D&S列車「36ぷらす3」が
つなぐ、九州の景色。
後編|地域の人と触れ合う「おもてなし駅」とは?
5周年を迎えたJR九州のD&S(デザイン&ストーリー)列車「36ぷらす3」。九州を一周するルートの中から、より九州の深部に触れられる、宮崎から大分へ向かう「緑の路」を紹介。沿線の魅力を詰め込んで進化を続ける、列車のいまをお届けする。
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土地を訪れ、 滋味を味わい、
人の温かさに触れる
もうひとつの魅力が、途中で停車して地域の人と触れ合う「おもてなし駅」だ。宮崎を抜けて大分の山間にある重岡駅では、ホームで地域の名物を販売しており大賑わい。おもてなしに携わる「観光まちづくり佐伯」の軸丸綾香さんは、「宇目の名産・和栗のジャムやどら焼きなど、地域が誇る『窓の外に見える緑の味』を並べています」と話す。

つくり手のお母さんたちと、乗客の「美味しい!」を介した交流が生まれ、互いに元気を与え合う場になっている。JR九州の「九州を元気にしたい」という思いに共鳴した軸丸さんの活動はさらに広がり、ボランティア団体「直川サンキュー会」も立ち上げた。月に一度、住民が約30人集まり、田畑から列車に向かって手を振る。その地点は、「36ぷらす3」もゆっくりと走行。「乗客と地域の人々の目が合って、旅の記憶として残る美しい一瞬を届けられたら」と軸丸さん。

さらに「音楽でもおもてなしを」というJR九州の依頼に応えて、シンガーソングライターでもある軸丸さんが作曲した『36ぷらす3のテーマ』は、旅のフィナーレで車内で流れる。「目指すは世界一の感謝の輪」と歌う伸びやかな声が旅の余韻をそっと包み込む。
「人生の伴走をしてくれていたJR九州。そのD&S列車にかかわれることは、私の宝物」と語る軸丸さん。5年前と変わらぬ熱量で、地域とおもてなしを続けている。
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〈13:20〉
最初のおもてなし駅に到着

カフェ・書店・イベントで賑わいを生み出す延岡駅直結の施設「エンクロス」。ホームでは、蔦屋書店 延岡エンクロス店がセレクトした破れ饅頭やのべおか茶などの延岡名物を販売。
〈14:17〉
秘境駅の散策も愉しい

1日3本しか停車しない無人の宗太郎駅。鉄道ファンからは、九州で有名な秘境駅のひとつとして知られる。山深い緑に囲まれた深呼吸したくなるような場所だ。約10分散策ができる。

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〈14:35〉
ふたつ目のおもてなし駅へ

重岡駅では、宇目の名物を地域の人と会話しながら購入できる。「和栗のジャム(レモン、洋酒、バター)や生どら焼きを味わって」と軸丸さん。


〈15:10〉
大分の名産を使った「九州の梅体験」

大分・日田の梅の魅力を教えてもらいながら梅酒&梅シロップづくりを楽しめる。「36ぷらす3」のゴールドのロゴにちなみ、金箔入りの金平糖を使う。熟成する3カ月後、旅を思い出しながら味わうのが楽しみに。

〈17:12〉
大分経由で、別府駅に到着!
2026年秋には、6号車の座席が個室にリニューアル予定。さらに沿線のみならず、離島といったより深い九州の魅力を、車内販売などを通して届けていくなど、進化は止まらない。土地を訪れ、滋味を味わい、人の温かさに触れる。それが何より豊かで尊いことか。驚き、感動、そして幸せを届けてくれる36ぷらす3に乗れば、心が解きほぐされ、明日へ向かう力がわいてくる。
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≫公式サイト
Train Data
名称|36ぷらす3
車両数|6両編成
席数|105席(全席グリーン)
施設|ビュッフェ、マルチカーなど
商品概要|食事付き「ランチプラン」、きっぷのみ「グリーン席プラン」の2種類
料金(土曜日ルート緑の路)|ランチプラン大人1名
2万4400円(個室)、1万9400円(座席)
※その他料金詳細は→ https://www.jrkyushu-36plus3.jp/guidance/
Rail Data
◎木曜/博多⇒熊本⇒鹿児島中央
◎金曜/鹿児島中央⇒霧島神宮⇒宮崎
◎土曜/宮崎空港・宮崎⇒大分・別府
◎日曜/大分・別府⇒小倉・博多
◎月曜/(佐世保行)博多⇒佐賀⇒肥前浜⇒武雄温泉⇒早岐⇒佐世保
(博多行)佐世保⇒早岐⇒有田⇒武雄温泉⇒江北⇒佐賀⇒新鳥栖⇒鳥栖⇒博多
※2026年1月6日時点の時刻、料金です。
text: Nozomi Kage photo: Kousaku Kitajima
2026年2月号「地域を変える企業」



































