《星のや沖縄》
「ティーダ」だからこそかなう
心に残る沖縄の文化体験|中編
沖縄を訪れるたびにまた行きたいという気持ちに駆られてしまう。穏やかな気候にも美ら海にも、三線の音色にも、エイサーにも酔いしれる。だが旅人にとっての魅力は、沖縄に燦然と輝く心癒される宿の数々……。そのうちのひとつ「星のや沖縄」には海とつながる極上の隠れ家があるのをご存じだろうか。今回は、その特別室「ティーダ」だからこそかなう、心に残る沖縄の文化体験を紹介しよう。
文=せきねきょうこ
ホテルジャーナリスト。フランス・アンジェで大学生活を終え、スイスの山岳リゾート地で観光案内所勤務中に3年間、ホテルで暮らす。1994年から現職。アドバイザーやコンサルタントも
www.kyokosekine.com
星のや沖縄へは那覇空港から車で約70分。沖縄でも原風景が残る読谷村(よみたんそん)の自然海岸沿いにあり、リゾートの敷地は自然の残るギマの浜に沿い全長約1㎞も続いている。その星のや沖縄の開業は2020年7月1日。コンセプトに“グスクの居館”を掲げている。
「グスク(城)とは、もともと沖縄、奄美大島に12~16世紀頃につくられた特殊な遺跡で、現在に残存する数は400近い」と教えられた。星のや沖縄のグスクウォールは、読谷村の織物「読谷山花織」の紋様がレース編みのように美しくあしらわれている。
今回、目指すのは特別室ティーダである。星のや沖縄の敷地は広大で約12万5000㎡、その最奥のビーチ沿いにある。植栽に包まれてひそやかに佇むヴィラは4棟のみだ。ティーダ(太陽の意味)の室内には、価値の高い工芸品が随所にしつらえてあり、飾り棚に並ぶ酒器や茶器は沖縄を代表する陶芸家・大嶺實清(おおみねじっせい)氏に特別に選定を依頼したものだという。茶器はチェックイン時に提供される「清明茶(シーミーちゃ)」に用いられている。そのほかにも選ばれし琉球の伝統品や現代の名工品などが揃い、沖縄情緒にあふれた部屋づくりである。
滞在中に楽しむ大切な食事のことは次ページで詳細をひも解こう。ここでは沖縄を肌で感じ、体感できる見逃せないアクティビティのご紹介だ。中庭から直接自然のままのビーチ・ギマの浜に出られるティーダでは、客室の前のビーチまで迎えに来る馬と、特別なルートで楽しむ乗馬体験ができる。朝の涼しげな潮の香りに包まれ、のんびりとステップを踏む。琉球王国時代、読谷村にあったという馬場に思いを馳せ、爽快な朝の乗馬で一日がはじまる。
充実の一日が終わる夕刻時には三線の音色に浸るひとときを。プール際に集い、琉球古典音楽二大流派「安冨祖流」の奏者が奏でる三線の音に酔いしれることができる(有料)。泡盛やカクテルを味わいながらの、何とも贅沢なプライベート演奏会である。さらにヴィラに隣接する「星のや沖縄 スパ」でのトリートメント、沖縄発祥の武道である琉球空手の型や約束組手を習う体験、師範の歌に合わせ古典音楽を演奏する三線体験など、休暇ならではの非日常のプログラムが揃っている。
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レストランでの食事以外に人気を博しているのが“ギャザリングサービス”だ。星のや沖縄でよりプライベートなスタイルの食事として提供されており、バラエティに富んだ30種以上のメニューが用意され、土間ダイニングで出来たての料理を堪能できる。ティーダ滞在の場合は、食事のセッティングやプレゼンテーションは専門スタッフが担い、プライベートバトラーのような充実のサービスが受けられる。
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photo: Hiroshi Abe text: Kyoko Sekine
Discover Japan 2024年7月号「沖縄」