進化を続ける海藻文化を再発見!
《シーベジタブル》が目指す、海藻の未来とは?
後編|新たな海藻の食体験

海の生態系が変化し、危機にさらされている海藻食文化を次世代につなげるシーベジタブルの挑戦は、世界の食シーンに未知のインパクトをもたらしている。シーベジタブルが目指す、海藻の未来とは?
生産から消費まで、
新しい海藻文化が広がっています!

シーベジタブルは各地の漁業者と手を組み、多種類の海藻栽培を行う。すじ青のりの地下海水を利用した陸上栽培にはじまり、黒海苔(学名:スサビノリ)の量産技術の確立など、そのすべてが世界初の快挙。30種類以上の海藻の種苗生産技術を確立し、海面栽培においては海の生態系を守りながら、漁師たちの生業も生んでいる。

シーベジタブルは、世界ではじめて地下海水を使用した海藻の量産型の陸上栽培に成功。地下海水は異物混入が少なく清浄で、一年を通して水温が安定している。現在、全国各地で風味豊かなすじ青のりやあつばアオサを育てている
また、蜂谷さんと友廣さんは、公益財団法人日本財団の支援を受け、海洋環境の改善を目的に調査研究を行う「グッドシー」を設立。海藻栽培によって生まれる藻場を「養殖藻場」と命名した。国の水産研究・教育機構や大学の研究者とともに海藻を育てる養殖藻場と、同環境で何もしないエリアとの差異を1年かけ研究。その結果、ひじきの養殖藻場では、小型生物が2億匹以上増加、とさかのりの養殖藻場では魚類の個体数が最大36倍増えるなど、海藻栽培が磯焼けの解消につながるエビデンスが科学的に検証された。

一般的な海藻以外は種苗が供給できず、一部の海藻、海域でしか栽培できなかった。そこでシーベジタブルが種苗を生産し、漁師と連携して海面栽培することで多種多様な海藻の生産を各地で実現。豊かな生態系につながっている
研究・生産だけでなく、消費を促進する活動も多岐にわたる。世界最高峰のレストラン「noma」のDNAを受け継ぐ「INUA」でスーシェフを務めていた石坂秀威さん率いるテストキッチンでは、海藻のイノベーティブな料理や、斬新な海藻発酵調味料など、新しい食体験を創出。

また、パートナーシェフのすし作家・岡田大介さんは実践しやすい海藻レシピの開発をするなど、多彩な活動を行う。この先鋭的な活動が多様なコラボレーションを生み、2024年には、日本橋三越本店と伊勢丹 新宿店の食品売場の120店舗で海藻を使ったメニューを販売する特別イベントを開催。2025年4月からはセブンプレミアムブランドからすじ青のりを使用した3商品も発売している。
「ディベロッパーやエネルギー産業など、多分野多業種からの問い合わせも増え、海藻の新たな可能性を切り拓く共創プロジェクトコミュニティ『SEA VEGETABLE Co Creation Project』もはじまりました。共創を通じて海の環境と海藻食文化を守りながら、豊かな暮らしにつなげていきたいです」
海藻の力を発信中!
SEA VEGETABLE Test Kitchen

テストキッチンチームは、かつてない海藻の商品開発や新しい食べ方、加工方法の研究を行っているほか、国内外のイベントで海藻のガストロノミー体験を届けている。


主原料に最高級品種の生すじ青のりを使用。こだわりの天然塩や仕込み水、米麹で発酵させた世界でも類を見ない海藻発酵調味料は、食材に豊かな風味を加える
photo: Nathalie Cantacuzino
パートナーシェフ・岡田大介さん×レシピ開発

すし作家の岡田大介さんはシーベジタブルと出合ったことで海藻に開眼。現在はパートナーシェフとして、日々の食卓に生かせる海藻料理レシピを数多く考案。これまでに200以上のレシピを生み出している。

すし作家、海藻料理研究家。海、釣り、魚、すし、海藻にまつわる執筆、講演、企画などさまざまな活動をしている
セブン-イレブンなどでの
すじ青のり商品の発売

(真ん中)セブンプレミアム塩焼そば 価格:238円(税抜)
シーベジタブルの香り高いすじ青のりを贅沢に使用した下記の3品を、2025年4月より数量限定で発売した。
特別イベント
「EAT & MEETSEA VEGETABLE」
@日本橋三越本店、伊勢丹 新宿店

シーベジタブルの活動に共鳴した日本橋三越本店、伊勢丹 新宿店のバイヤーが海藻を使ったイベントを企画。和洋菓子や総菜など食品売場のほぼすべての120店舗以上が参加。三越伊勢丹のバイヤー総出で開発した170以上の新商品が3週間にわたって並んだ。
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シーベジタブル
住所|高知県安芸市穴内乙688-9
Tel|0887-37-9835
https://seaveges.com
text: Ryosuke Fujitani
2025年6月号「人生100年時代、食を考える。」