然界の循環
6 バスクの植物の保存
エネコシステムとは、エネコが掲げた6つのエコスタイル。ノウハウを広めるために協会を設立。興味がある賛同者には、その店に合わせアドバイス。「いまはまだ小さなエリアだけですが、世界中どこでも私たちの経験が役に立つのなら、広めていきたいと思っています」。
エネコ軽井澤(えねこかるいざわ)
住所|長野県北佐久郡軽井沢町軽井沢雲場2200
Tel|0570-08-4122
営業時間|11:30~14:00(L.O.)、17:30~20:00(L.O.) ※2019年8月30日までの期間限定営業
定休日|火曜(土・日曜、祝日は要問い合わせ)
料金|ランチ5000円、ディナー9500円(税・サ別)
https://eneko.tokyo/karuizawa/
text:Yumiko Inukai,photo:Muneaki Maeda
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