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琵琶湖の絶景と近江牛尽くしを愉しむ 「旅館 紅鮎」

2019.10.12
琵琶湖の絶景と近江牛尽くしを愉しむ 「旅館 紅鮎」
客室は全室露天風呂付き。写真の浴槽は信楽焼。部屋によって檜や御影石の場合も。すべての部屋から竹生島が見え、琵琶湖の絶景が楽しめる

パワースポットとして知られる竹生島を望む琵琶湖のほとり、絶景を独り占めできる「旅館 紅鮎(べにあゆ)」に、滋賀名物の近江牛を堪能しに行こう。郷土料理の自家製鮒寿司も絶品だ。

客室「出愛」。マッサージチェアも用意され、湖を眺めながらリラックスできる

滋賀、福井、岐阜の県境が交わるあたりは、かつて北国街道の主要な道筋だった。それゆえ幾度となく戦の場となり、兵どもが血で血を洗う合戦を繰り広げた場所でもあった。

たとえば賤ケ岳の戦い。実質的に織田信長の後継者争いとなった戦は、圧倒的な力をもって、羽柴秀吉柴田勝家を打ち破った。その戦によって流された血は、琵琶湖の水面にその色を映し、泳ぐ鮎までもが、紅く染まったと伝わっている。

絶景が楽しめる大浴場。尾上温泉の泉質は、美肌作用のあるナトリウム-炭酸水素塩泉

それを由来とする「旅館 紅鮎」は、戦とは無縁の絶景と美食を誇る宿である。玄関を入ってすぐのロビーや、客室、そして大浴場からも同じ眺めを得られ、それは穏やかな湖面が静かに広がる、まさしく絵に描いたような、湖の絶景である。ぼーっと眺めているうち、心がまるく穏やかになる。

その穏やかさは「尾上温泉」と呼ばれる湯も同じで、極めて肌触りのいい、皮膚をなめらかに滑る、ぬるりとした温泉である。露天風呂が付いている部屋もあるが、せっかくだから大浴場に足を運びたいもの。内湯も露天風呂も絶景温泉だ。

温泉宿に泊まって、湯上がりの愉しみといえば、なんといっても、美酒と美食。浴衣の胸元から風を煽ぎ入れ、湯の火照りを冷ましながら、旨し酒を片手に、その地ならではの旨し料理に舌鼓を打つ。これぞ湯宿の醍醐味。

地産地消といって、湖北は美食の素材に事欠かない地域である。湖の恵みはもちろんのこと、近江で醸される日本酒も、近年の人気はすこぶる高く、里山で育った近江の食材も、秀でてその旨さを際立たせる。

別注文だが、味わっておきたいのが琵琶湖名物・鮒寿司。宿の主人自らニゴロブナを漬け込んだ絶品

中でも近江牛は、日本三大銘牛のひとつに数えられ、日本はおろか、世界にその名を轟かせている。適度にサシが入った牛肉は、食べ飽きることがなく、調理法が異なれば、幾らでもお腹に収まる。

そして忘れてならないのは、季節を問わず、淡水ならではの美味をたたえる湖魚の数々。冬から春のモロコ、初夏から初秋の鮎、そして鰻。さらにはいまや希少品と化した鮒寿司。そのなれ加減による、独特の香りから敬して遠ざける向きも少なくないが、この宿のそれを食べれば、きっとイメージは一変する。寿司の原点と湖北で出合うのも趣深い。

改装したばかりの、木のぬくもりを感じられるダイニングルーム。お一人さまでも気兼ねなく過ごしてほしいと、半個室の湖を眺められる一人シートもつくった

立地、しつらえ、湯、食。すべてに心を砕き、客の過ごしやすさを第一に考え、すこぶる丁寧につくられた宿の居心地が、悪いはずがない。

竹生島の神さまにもご挨拶したい。神秘を秘めた余呉湖も間近にしたい。となれば連泊するしかない。それが旅館 紅鮎という宿なのである。

旅館 紅鮎
住所:滋賀県長浜市湖北町尾上312
Tel:0749-79-0315(9:00〜21:00)
Fax:0749-79-1265
E-mail:info@beniayu.com
客室数:14室
料金:1泊2食付2万3910円〜(税込)
カード:AMEX、DINERS、JCB、MASTER、VISA、銀聯
IN:14:00 OUT:11:00
夕食:会席料理(部屋食、食事処、個室食事処) 朝食:和食(部屋食、食事処、個室食事処)
温泉:尾上温泉(ヒドロ炭酸温泉/源泉掛け流し/加温あり/加水なし/リューマチ、脳卒中の回復期、骨折や外傷後の療養、病後の回復期など)
風呂:大浴場・露天男女別各1(6:00〜9:30、11:00〜0:00)、部屋風呂全室 ※すべて温泉
アクセス:車/北陸自動車道木之本ICから10分 電車/JR高月駅から送迎あり(要予約)
館内施設:食事処、大浴場、フィンランド式サウナ、岩盤浴(有料)
Wi-Fi:あり
www.beniayu.com

文=柏井 壽 写真=宮地 工
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