山の幸を寿司で味わう、
「土佐田舎寿司」
|高知の郷土料理を訪ねて①
高知には、鰹のタタキや寿司など海の幸だけではなく、野菜や山菜を使った土佐田舎寿司やタタキがある。山の恵みを丁寧に仕込み、ユズなどの“酢みかん”を利かせるのが、高知ならではの食文化だ。風土と知恵が育んだ、奥深い高知の味に触れてみよう。
line
野菜やキノコを握るのが
土佐流です
四国の南部、太平洋に面し、背後には起伏に富んだ山間部が広がる高知県。鰹や金目鯛などの海の幸で知られる一方、野菜や山菜といった山の幸を生かした、独自の豊かな食文化もある。

「土佐田舎寿司」命名の地・津野町では、「久保川生活改善グループ」のお母さんたちに教わりながら、野菜の寿司を自分で握って味わえる。風土を感じる味と交流は、旅をさらに奥深いものにしてくれる
その代表といえるのが、野菜やキノコをネタにした「土佐田舎寿司」。大皿にごちそうを盛ってお客をもてなす高知名物「皿鉢料理」の一品でもある。食材ごとにひとつずつ丁寧に仕込み、酢飯にのせる郷土寿司で、タケノコ、シイタケ、コンニャク、リュウキュウ、イタドリ、みょうがなど、色とりどりの山の恵みが並ぶ様に心が躍る。「魚が手に入りにくい山間部で、“憧れの寿司”を身近な食材で味わおうとしたのがはじまりで、100年近い歴史があるといわれています」と、「土佐寿司を盛り上げる会」の代表である三谷英子さんは話す。

1986年に「土佐田舎寿司」と名づけられ、2018年には高知産の香酸柑橘を酢に使うことなど、その定義が定められた。味の決め手は、高知のユズなどの香酸柑橘だ。ひと口ほお張れば、柑橘の爽やかな香りときりっとした酸味が広がる。みょうがのシャキッ、シイタケのじゅわっとした口当たりなど、食感の違いも楽しい。

まず紙芝居で「土佐田舎寿司」について学び、その後、ネタを酢飯にのせて握る体験へ。高知県知事選定の「土佐の料理伝承人」であるお母さんたちからコツを伝授してもらおう
いまも各地域の“お母さん”たちが腕を振るい、道の駅や交流センターなどで、体験や総菜販売でその味を伝えている。

大通りに店が並ぶ「日曜市」では、土佐田舎寿司を販売する店も。「今井」では、代々の味を受け継ぎ、実生のユズを入れた酢を使い、柑橘をしっかり利かせた寿司に仕上げている
line
土佐田舎寿司から、
定番の6種類をご紹介!
定番のほかにも、パプリカやナスなどの自由な寿司が各地にある。酢飯には香酸柑橘を利かせ、地域によっては刻みショウガやゴマなどが入ることも。

①コンニャク寿司
コンニャクを三角形に切って、袋状になるよう切れ目を入れて味をつけ、酢飯を詰める。ぷるんとしたコンニャクの食感と、出汁と醤油、みりんで甘辛く煮た味わいが酢飯とよく合う。
②リュウキュウ寿司
黄緑色が目を引く、高知の夏野菜・リュウキュウ(ハスイモ)。琉球から四国に伝わったとされ、高知ではこう呼ばれる。茎の部分をユズ入りの甘酢に漬けて、小気味いい食感を楽しめる。
③シイタケ寿司
シイタケを酢飯にのせた、手毬寿司のような丸いシルエットがかわいらしい。シイタケを出汁、醤油、砂糖で甘めに煮付ける前に、表面に十字の切れ目を入れるのがポイント。

④タケノコ寿司
巻き寿司、詰め寿司、握り寿司など、地域によってかたちが変わる。春に収穫して下ゆでし、塩漬けして1年分保存。塩抜き後、使うときに出汁と調味料で煮て寿司に仕上げる。
⑤みょうが寿司
生産量日本一を誇る高知のみょうが。さっと湯通しして、塩を振り、甘酢に漬けると時間が経つほどに鮮やかな紅色に。さらに赤シソに漬けて保存。華やかさを添えてくれる。
⑥イタドリ寿司
春の山菜・イタドリを寿司で味わうのは、全国的にも珍しい。皮をむいた茎を塩漬けにすることで、もともとある酸味がほどよく抜ける。シャキシャキとした独特の食感を楽しもう。
line
「土佐寿司」4選
≫次の記事を読む
≫公式サイト
久保川生活改善グループ 田舎ずしづくり体験
住所|高知県高岡郡津野町永野251-1
Tel|090-1323-5940
所要時間|1時間30分
定休日|なし(1週間前までに要予約)
料金|2500円
Mail|meruchan1980@yahoo.co.jp
日曜市(街路市)
会場|高知県高知市追手筋
問|高知市商工振興部商業振興課
Tel|088-823-9375
text: Nozomi Kage photo: Sayuri Ono
2026年11月号「日本のはじまりを知る旅へ」



































