田村一のうつわ
「郷里の雪景色を映し出す青白磁」
喫茶のひとときを豊かにする作家のうつわ
日々の余白、喫茶のひとときこそ、現代ではとても贅沢な時間です。そうした時をともに過ごすうつわこそ、本当にお気に入りのものを選びたい 。
秋田県を拠点に作陶する田村一さんに注目し、制作背景とうつわの魅力を紹介します。
田村一(たむら はじめ)
1973年、秋田県生まれ。早稲田大学大学院修了後、東京で作家活動を開始。2002年に栃木県・益子町に拠点を移し制作。’11年より地元・秋田県で作陶に励みながら個展やグループ展で作品を発表
天草陶土の可塑性を生かし
郷里の雪景色を映し出す青白磁のうつわ
流線的なフォルムに淡く浮かび上がる青。そっと触れると、ひやっとした冷たさを伝えながらたちまち消えゆく雪を連想させるような色合いだ。じっと見つめていると、日差しに反射して煌めく雪原の風景、静寂に包まれた凍てつく湖畔の景色が立ち上がってくるかのようだ。
この見る者を情緒的な世界へ誘う青白磁のうつわは、田村一さんにとっても大切な作品のひとつだという。東京の大学へ進学し、陶芸部に入部したのをきっかけに陶芸家の道へ進んだ田村さん。「独立後は東京から栃木県・益子町へ拠点を移し、10年前に故郷に戻りました。そのときに子どもの頃から慣れ親しんでいたはずの冬の景色が目に新鮮に映ったんです。雪は白というイメージがありますが、光の乱反射によって青く見える部分がある。その雪の表情が心象風景として記憶に残り、地元の灰やもみ殻で釉薬を自作して表現したのがこの青白磁のうつわです」
また、天草陶土の可塑性を生かし、ふっくらと丸みを帯びたシルエットや流れるような有機的なフォルムをろくろで生み出すのも田村さんの作風の特徴だ。いずれのうつわも凛とした美しさが光り、手にしたときに背筋がすっと伸びるような心地いい緊張感がある。その一方で唇をモチーフにした「chu!盃」といった粋な作品も制作し、人気を呼んでいる。ほっとひと息つく日々のティータイムに、大切なゲストを迎えるハレのシーンに、さまざまなお茶の時間を美しく彩ってくれる。
夏は新緑が生い茂り、冬は雪に覆われる太平山の麓にある工房
自然豊かな環境からろくろ中にカメムシが来客することも
青白磁のうつわで味わうアイスコーヒー。カランと音を立てる氷が耳に涼しげに響く
田村一さんのうつわを
オンラインで購入いただけます!
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渋谷パルコのDiscover Japan Lab.および公式オンラインショップにて、田村一さんの作品を販売中! ぜひ実際に手に取ってお愉しみください。
Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~20:00
定休日|なし
Instagram|@discoverjapan_lab
※うつわはすべて数量・期間限定販売
※営業時間の変更の場合がありますので、最新情報は渋谷PARCOの営業時間(https://shibuya.parco.jp)をご確認ください
喫茶のひとときを豊かにする作家のうつわ
1|松本かおる
2|沼田智也
3|土本製陶所
4|西村青
5|田村一
text: Mimi Murota photo: Shimpei Fukazawa
2021年11月号「喫茶のススメ」