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秋冬に泊まりたい究極の癒し宿5選
【中部エリア編】

2019.11.14
<strong>秋冬に泊まりたい究極の癒し宿5選<br>【中部エリア編】</strong>

全国に多数ある宿の中から、何度も訪れたくなるようなお気に入りの名宿を探すのは至難のワザ。宿泊だけではなく、宿選びは心地よいおもてなしや温泉、絶景、美食に重きを置いてみてはどうだろう。今回は中部エリアの中から、一度泊まればリピートしたくなる、極上宿をご紹介。

主人手打ちの蕎麦に舌鼓
「旅館すぎもと」

奈良朝時代よりの名湯としてある束間の湯。その源泉が旅館すぎもとの中庭から湧出している。大浴場は、地元木曽産の五木でつくられている

宿のあの人に会いに行く。「旅館すぎもと」の主人“花ちゃん”は、まさにそんな気持ちにさせてくれる人。手打ち蕎麦とトーク、選りすぐりの酒と酒肴。“花ちゃん”ワールドに入ったらもう出られません。信州は松本の奥座敷。美ヶ原温泉の宿「旅館すぎもと」は、美食三昧で知られる。客を出迎え、蕎麦を打ち、料理をつくる。ときにはロビーラウンジでお茶やコーヒーを淹れ、ワインやオーディオ談義に花を咲かせる。まさに八面六臂の大活躍。旅館すぎもとを訪ねるということは、すなわち花ちゃんに会いに行くことなのである。

部屋でひと息ついたら、ぜひ見ておきたいものがある。それが、花ちゃんが蕎麦を打つ様子を間近にできる、そば打ち見学。普段は温和な花ちゃんも、このときばかりは真剣な表情で、額に玉の汗を浮かべながら蕎麦と格闘する。夕食の〆にこの蕎麦を手繰ることができるのもうれしい。その夕食もまた、花ちゃんの個性がにじみ出た独特の献立だ。別棟にしつらえられた食事処は地下通路からたどる。このアプローチもまたスリリングな妖しい空気をたたえ、異空間へと誘ってくれる。宴がはじまるやいなや、こよなく酒を愛する花ちゃんならではの、酒飲みのための料理が怒涛のように押し寄せる。

旅館すぎもと
住所:長野県松本市里山辺451-7
Tel:0263-32-3379
E-mail:sugimoto@po.mcci.or.jp
客室数:17室
料金:1泊2食付1万5900円〜(税込)
カード:AMEX、DC、JCB、MASTER、UC、VISA、銀聯ほか
IN:15:00 OUT:10:00
夕食:会席料理(食事処) 朝食:和食(食事処)
温泉:美ケ原温泉(アルカリ性単純泉/源泉掛け流し/加温なし/加水なし/神経痛、リュウマチ、病後回復、ストレス解消、運動機能障害、五十肩、神経痛、冷え性など)
風呂:大浴場・露天風呂男女別各1(温泉)、貸切檜風呂1(無料、温泉)、貸切露天寝湯1(30分2000円、温泉)、貸切露天ジャグジースパ1(無料、温泉ではない)
アクセス:車/中央自動車道松本ICから約25分 電車/JR松本駅からタクシーで15分
館内施設:バー、宴会場、大広間100畳舞台付、中広間50畳椅子付き
Wi-Fi:あり
http://ryokan-sugimoto.com

郷土料理を愉しむ温泉宿
「村のホテル 住吉屋」

美しく光が差し込む大浴場はふたつ。男女入れ替え制で、ひとつには露天も。45℃と熱い湯のため、湯かき棒を用意

人々の暮らしに温泉が寄り添う野沢温泉。村の中心にある「麻釜」の横にあり、明治2年に創業したのが「村のホテル 住吉屋」だ。先々代、先代と代替わりを重ねても、そのスタイルを崩すことなく、素朴な中にも洗練のしつらえを加味し、何より居心地のよさを持ち味としてきた接客の見事さは揺らぐことがない。

野沢温泉で愉しむべき第一は、湯である。“麻釜熱湯噴湯”が象徴するように、とにかく、滔々と湧き出る湯を身にまとうことが、最大の魅力であり、湯なくして野沢温泉は愉しめないのである。湯に加えて、この宿で愉しむべきもの、ふたつ目は食である。地産地消、土地に根づいた料理を、といいながら、京風懐石もどきが全盛の旅館料理にあって、野沢温泉に、古くから伝わる郷土料理を昔ながらのスタイルで供するのも、村のホテル 住吉屋の魅力である。

