客室露天風呂がある全国名旅館リスト

日に日に寒くなり、温泉が恋しくなるこの季節。しかしながら日本中にある温泉宿の中から、部屋にも温泉があり、クオリティも高い宿を探すのは難しい。そこで今回は、部屋にいながらも温泉が楽しめる全国のおすすめ宿をご紹介。温泉、美食、絶景を愉しめば、最高の至福を味わえること間違いなし。

【東北】

国登録有形文化財指定
宮城県「時音の宿 湯主一條」

室町時代に開湯され、古くから「奥羽の薬湯」として知られる宮城県の鎌先温泉。その開湯と時を同じくして創業し、600年近い歴史を誇る旅館が「時音の宿 湯主一條」だ。時代の変化に合わせて、客室や館内施設をリノベーションしており、環境に配慮しつつも快適にとしつらえられた館内はモダンな中にも日本の伝統を取り入れられている。「一條スイート」や「湯主スイート」などは、極上の居心地を愉しむことができる。

みちのくの湯宿
山形県「名月荘」

城下町でもある上山にある温泉旅館「名月荘」。ただ広さだけを自慢するのではなく、使い勝手を優先してしつらえられた客室には、露天風呂が備わっている。広々とした大浴場もいいが、誰に気兼ねすることなく、存分に湯を愉しめる部屋風呂が心地いい。

歴史ある名湯と地酒を楽しめる
福島県「お宿 花かんざし」

安達太良山のふもとに位置し、開湯1200年の歴史を誇る岳温泉。その中にある「お宿 花かんざし」では、源泉掛け流しの露天風呂に浸かりながら地酒を楽しめる。レトロモダンなしつらえの「宵待草」の間が一番のおすすめ。緑豊かな庭を眺める和室と、奥にはベッドルームがあり、庭には露天風呂も付いている。

【関東】

那須連山のふもと
栃木県「那須別邸 回」

栃木県、那須連山のふもとに位置する日本旅館、「那須別邸 回」。御用邸に連なる約2500坪という広大な敷地に立つ隠れ宿の客室は、数寄屋造りの離れが1棟とスイートタイプの客室が8室のみ。そのいずれもが異なる設えだ。ブナやコナラの木々の枝を揺らす風の音など、外の自然を室内にいながら感じられ、どの客室にも心地よい開放感がある。

親子3代の心を継ぐもてなし
静岡県「オーベルジュ 花季」

旅館というよりも一軒の洗練された民家のような「オーベルジュ 花季」。大浴場もなければ、客室露天風呂もなく、こぢんまりした客室がふたつ。同じ間取りの部屋には、温泉を引いた檜の内風呂があるのみ。大きな宿に泊まり慣れていると物足りなく映るかもしれないが、実際に泊まってみると、余計なものが何もなく、心底安らげる。

緑の中の貸し切り風呂
群馬県「つつじ亭」

古くから愛されてきた日本を代表する名湯、草津温泉。この湯を存分に楽しめる名宿が「つつじ亭」だ。少人数なら本館がおすすめ。本館の宿泊客は貸切風呂の「玉の湯」を無料で借り切れるのだ。また、本館の客室にある一人用の小さな湯船にはもと湯が滔々とあふれており、いつでも好きなときに湯を愉しむことができる。

大涌谷から湧き出る白濁の湯
神奈川県 仙郷楼 別邸「奥の樹々」

日本に数多ある温泉地の中でも人気の高い箱根。その中の仙石原に位置する、明治3年創業の老舗旅館「仙郷楼」。別邸として建てられた「奥の樹々」は、すべての客室は10畳の間がふた間続きで、全室に露天風呂を備える。箱根の山々を眺めながら贅沢に箱根の湯を堪能できるのだ。

泊まり心地のいい宿
神奈川県「強羅花扇 円かの杜」

箱根で極上の贅を味わいたいのなら、まず行くべきは「円かの杜」。手足を存分に伸ばせるような大浴場に加えて、部屋の露天風呂が真の安らぎ、寛ぎを与えてくれる。

【中部】

加賀の名湯宿
石川県「あらや滔々庵」

北陸を代表する温泉地・山代温泉にある宿「あらや滔々庵」。江戸時代には、前田家歴代藩主に愛され、明治に入ってからは皇族も訪れたり、伝統と格式のある旅館だ。北大路魯山人も愛した宿で、ゆかりの作品が残る。魯山人もかつて滞在したという「御陣の間」は昔ながらに、「若菜」、「九谷・兼六」などは広々としたオープンエアのバスルームと、ローベッドを備えた寝室をしつらえ、モダンなインテリアをまとう軽やかな客室になっている。

【関西】

日本一の湖の絶景
滋賀県「旅館 紅鮎」

パワースポットとして知られる竹生島を望む琵琶湖のほとり、絶景を独り占めできる「旅館 紅鮎」。滋賀名物の近江牛をはじめ、郷土料理の自家製鮒寿司も絶品だ。客室は全室露天風呂付き。すべての部屋から竹生島が見え、琵琶湖の絶景が楽しめる。

【中国】

日本庭園が主役
広島県「庭園の宿 石亭」

日本三景のひとつ「宮島」を対岸に望むロケーションに建つ「庭園の宿 石亭」。この宿の特徴は美しい日本庭園。客室は庭園を囲むように配されている。実はこの宿の母体は宮島口で行列の絶えない店として知られる「あなごめし うえの」。日本一の駅弁とも称される“あなごめし”はいつ、何度食べても美味しい。

温泉街の足元から湧く名湯
岡山県「名泉鍵湯 奥津荘」

「名泉鍵湯 奥津荘」の地下にある「鍵湯」は、川と湯は一体であることを強く実感させてくれる。湯に癒された後に楽しみたいのは夕食。山の幸や川の幸を中心に、吟味した食材を丁寧に調理した料理は、素朴さと山峡の湯宿ならではのぬくもりを感じられる。雄町米を使った地酒の丸く優しい味わいも相まり、心がゆるゆるとほどけてゆくのが分かる。

寒い冬、広々とした大浴場もいいけれど、せっかく温泉宿に泊まるのだから、時間を気にせずのんびりと入れる温泉の風呂付きの部屋に泊まりたいもの。極上の湯に浸かった後は、豪華な部屋でゴロゴロ寝転がりながら、贅沢な時間を過ごしてみてはいかがだろう。

Discover Japan_TRAVEL「味わいの名宿」より