HOTEL

『時音の宿 湯主一條』国登録有形文化財指定の歴史ある鎌先温泉の湯宿へ。

2020.9.28
『時音の宿 湯主一條』国登録有形文化財指定の歴史ある鎌先温泉の湯宿へ。
国登録有形文化財に指定されている昭和初期に建てられた木造の本館。現在は「個室料亭 匠庵」として利用している

室町時代に開湯され、古くから「奥羽の薬湯」として知られる宮城県の鎌先温泉。その開湯と時を同じくして創業し、600年近い歴史を誇る旅館が「時音の宿 湯主一條」だ。食事処として利用されている本館は国登録有形文化財に指定され、上質な空間で月替わりの会席料理をいただける。

シモンズのクイーンサイズのベッドが並ぶモダン和洋室

古くは陸奥国と呼ばれた、宮城県白石市に鎌先温泉という湯処がある。1428年というから、室町幕府が混乱を極めていた頃の開湯。この地の里人が草刈りをしていて、その鎌の先で掘り当てた湯といわれる。行基でも、傷ついた兵でもなく、ましてやカラスや鹿でもない。里人が日々の営みの中で見つけた、というあたりに、この地のあり様が見てとれる。

東北本線の白石駅からタクシーで15分ほど。長閑な里をいくつか通り過ぎ、肩を寄せ合うように軒を並べる温泉宿の間を通り抜け、急な坂道を上り切ったところに建つのが「時音の宿 湯主一條」。地上3階、一部地下1階の木造4階建ての本館がひときわ目を引く。

敷地内にある洞窟から引湯している「洞窟の湯」。無色透明で肌にツヤがでる

大正から昭和に掛けて建てられたという本館は食事処として使われ、古きよきしつらえの中で食事を愉しめる。鎌先温泉の開湯と時を同じくして旅籠を開いたという宿は、600年近い歴史をもち、当代で20代目を数える由緒正しき宿。

いまもその旅籠の姿勢を保ちながら、時代の変化に合わせて、客室や館内施設をリノベーションしている。環境に配慮しつつも、快適にとしつらえられた館内はモダンな中にも日本の伝統を取り入れ、「一條スイート」や「湯主スイート」などは、極上の居心地を愉しむことができる。

会席料理の焼物は3種類から選べる。写真は黒毛和牛焼 添え野菜。ほかヒレステーキ、季節の魚料理

さらにはふたつの源泉を有する温泉も充実。無色透明の効能あらたかな「c」と称される名湯を、思う存分まとえる。

そして待ちかねた食事は、長い歴史を感じさせる、幽玄の空間でとる。山あいの宿らしく、素朴な料理が並び、里人のもてなしさながらの夕餉に心が芯から和む。

時音の宿 湯主一條
住所|宮城県白石市福岡蔵本字鎌先1-48
Tel|0224-26-2151
Fax|0224-26-2158
客室数|24室 料金:1泊2食付1万6350円〜(税別)
カード|AMEX、DC、DINERS、JCB、MASTER、SAISON、VISA
IN|15:00
OUT|11:00
夕食|会席料理(個室)
朝食|和食または洋食(食事処)
温泉|鎌先温泉(ナトリウム-塩化物泉硫酸塩泉/薬湯は源泉掛け流し/加温あり/加水なし/関節痛、リウマチ、筋肉痛、慢性皮膚病、手術後の治療など)
風呂|大浴場男女別各2(24時間)、露天風呂1、部屋風呂12室
アクセス|車/東北自動車道白石ICから約15分 電車/JR白石蔵王駅から車で15分、またはJR白石駅から車で13分
館内施設|売店、BAR、卓球
Wi-Fi|あり
www.ichijoh.co.jp

文=柏井 壽 写真=宮地 工
Discover Japan_TRAVEL「味わいの名宿」


≫親子3代の心を継ぐもてなしを堪能できる「オーベルジュ 花季」

≫宮城県に関する記事をもっと読む

宮城のオススメ記事

関連するテーマの人気記事