村のホテル 住吉屋
住所:長野県下高井郡野沢温泉村豊郷8713
Tel:0269-85-2005
E-mail:inquiry@sumiyosiya.co.jp
客室数:14室
料金:1泊2食付1万6500円〜(税・サ別)
カード:DC、MASTER、VISA
IN:12:00 OUT:11:00
夕食:会席料理と郷土料理(食事処) 朝食:和食(食事処)
温泉:野沢温泉 釜辺の湯(ナトリウム-カルシウム硫酸塩泉/源泉掛け流し/加温なし/加水なし/糖尿病、アトピーなど)
風呂:大浴場男女別各1(14:00〜翌10:00)、露天風呂、部屋風呂2※すべて温泉
アクセス:車/上信越自動車道豊田飯山ICから約25分 電車/JR飯山駅からバスで約25分、野沢温泉バス停下車、徒歩5分
館内施設:ラウンジ、ライブラリー、食事処
Wi-Fi:あり

鮎尽くしを愉しめる飛騨古川の
「八ツ三館」

安政年間創業。正面玄関は昭和10年の建物。玄関を入ったところには、季節の室礼が目を愉しませてくれる

21ある客室は、すべて趣が異なり、明治38年に再建され、国登録有形文化財にも指定されている。伝統建築の「招月楼」をはじめ、昭和初期の数寄屋を改築し、モダンなデザインに生まれ変わった。半露天風呂付きの「光月楼 池月」まで、よく手入れの行き届いた部屋が揃う。

何より温泉があるのもうれしい。野趣あふれる露天風呂で、旅の疲れを癒やした後は、待ちかねた夕食だ。山里ならではの鄙びた料理と、洗練の料理が混在し、食べる愉しみを存分に与えてくれる。とりわけ、この飛騨古川で育てられたという、飛騨牛の旨さは群を抜いている。適度に脂がのり、かむほどに旨みが口の中に染みわたる。しかし本命は鮎。お造りはな香りを放ち、塩焼きは天然鮎ならではの旨みをしっかりたたえる。糀干しから〆の鮎雑炊まで、飛騨の鮎を味わい尽くすこともできる。飛騨牛と天然鮎。この取り合わせは、飛騨古川の名宿ならではの贅沢だ。

八ツ三館
住所:岐阜県飛騨市古川町向町1-8-27
Tel:0577-73-2121
E-mail:info@823kan.com
客室数:21室
料金:1泊2食付2万520円〜(税込)
カード:MASTER、VISA
IN:15:00 OUT:10:00
夕食:和食(個室食事処)※鮎懐石は要予約 朝食:和食(個室食事処)
温泉:桃源郷温泉(弱アルカリ性単純泉/源泉掛け流し/加温あり/加水あり/筋肉痛、神経痛、疲労回復、冷え性、慢性消化器病、関節痛、五十肩など)
風呂:大浴場男女別各1(15:00〜23:00、温泉)、露天風呂1(温泉)、貸切風呂1(有料、温泉)、部屋風呂全室
アクセス:車/東海北陸自動車道飛騨清見ICから約20分 電車/JR高山本線飛騨古川駅から徒歩約8分
館内施設:ロビー、ミニライブラリー
Wi-Fi:あり
www.823kan.com

魯山人も愛した加賀の名湯宿
「あらや滔々庵」

かつて藩主が逗留した客殿 大聖寺藩主や北大路魯山人が滞在した「御陣(おちん)の間」を移築。ベンガラの壁に漆塗りの柱など、贅を尽くした建築で、ディテールも興味深い

北陸を代表する温泉地・山代温泉にある宿「あらや滔々庵」。江戸時代には、前田家歴代藩主に愛され、明治に入ってからは皇族も訪れたり、伝統と格式のある旅館だ。北大路魯山人も愛した宿で、ゆかりの作品が残る。魯山人もかつて滞在したという「御陣の間」は昔ながらに、「若菜」、「九谷・兼六」などは広々としたオープンエアのバスルームと、ローベッドを備えた寝室をしつらえ、モダンなインテリアをまとう軽やかな客室になっている。伝統を守りながらも革新を怠らない18代当主の感性が、客の心に響く。

