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150年の伝統を守る
「ヤマモ味噌醤油醸造元」が革新的と言われる理由

2019.12.5
<strong>150年の伝統を守る<br/>「ヤマモ味噌醤油醸造元」が革新的と言われる理由</strong>
味噌と並び主力商品である醤油は栗駒山系の伏流水を使い食塩分を25%カット。素材を生かした味わいが特徴。あま口醤油や漬け込み醤油などラインアップ豊富

かつて城下町・宿場町として栄えた秋田県湯沢市岩崎。江戸末期、豊かな自然の恩恵を受け、米や酒、味噌づくりが根づく中、初代・高橋茂助が創業したのがヤマモ味噌醤油醸造元だ。150年の伝統と変わらぬ味わいを守りながらも、今の時代に合わせた革新的な味噌や醤油づくりを行う蔵として最近注目されている。「発酵をデザインしている」という現場を見せてもらった。

【1】新種の酵母を発見!
発酵をデザインする味噌づくりとは

7代目の高橋泰さんが家業を継いで間もなく、配合比率や発酵・熟成の期間、工程の試験を開始。酵母や乳酸菌の活動を活かすため、製品によっては塩分濃度を一般的な13%から7%まで減塩を行った。そんな中、近年泰さんが味噌づくりで注目するのは酵母。環境を変化させながら検証をしたところ、3年前に新種の酵母菌を発見。最適な環境を実現するため、熟成工程もホーロータンクを採用するなど、酵母の働きを最大化し、狙った風味を引き出すため発酵をデザインしているのだとか。

【2】蔵や醸造工程、岩崎の歴史を発信する
ファクトリーツアーが楽しい

ヤマモが革新的だといわれている理由は醸造工程だけではない。ヤマモのもつ歴史や地元・岩崎の文化を後世に継承するため、蔵や醸造工程、岩崎の歴史を発信する「ファクトリーツアー」を2017年から開始。味噌、醤油づくりの現場を歩く蔵見学に加え、室町時代から伝わる岩崎の竜神伝説を背景とした日本庭園、アートギャラリー、カフェへと案内される。

【3】伝統と歴史を
地域へ継承するために

新たに開設されたアートギャラリーやカフェは、蔵の一部を改装。味噌蔵にアート?  と驚くがそこにもしっかり狙いがある。アートの要素を取り入れることで、国内外のクリエイター層を誘致。そこから新たな発信が生まれ、地域のブランディングと活性化ができるという。

【4】ヤマモの製品をアレンジしたメニュー
「YAMAMO GARDEN CAFE」

味噌の仕込みに使う天日塩をベースにしたフォー880円

カフェも地域の人や観光客が気軽に足を運べるように開放し、さまざまな文化が交流できる場として役割を果たす。海外の人にも伝統文化をハイブリッドにとらえてもらえるよう、フードメニューにもひと手間を加えている。ヤマモの活動領域は味噌・醤油づくりにとどまることはない。

【5】ヤマモの味噌は
洗練されたデザインに生まれ変わった

現在ヤマモ味噌醤油醸造元の製品は海外にも輸出をする。輸出開始を機にデザインも一新。パッケージにもこだわり、袋型の味噌はあえて中身が見えないものを起用。日本の調味料は中身が見えるものが一般的だが、海外製品では中身が見えないものも多い。固定観念を捨て、デザインでも革新を起こす。その狙い通り、ヤマモの味噌はアパレル業界でも取り扱われ、食品業界とは異なるジャンルからも注目されているのだ。

ヤマモ味噌醤油醸造元
住所:秋田県湯沢市岩崎124
Tel:0183-73-2902
営業時間:9:00〜18:00、カフェ10:00〜16:30(L.O.)
定休日:不定休
https://salon-tea.jp

150年の伝統ある味噌や醤油も、時代に合わせてちょっとずつ変化が必要だ。パッケージを新しくしたり、ファクトリーツアーを行ったり、カフェやギャラリーを開設したり……。海外のお客さんだけでなく、地元にも愛される場所となった。秋田県に立ち寄ったなら、ヤマモ味噌醤油醸造元を尋ねてみてはいかがだろう。

≪150年の伝統を守る「ヤマモ味噌醤油醸造元」が革新的と言われる理由≫
1|発酵をデザインする7代目の味噌づくり
2|ファクトリーツアーを実施
3|伝統と歴史を地域へ継承
4|洗練されたデザインに生まれ変わったヤマモ味噌

Discover Japan 2019年11月号『すごいぜ!発酵』の一部を抜粋して掲載しております。