陶芸家《増渕篤宥》
確かな技術力と感性が生み出す
機能的で繊細なうつわ
|渋谷パルコ「増渕篤宥・武 二香 二人展」
東京・渋谷パルコにて2026年3月14日(土)~3月22日(日)にかけて開催される「増渕篤宥・武 二香 二人展」。身近な動植物を作品に落とし込み、生命力みなぎる二人の作品は、日常生活に癒しと温もりを与えてくれる。本記事ではトクサ(シダ植物)を模したトクサ模様を描く増渕篤宥さんのうつわをご紹介。機械では表現し難い、繊細かつ揺らぎを備えた無二の世界観を堪能してみてほしい。
※個展初日の入店について、一部時間帯に整理券が必要です。詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)、または公式オンラインショップをご確認ください。
Discover Japan公式オンラインショップでは、本展の一部作品を2026年3月17日(火) 20時より順次販売予定です。(店頭の販売状況により日程・内容が変更になる場合があります)

増渕篤宥(ますぶち・とくひろ)
茨城県生まれ。1990年東京デザイナー学院卒業。1992年、愛知県立瀬戸窯業高等技術専門校修了。愛知、茨城、宮崎の窯元で学び、2005年に独立。現在、宮崎県小林市にて作陶している。
一本の線に宿る美——
増渕篤宥のトクサ模様

まっすぐ伸びる姿が美しい「トクサ(砥草)」は、日本庭園でもよく見掛けるシダ植物。この力強いシルエットをモチーフにした縦縞のトクサ模様は、成長や繁栄の縁起柄として、江戸時代から和食器や着物に広く使われてきた。
増渕篤宥さんもトクサ模様を長年展開している。モノトーンの縞模様がトレードマークで、伝統的な柄でありながら、どこかモダンな雰囲気が漂う。以前、某食品メーカーのCMでお茶漬け碗が採用されたこともあるほど、知る人ぞ知る名作だ。
一本一本、丁寧に引かれた縦縞は、緻密で繊細。その均一な仕上がりは、まさに職人技と呼ぶにふさわしい。

迷いのない筆致は、熟練の技ならでは。「以前、愛知の工房で修業していた頃に、ひたすら丼に線を描いていました。お昼ごはんを食べた後は、眠くて大変でした(笑)」
「すべてフリーハンドで描いていきます。等間隔に見えるかもしれませんが、実際はそうでもなくて。最後の5~6本描き込むところで『5本入れるか?それとも6本入れるか?』、その都度判断しながら線を埋めていきます。一番大事なのは、うつわの正面に対して垂直に引けるかどうか。数ミリでも角度がズレてしまうと、全体的にねじれが生じてしまい、トクサではなくなってしまいますからね」と増渕さんは言う。
垂直に引くコツは、うつわの天と地に照準を合わせるのではなく、そのずっと向こう側を意識して描くこと。すると、すーっと垂直な線が引ける。さらに機械では出せない、手描きならではの濃淡や揺らぎも生まれる。

昔から木工や彫金にも憧れがあった増渕さんは、きめ細かな模様を焼物の世界で表現してきた。なぜ陶器にこだわるのかをたずねてみると「水に濡らしても大丈夫だし、電子レンジもOK。普段使いできるからです。美術工芸品とは異なる、ちょっと背伸びをすれば手が届くうつわを提案したかったんです」。
そうほほ笑む増渕さん。機能性を重視した、無駄のないすっきりとした形状にも長年の経験を感じさせる。トクサ柄は和洋中、盛りつける料理を選ばない。食卓のアクセントに一枚どうだろう。
生活に寄り添うデザイン性。増渕篤宥のうつわ
作品ラインアップ
心地よく、すっと手に収まる角度。重みを感じさせないバランス。何げないが、実は計算し尽くされた、絶妙なかたちの数々。

マグカップ トクサ 角
厚過ぎず、薄過ぎず、口当たりのよい口縁。絶妙なハンドル形状が、持ったときの重さを感じさせない。

スープボウル トクサ 耳付き
ハンドル部分は手で支えるのにちょうどいい形状。口が広く、底が浅めなので、具だくさんのスープもすくいやすい。

蓋物 トクサ
漬け物などの保存容器として重宝する。蓋と本体をそれぞれ単体で使うこともできる万能アイテムだ。

深皿 トクサ 8号
トクサ紋様を堪能できる大皿。口縁を丸く成形し、うつわの強度を上げている。余白を意識して上品に盛りつけて。
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個展作品がオンラインで買える!
公式オンラインショップ
陶芸家《武二香》
生活に彩りを添える作品
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増渕篤宥・武 二香 二人展
会期|3月14日(土)~22日(日)
会場|Discover Japan Lab.
住所|東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 1F
Tel|03-6455-2380
営業時間|11:00~21:00
定休日|不定休
※詳細は公式Instagram(@discoverjapan_lab)にてご確認ください。
※サイズ・重量は掲載商品の実寸です。同じシリーズでも個体差があります。
text: Misa Hasebe photo: Shiho Akiyama
2026年4月号「地域の“旬”感へ」


