湯上がりに待ち構えるのは加賀ならではの美食三昧の会席。地元橋立漁港に揚がる日本海の幸や近年話題の加賀野菜を熟達の料理長が洗練の技で調理する。加賀はまた名にし負う酒処。地酒に酔うもよし、ワインと合わせるもよし。いずれにせよ加賀百万石の華やぎは約束されている。

あらや滔々庵
住所:石川県加賀市山代温泉18-119
Tel:0761-77-0010
E-mail:info@araya-totoan.com
客室数:18室
料金:1泊2食付3万3000円〜(税別)
カード:AMEX、DC、DINERS、JCB、MASTER、UC、VISA
IN:14:00 OUT:11:00
夕食:会席料理(個室食事処または部屋) 朝食:和食(個室食事処または部屋)
温泉:山代温泉(ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉/源泉掛け流し/加温なし/加水なし/浴用:神経痛、関節痛、冷え症、慢性皮膚病、美肌。飲用:動脈硬化症、高血圧症、糖尿病、貧血症、慢性便秘)
風呂:大浴場男女別計3、露天風呂2、半露天部屋風呂9室 ※すべて温泉
アクセス:車/北陸自動車道加賀ICから約15分 電車/JR北陸本線加賀温泉駅から車で約10分。送迎あり(要予約)
館内施設:バーラウンジ、茶室ギャラリー、食事処、売店
WI-Fi:あり
www.araya-totoan.com/jp

親子3代の心を継ぐ
「オーベルジュ 花季」

シンプルな部屋 客室は2階と3階にひと部屋ある。全館貸切も可能

旅館というよりも一軒の瀟洒な民家。シェフで女将の細やかな心遣いがうれしい「オーベルジュ 花季」。まるで田舎の実家に帰ってきたかのような心温まる滞在ができる。祖母が大女将、母が女将、娘がシェフをつとめ、3代にわたる女性が営んでいた宿。いまは娘一人が孤軍奮闘して守り続けている。

大浴場もなければ、客室露天風呂もない。こぢんまりした客室がふたつ。大きな宿に泊まり慣れている客には、物足りなく映るかもしれないが、実際に泊まってみると、余計なものが何もないだけに、心底安らげることに気づく。

箸をつけるのが惜しまれるほどに、品よく盛られた料理はしかし、口に入れるとその力強い味わいに驚かされる。センスと味わいが共存しているのは、女3代にわたって築いてきた技と心のたまもの。100歳にならんとしても、大女将がなお力強くつくり続けてきた「おばあちゃんの胡麻どうふ」などがその典型だ。ただ料理を出すだけでなく、どれほどその料理に愛情を込めているかを語ってくれた大女将と女将はもう居ないが、その心根はしっかりと残っている。

オーベルジュ花季
住所:静岡県伊東市岡75-32
Tel:0557-38-2020
E-mail:mail@hanagoyomi.jp
客室数:2室
料金:1泊2食付2万8080円〜(税・サ込)
カード:不可
IN:15:00 OUT:11:00
夕食:オリジナル懐石(個室食事処) 朝食:和食(個室食事処)
温泉:伊東温泉(弱アルカリ性単純泉/源泉掛け流しではない/加温あり/加水なし/疲労回復など)
風呂:部屋風呂2(温泉)
アクセス:車/東名高速道路厚木ICから小田原厚木道路経由約1時間45分 電車/JR伊東線・伊豆急行伊東駅からタクシーで約10分
館内施設:ラウンジ、食事処
Wi-Fi:あり
www.hanagoyomi.jp

美味しい料理や見事な接客で喜ばせてくれる宿に泊まることも、旅の醍醐味である。いい宿を見つけたら、そこはもう一度訪れたい場所にもなる。秋冬の旅では、こんな極上の癒しを味わってみてはいかがだろう。

≪秋冬に泊まりたい究極の癒し宿5選【中部エリア編】≫

主人手打ちの蕎麦に舌鼓、酒肴と酒で夜は更けて。「旅館すぎもと」

野沢温泉の熱めの湯に浸かり、信州の郷土料理を愉しむ温泉宿「村のホテル 住吉屋」

歴史160年以上の国登録有形文化財、鮎尽くしを愉しめる飛騨古川の老舗宿「八ツ三館」

魯山人も愛した悠久の時を感じさせる加賀の名湯宿「あらや滔々庵」

親子3代の心を継ぐもてなしを堪能できる小さな料理旅館「オーベルジュ 花季」

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