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《九州観光まちづくりAWARD2025》も、
文化観光の先端事例が多くノミネートされました。

2025.9.30 PR
《九州観光まちづくりAWARD2025》も、 <br>文化観光の先端事例が多くノミネートされました。

今年で4回目の開催となった、JR九州が手掛ける「九州観光まちづくりAWARD」が2025年も始動。宿・食・ものづくり・にぎわいづくりなど、旅心をくすぐる、魅力的な取り組みとの出会い。今回ご紹介した10組は、「九州観光まちづくりAWARD2025」の最終選考に残った皆さん。7名の審査員のコメントとともに感動に満ちたアワードを振り返ろう。

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熱を帯びる検討委員会

視察を終えた7月某日、7名の審査員が再び集まり、検討会が開催された。九州での視察を重ねるごとに連帯感を深める審査員一同は、和やかな雰囲気の中で、熱い議論を交わした

2025年の検討会は例年以上に大混戦。廃校、商店街、間伐問題など、全国にも共通する課題に取り組む候補者も多く、観光のヒントになりそうな事例も目立った。「個人で尽力されている活動に光を当てたい」という九州旅客鉄道代表取締役社長執行役員・古宮洋二さんの想いの下、熱の込もった意見交換が重ねられ、栄えある大賞は「前田和子さん・大串幸男さん(白糸の森)」に決定。部門賞にも素晴らしい取り組みが並んだ。

特筆すべきは、「特別賞-NEXT CREATE-」を、アワード史上最多の5組が受賞したことだ。その取り組みのレベルの高さ、今後への期待から、最終候補10組すべてが受賞という異例の結果となった。

「賞の本当の価値は、受賞後にどれだけ波紋を広げられるか。受賞が個人の背中を押し、周りを感化し、よりよい未来へ変えていく。それが私たちの願いです」と建築家・永山祐子さんは語る。2025年2月には、これまでの受賞者が一堂に会するシンポジウムが福岡で開催。受賞者同士の交流で、新たな連携が芽吹く兆しも見られた。これからも「九州観光まちづくりAWARD」は、地域の挑戦を力強く後押ししていく。

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「九州観光まちづくりAWARD2025」の概要

ロゴは、アワードを通して新たに生まれるであろう縁により、「ひと」と「まち」が循環し、ゆるやかにつながる九州の未来を表現。手掛けたのは福岡・長崎で活躍するデザイナー・川路あずさ氏

基本理念
九州に根付き、魅力ある「まち」へと成長させる人物・団体を称え、地域の誇りになり、さらには旅人に感動を与えていく。

目的
九州で、その地域ならではの伝統・伝承を守りながら、未来に向けて新しい「もの」「こと」「風景」 を生み出している方々に光を当て、その土地ならではの魅力を発信する。

審査基準
1 「伝統」そのまち固有の風土、歴史、伝承を尊重している。
2 「進化」既存の概念にとらわれず、未来につながる新たな価値を創造している。
3 「循環」豊かな自然を生かし・守り、持続的に発展している。
4 「共働」まち全体を巻き込みながら、尽力している。
5 「多様」旅人、住民を問わず、誰もが体感できる。

募集対象
九州エリアで以下の事業などに従事し、その地域ならではの伝統・伝承を守りながら、新しい「もの」「こと」「風景」を生み出している人物および団体
◎飲食業、菓子製造業、農業、漁業など
◎工芸、物産、お土産、体験プランなど
◎イベント、地域の産業・取組み、複数の事業者・コンテンツで構成するツーリズム形成など ◎宿泊施設、民泊など

スケジュール
1月23日〜3月31日 募集期間
〜書類選考〜
7月1日〜4日 ノミネート者の視察
7月17日 検討委員会・受賞者決定
12月3日 表彰式

受賞者
大賞 前田和子・大串幸男(白糸の森) 福岡・糸島市
金賞 宿(おもてなし)部門 柳川藩主立花邸 御花 福岡・柳川市
金賞 食部門 神谷禎恵 大分・宇佐市
金賞 ものづくり部門 ヤマチク 熊本・南関町
金賞 にぎわいづくり部門 陣野真理 長崎・諫早市
特別賞 –NEXT CREATE-
名尾手すき和紙 佐賀県・佐賀市
球磨焼酎蔵ツーリズム協議会 熊本県・人吉球磨
冨士屋ホテル(一也百 Hall&Gallery) 大分県・別府市
ユクサおおすみ海の学校 鹿児島県・鹿屋市
obama village 鹿児島県・霧島市

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審査委員会

審査委員長
九州旅客鉄道代表取締役社長執行役員
古宮洋二(ふるみや ようじ)
福岡県出身。九州大学工学部を卒業後、日本国有鉄道に入社。九州旅客鉄道では九州新幹線の全通と豪華列車「ななつ星 in 九州」の実現に尽力。2022年4月に現職に就任。

