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香川県・高松市《OHLOY BREWING》
ローカルの魅力あふれる
クラフトビールに出合う

2025.8.6
香川県・高松市《OHLOY BREWING》<br>ローカルの魅力あふれる<br>クラフトビールに出合う

香川県高松市で人気のブルワリー「OHLOY BREWINGオーロイ ブルーイング」は、地域の魅力が詰まったクラフトビールを生み出している。香川県産の米を原料に使ったビールや、高松盆栽をラベルに描いたビールなど、その個性は多彩だ。さまざまな職を経験してきた代表・渡辺仁史さんだからこそ生み出せるクラフトビールとは──。

写真=近藤拓海

オーロイブルーイング
代表取締役・渡辺仁史さん
香川県坂出市出身。自動車整備士、バリスタ、焙煎士を経てブルワーに。2022年より「ビールを軸に人、地域、世の中に潤いを」をスローガンに掲げたOHLOY BREWINGを始動させる。

自動車整備士からバリスタ、焙煎士
異色の経歴が導いたビールづくり

現在は自家醸造所をもたない“ファントムブルワリー”
立ち上げから携わった「瀬戸内醸造所」の設備を間借りして製造。醸造所の仕事と並行してスタートさせた。
写真=近藤拓海

ファントムブルワリーとしてスタートを切り、口コミで徐々に人気を集めてきた「OHLOY BREWING」。ブルワーの渡辺仁史さんは「これから一気に動きます。ようやくですね」と話す。活動4年目を迎えるブルワリーは来春、高松市牟礼町むれちょうに念願の自社工場を開業する予定だ。そんな渡辺さんの職歴は自動車整備士、バリスタ、焙煎士と、一見ひとつながりには見えにくい。だが、点と点だったはずの経験が、一生を懸ける醸造の道へと収束していく。

自動車整備士の仕事は高校時代からの夢だったというが、買い替えの風潮が高まってきたことで業界に見切りをつけたのが26歳のとき。コーヒーに興味を抱いた渡辺さんは「スターバックスコーヒージャパン」に転職し、経験を積んだ後、焙煎士の研修のためアメリカで過ごすこととなる。そこで出合ったものが、ローカルに愛されるクラフトビール。その存在が、渡辺さんの価値観を大きく塗り替えた。「仲間とビール屋さんをめぐっていたのですが、文化が街ごとに違うからこそブルワリーの世界観も違って。地元に根づいている感じが心に響いて、自分のやりたいことはこれかもしれないと思うようなりました」。

帰国後にブランドを象徴する焙煎所の立ち上げという大役を果たした後、ブルワリーの門をたたいた渡辺さん。「コーヒー豆の品質を評価するカッピングを日々行ってきたのですが、ビールでも同じ作業を行うんです。あと、機械の仕組みを知っているといないとでは醸造に対するハードルが変わるのですが、ここで意外にも整備士のスキルが生きてきて……」と、未経験ながら醸造責任者候補として迎えられた。

地域のヒトやモノをつなぐタップルーム
交流のある人々のビールを提供するほか、ポップアップイベントも開催。UターンやIターンを呼び込む高松市のハブを目指している

アメリカのブルワリーの在り方に共感した渡辺さんはいま、若者が地元に残って働きたいと思えるようなブランドを目指している。その第一歩として、自社工場を自然や景観が美しい牟礼町に開業する予定。「クラフトビールには多様なスタイルがありますが、それぞれ歴史的背景がちゃんとあるんです。だからこそ基本は崩さず、香川の要素や地元の素材を入れ込みたいですね」と、歩んできた軌跡が注ぎ込まれているOHLOY BREWINGのビール。挑戦の第2幕は、来春はじまる予定だ。

商品ラインアップ

価格|930円/350㎖ 原材料|大麦麦芽(ドイツ製造、イギリス製造)オーツ麦、小麦、ホップ アルコール度数|4.5% スタイル| Session Hazy IPA

夏にぴったりなフルーティフレーバー
《Lil’Chill》
年に数回しか醸造しない希少品。低アルコールかつ華やかな飲み口は、リラックスタイムのおともに。ハコフグをイメージしたラベルは香川在住のアーティスト・西原楓さんが担当。

価格|850円/350㎖ 原材料|大麦麦芽(カナダ製造、イギリス製造、ドイツ製造)、ホップ アルコール度数|6.5% スタイル|West Coast IPA

味わいのイメージ“高松盆栽”
《Seki》
肉々しい料理と合わせる食中酒としてはもちろん、苦みと香りの強い余韻を楽しむ締めの一杯にも最適。高松盆栽をイメージしたラベルも、西原楓さんがデザインしている。

価格|850円/350㎖ 原材料|大麦麦芽(カナダ製造、ドイツ製造)、米(香川県産)、ホップ アルコール度数|5.0% スタイル|NZ Hop Pilsner

香川県産の“米”も原料に
《koero》
雪解け水のようにみずみずしく軽やか。ラベルには地元のフォトグラファー・近藤拓海さんを起用した。

価格|930円/350㎖ 原材料|大麦麦芽(ドイツ製造、カナダ製造、イギリス製造)、米、ホップ アルコール度数|4.5% スタイル|Dark Rice Lager

飲みやすいダークラガー
《Dewks》
冷水で抽出した濃色麦芽と、炊いた米を掛け合わせることで、水出しコーヒーのように軽やかな仕上がりに。ラベルは“ダイナー”をイメージして西原楓さんがデザインした。

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text: Natsu Arai photo: Shiho Akiyama
2025年9月号「木と生きる2025」

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