TRAVEL

ノアソビSDGs/秋田県大館市
五色湖を中心に、世界遺産をフィールドワーク

2022.3.28 PR
<small>ノアソビSDGs/秋田県大館市</small><br> 五色湖を中心に、世界遺産をフィールドワーク

「ノアソビSDGs」の活動に参画している秋田県大館市。人造湖である五色湖(ごしきこ)エリアのほとりにあるロッジとキャンプ場を整備し、新たにグランピングのできるノアソビ(野遊び)の拠点として2023〜’24年にかけて開業を目指している。大館市ならではのノアソビとは? 大館市役所観光課長の阿部拓巳さんにその全貌をうかがった。

≪前の記事を読む

「ノアソビSDGs」とは?
「野遊び」とは、豊かな自然と四季を身近な存在として親しんできた日本独自の文化であり、心の安らぎや充足感、ストレスの解消などを自然環境の中で得る営み。その野遊びを通してSDGsや地方創生の実現を目指すのが「ノアソビSDGs協議会」だ。“ノアソビ”のカナ表記には、“モッタイナイ”のように、日本から生まれた概念がグローバル化し世界の合言葉になるように、という意味が込められている。

〈お話をうかがった方〉
阿部拓巳(あべ たくみ)さん
大館市役所観光課長。大館市出身。大館市役所職員として地域連携DMOの秋田犬ツーリズムを設立し、専務理事に就任。2021年から現職。公私にわたって地域づくりの活動を続ける。

秋田犬に大館曲げわっぱ、きりたんぽ…
地域の特色を生かした体験プログラムが充実

秋田県北部に位置する大館市。総面積の約8割を森林が占める同市におけるノアソビSDGsの拠点となるのが、大館能代空港から車で50分ほどの距離にある五色湖だ。五色湖は、五色の滝や糸滝を流れてきた川の水をたたえる山瀬ダムの通称で、キャンプ場や渓流釣り、登山、タケノコ狩り、秋には紅葉狩りも楽しめる場所として親しまれてきた。現在、このエリア一帯をロッジでの滞在やグランピングが楽しめるノアソビの拠点として整備している。

カヌーやSUP(スタンドアップパドル)、田代岳のトレッキングといったアクティビティはもちろん、比内地鶏やきりたんぽなど秋田の伝統食、そして大館曲げわっぱづくり体験など、自然と産業や文化を掛け合わせたコンテンツを多く用意している。中でも特徴的なのが、秋田犬(あきたいぬ)に出会えるプログラム。大館市は、世界的に認知度の高い秋田犬(Akitaとローマ字を入れて画像検索すると、秋田犬が画面を覆い尽くす)の発祥の地で、コロナ禍になるまでは秋田犬を目的に大館を訪れる外国人観光客も急増していた。こういった背景もあり、ノアソビSDGsでも、秋田犬との交流の価値をさらに高めていく予定だという。

ちなみに、渋谷駅の銅像で知られる忠犬ハチ公は秋田犬で、ふるさとは大館市。そういった縁から交流が生まれ、渋谷区内の学校給食で大館産の「あきたこまち」が使用されたり、渋谷の企業と大館の間でカーボンオフセットの連携を検討するなどSDGsへの取り組みも行われている。

秋田名物のきりたんぽも、大館が本場とされている
曲げわっぱの曲げや仕上げの工程を体験し、オリジナルの弁当箱をつくることができるプログラム
秋田犬の魅力を発信する施設「秋田犬の里」では、秋田犬の見学も可能。もともと渋谷のハチ公前に置かれていた車両「青ガエル」は、大館市がハチの生まれ故郷である縁から譲り受けたという

世界遺産をはじめ、東北周遊観光のハブ機能を担う

五色湖エリアは、白神山地の東端にあたる。核心地域ではないが同じ山地を形成しているため植生も同じ。白神山地エリアでグランピングができるのは五色湖だけ

五色湖は大館市内の滞在はもちろん、東北周遊型のノアソビの拠点としても優秀だ。日本最大の原生的なブナ林で知られる白神山地、縄文時代の生活をいまに伝える北海道・北東北の縄文遺跡群のひとつ伊勢堂岱(いせどうたい)遺跡、そして多くの景勝地と名湯に恵まれる十和田八幡平国立公園。大館市をハブにすれば、そのどこへも1時間ほどでアクセスできる。

縄文遺跡群が世界遺産になったこともあり、東北の自然環境や豊かな食、脈々と受け継がれる歴史や伝統は、今後ますます注目されるだろう。北東北の中心という地理的な観点でも、五色湖をはじめとする大館の価値が高まっていきそうだ。

五色湖から車で約50分、北秋田市にある伊勢堂岱遺跡。大規模な祭祀場で、環状列石など多くの祭り、祈りの施設が見つかっている
美しい秋の十和田湖。湖畔までは五色湖から車で1時間半ほど

受け入れ態勢を整え、パーソナルなサービスを提供

濃厚な旨みと歯応えで知られる比内地鶏。大館市は比内地鶏の本場でもあり、市内には「秋田比内や」など専門店が複数点在する

大館市におけるノアソビSDGsの自治体側のキーパーソンになるのが、大館市役所観光課長の阿部拓巳さん。地元出身の人脈を生かし、仕事でもプライベートでも長くまちづくりに携わってきた。地域連携DMO(観光地域づくり法人)を立ち上げ運営してきた経験は、今回のノアソビSDGsの取り組みにも大いに生かされていると語る。

「以前、外部専門家がいらっしゃったときに、人気の鶏めしの駅弁屋さんにお連れしたことがありました。そこは町の駅弁屋さん、その方は『比内地鶏のセットはないか』とおっしゃった。比内地鶏は専門店に置いているもので、私は心の中で、『いや、ここは駅弁屋さんで比内地鶏屋さんじゃないから』と思いました。大館に観光で足を運ばれる方は、日常から離れた非日常の世界を求めていらっしゃる。財布のひももゆるんでいるから、もしお弁当屋さんに比内地鶏があれば、少々高くても買ってくれるはずです。それなのに、私たちが日常のまま接してしまっていた。でもそれは、大きな機会損失でした。

そういった経験から、自分たちがいいと思うものだけでなく、お客さまが何を望むのかをしっかりリサーチし、パーソナルなサービスを提供することの重要性を学びました。ここでしか味わうことができない自然や体験といったコンテンツを考えるのはもちろん、ここでしか得られないサービスも揃って、わざわざ足を運んでもらえると考えます。本当はコンシェルジュのように事前にヒアリングして、大館に来た際には望むものが揃っている状態をつくれればベストだとも思います。来年にスタートする五色湖のロッジやグランピングでも、サービスの部分も強化して、受け入れ態勢をしっかりつくり上げていきたいと考えています」

大館市では、阿部さんを中心に、大館でしか体験できないノアソビSDGsを提供するために、ハード面・ソフト面ともに受け入れ態勢を整えている真っ最中。来年のレジャーの候補地としてチェックしておこう。

 

≫大館市公式サイトはこちら

 

   

text: Akiko Yamamoto

秋田のオススメ記事

関連するテーマの人気記事