本年も多くの方々から、「九州観光まちづくりAWARD」に昨年を超えるエントリーをいただき、心より感謝申し上げます。アワードも4回目を迎え、今回あらためて開催する意義、そして受賞者を選ぶことの意味を深く見つめ直しました。
世界を変えようとその土地を生かして情熱を燃やす、個人や企業の皆さまを応援できること、特に個人で力を尽くす方々に受賞で光を当てられることこそが、本アワードの神髄だと感じております。
九州には“燃える”人が多いといわれています。必要とあれば仕事を辞めて、住まいを移し、自然の循環まで考えて取り組みを広げていく、その真摯な姿に毎回、胸を打たれます。
何よりも、審査員だけでなく、たくさんの方に受賞者の皆さんの活動を訪ねて旅をしていただきたいですね。宿・食・ものづくり・にぎわいづくりと多彩な楽しさと感動にあふれた、忘れない旅になるでしょう。本アワード自体のさらなる成長も重要です。認知度が高まれば、さらにエントリーが増えるはず。自薦も他薦もお待ちしています。

 

ホテルジャーナリスト
せきねきょうこ
仏アンジェ西カトリック大学留学後、スイスの山岳リゾート地で観光案内所に勤務。環境・癒し・おもてなしを軸に現場主義を貫く。近著に『星野リゾート10の物語』など。

柳川藩主立花邸 御花は、案内いただいたスタッフの方の所作や言葉遣いも完璧で、ハードだけでなく、素晴らしい体制を整えられていることに驚きました。そして、神谷禎恵さんのお料理には完全に胃袋をつかまれてしまいました。おにぎりはいま世界中で流行中。インバウンドの方も呼び込む力があると思います。

 

伝統技術ディレクター
立川裕大(たちかわ ゆうだい)
長崎県出身。最先端の空間に伝統工芸のアートオブジェなどを別注製作するブランド「ubushina」と、国内初となる伝統工芸のラグジュアリーブランド「AMUAMI」を主宰。

情熱をかけて活動する皆さんに、今回も感銘を受けました。特に、名尾手すき和紙は、その土地の授かり物である自生する梶の木を生かした、唯一無二の営みに感動しました。谷口さんがつくるものはワールドクラスで、「Think Global, Act Local」(地球規模で考え、地域で行動する)を地でいく人。今後の展開も楽しみです。

 

菓子研究家
福田里香(ふくだ りか)
福岡県出身。食にまつわるモノ・コトのディレクションを手掛ける。著書に『季節の果物でジャムを炊く』(立東舎)、『新しいサラダ』(KADOKAWA)ほか多数。

神谷禎恵さんのお料理の美味しさに感動!お母さまとご本人の2代にわたる舌の確かさに震えました。これから国内だけではなく海外にもさらに出ていく方だと思います。陣野真理さんの地元の高校生たちへの温かい目線も感動的でした。次回は審査でなかなかうかがえていない宮崎の皆さまにも、ぜひ応募していただきたいです。

 

建築家
永山祐子(ながやま ゆうこ)
ドバイ国際博覧会日本館、大阪・関西万博のウーマンズ パビリオン、ノモの国などの設計を担当。受賞歴にJIA新人賞(2014)、照明学会照明デザイン賞最優秀賞(2021)など。

全体的なクオリティが高いと感じたのはobama village。昔ながらの文化を生かして、海にまず背を向ける建築というなかなかできない発想に驚きました。これからに期待しています。柳川藩主立花邸 御花は、伝統をどう未来につなげるか、どこまで遠い未来を視野に入れてチャレンジするかというヴィジョンに胸を打たれました。

 

俳優
宮﨑香蓮(みやざき かれん)
長崎県出身。島原ふるさとPR大使。第11回全日本国民的美少女コンテスト演技部門賞受賞後、デビュー。ドラマや映画、舞台などで活躍。長崎の魅力を県内外に発信。

視察で九州をめぐると海や山など雄大な自然にあふれていて。だから九州にはパワフルな方が多いのかなと感じました。ユクサおおすみ海の学校は、思い出のロケ地が楽しい場所として残っているのでうれしかったです。私もいつか地元で長崎のために何かしたいので、そのときは陣野真理さんにヒントをもらいに行きたいです。

 

Discover Japan統括編集長
髙橋俊宏(たかはし としひろ)
岡山県出身。雑誌メディアを軸に、イベントや場づくりのプロデュース、デジタル事業や海外展開などにも積極的に取り組む。審査員やアドバイザーの実績も多数。

今回も未来への期待がもてる見事な取り組みばかり。焼酎を軸に力強く復興していく球磨焼酎蔵ツーリズム協議会の皆さんには頭が下がります。これからもその活動にも注目していきたいですね。大分・別府に息づく湯治文化を再編集して発信する冨士屋ホテルは、オリジナルレシピの地獄蒸しの美味しさも心に残りました。

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旅の目的地にしたい九州に、
2025年も出合いました。

九州各地に自然・食・温泉・宿・にぎわいづくりなど、地域を生かした個性豊かな10の取り組みが点在!この秋は、気になるスポットをめぐるオリジナルのルートをつくって、九州をぐるりと旅してみては?

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text: Nozomi Kage photo: Hiromasa Otsuka
2025年10月号「行きたいまち、住みたいまち。/九州」

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