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観光庁が選定した
モデル地域の課題や今後の展望とは?
|日本の観光地づくりのカギは地方に!

2025.4.30
観光庁が選定した<br>モデル地域の課題や今後の展望とは?<br><small>|日本の観光地づくりのカギは地方に!</small>

日本が真の観光立国となっていくために必要なのが、地域の魅力の磨き上げや、地域全体を挙げての魅力ある観光地づくりだ。その現状や展望を観光庁の担当者にうかがった。モデル地域に高付加価値旅行者が来るためには……?

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各モデル地域における4つの課題

〈ウリ〉

潜在的価値のある観光資源が多く眠る14地域では、大自然や文化を満喫できる体験や、地元食材を使った料理など、それぞれのウリとなる観光コンテンツを醸成中。

〈ヤド〉

上質かつ風土を感じられる宿泊施設は、大都市圏と比べると地方は数が少ない。また、歴史や文化、宗教の異なる高付加価値旅行者に向けて、滞在の多様化も目指している。

〈ヒト〉

訪日旅行者の中には、日本語や日本の慣習に精通していない方もいるだろう。そんな彼らの旅の満足度を上げるコンシェルジュや観光ガイドを増やしていくことが目標。

〈コネ〉

高付加価値旅行者の誘客にあたっては、ラグジュアリートラベルマーケットに有力なネットワークをもつ、世界的なコンソーシアムへのアプローチが必要となってくる。

祈りと関わりが深い地域の今後の展望とは?

〈山形エリア〉

国籍を問わず関心の高い羽黒修験道にまつわる体験や、出羽三山神社の門前町にある宿坊街、豊富な食コンテンツを主軸に、米沢織の工場見学ツアーなど工芸の体験も強化。海外人材育成学校との連携でホスピタリティ人材の確保にも努めているため、訪日旅行客にとって観光しやすい場所へと進化している。

 

〈富士山麓エリア〉

富士山麓地域の信仰文化を発信することで、絶景スポットとしての富士山だけではなく、“五感で感じる富士山”として精神的価値の向上につなげている。また、富士山の混雑を緩和するために、身延山など周辺の観光コンテンツも強化。今後は山梨・静岡の両側からの観光地づくりも進めていく予定だ。

 

〈伊勢志摩及び周辺地域エリア〉

写真提供=神宮司庁

伊勢神宮を訪れる外国人旅行者の割合は、わずか1~2%。大阪、名古屋からの日帰り観光も多いことから、今後は伊勢志摩の文化や産業を核とした体験コンテンツを造成することで、滞在の幅を広げる。地域を俯瞰して語るインタープリターの育成も進めるなど、地域全体を巻き込んだまちづくりを目指している。

 

〈紀伊山地及び周辺地域エリア〉

高付加価値旅行者が集中している京都や大阪と合わせて立ち寄る場所として、紀伊半島全体でアピール。信仰の生まれた地、日本人の旅の原点として「日本を知る旅」をコンセプトに、世界的に有名な熊野古道を中心に、認知拡大・誘客に取り組んでおり、近隣エリアである伊勢志摩との連携も進めている。

 

〈鳥取・島根エリア〉

新幹線が未開通のため、岡山と出雲市を結ぶ特急列車「やくも」にて日本の田園風景を楽しむ列車の旅といった提案を検討中。また、ラグジュアリーな小型バスなどを利用したプランも計画している。日本神話の聖地であり、日本人特有の精神が体感できるため、その価値を認めてくれる人を誘客したいと考えている。

 

〈鹿児島・阿蘇・雲仙エリア〉

「火山との共生」をテーマに、食文化や山岳信仰、パノラミックな自然の3本柱で展開。そのほかにも、鹿児島の桜島の溶岩原を感じるE-bikeなどのアクティビティ、阿蘇の草原の環境保全にもつながる乗馬体験、雲仙の文明開化の時代に人気だった天幕レストランの復活など、独自の体験も磨き上げている。

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観光庁「地方における高付加価値なインバウンド観光地づくり」
詳細はこちら≫

text: Natsu Arai
2025年3月号「ニッポンのまちづくり最前線」

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