FOOD

《魚カタログ》
一度は食べてみたい!深海魚②
|ハマダイ / アカムツ / アンコウ / キンメダイ

2025.1.9
《魚カタログ》<br>一度は食べてみたい!深海魚②<br><small>|ハマダイ / アカムツ / アンコウ / キンメダイ</small>

豊かな魚文化が根づく日本。海水魚や淡水魚、魚以外の甲殻類や軟体類まで……。知っているようで知らない、美味しい魚について生物ライターの平坂 寛さんに教えてもらった。その中でも今回は、水深200mよりも深い海底に暮らす深海魚たち。彼らは人間の生活とは決して交わることのない遠い存在……。そんな深海魚の中には、実は食用魚も多いのだ。

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《ハマダイ》
沖縄三大高級魚のひとつ

「美しさと旨さを兼ね備える」とも
南洋の深海魚の代表格。全長1mを超える大型魚で、主に水深200~400mで漁獲される。沖縄ではスジアラ、シロクラベラと並び三大高級魚の一角とされる。深海漁業が盛んでない沖縄で積極的に漁獲される数少ない深海魚。

〈美味しい食べ方〉

美しい体色を生かした皮霜造りが好まれる。出汁を生かしたあら汁やマース煮も旨い。

《アカムツ》
白身にからむ脂の妙味

「のどが黒いのはなぜ?」
キンメダイと並んで深海高級魚のスター格。どう料理しても美味しく、姿も美しい。ノドグロの別名通り口腔から腹腔が黒く染まる。これはホタルイカのように発光する生物を捕食した際に、その光が外に漏れて捕食者に発見されるのを防ぐためと考えられる。「ムツ」とは脂っぽいことを表す語であり、この名をもつ魚は本種しかり脂ののった美味しい魚が多い。

〈美味しい食べ方〉

塩焼きは箸を入れるとふっくらとしつつ、ジュワリと脂がにじみ出す。

《アンコウ》
見た目と味のギャップ大

「実は2種類いるんです!」
知名度こそ高いが、深海魚であることは意外と知られていない。肉、皮、内臓、出汁のすべてが旨く捨てるところがない。特に肝臓はあんきもとして珍重される。なお、アンコウという名で流通する魚には「アンコウ」と「キアンコウ」の2種があり、どちらも美味。キアンコウを「ホンアンコウ」、アンコウを「クツアンコウ」と呼ぶ地域もある。

〈美味しい食べ方〉

茨城や福島の郷土料理である「どぶ汁」は全身をくまなく堪能できる。

《キンメダイ》
食用深海魚界のスター

「なぜ眼が金色?」
深紅の魚体に優れた味わいを備えた秀魚。食用とされる深海魚の中でも特に広く支持を集める。金色に輝く眼は内部にタペータムという反射組織があるためで、暗い深海でわずかな光を集め周囲を視認する。こうした特徴ゆえ水深700m以深にも生息できる。捕れてすぐは体側や腹部が銀白色に輝く。しかし絶命するとみるみるうちに全身が赤一色に染まっていく。

〈美味しい食べ方〉

煮付も有名だが、刺身も捨て難い。旨みの強い皮はそのままで。

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監修・文=平坂 寛
Discover Japan 2024年12月号「米と魚」

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