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持ち帰りがローカル流
鎌倉・人気店の使い方
|「夏椿」店主・恵藤 文の美味しい地元自慢④

2024.4.21
持ち帰りがローカル流<br>鎌倉・人気店の使い方<br><small>|「夏椿」店主・恵藤 文の美味しい地元自慢④</small>

真に美味しいものはローカルにあり! 旅の目的にするもよし、取り寄せて自宅で楽しむのもおすすめ。今回はうつわと生活雑貨を扱う「夏椿」の店主・恵藤文さんが神奈川県鎌倉市の美味しいオススメを紹介。

恵藤 文(えとう あや)
鎌倉・銭洗弁財天の近くにある古民家で、うつわと生活雑貨を扱う「夏椿」の店主

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鎌倉駅に降り立つと、観光客であふれていて、街に賑わいが戻ってきたなぁと感じる。若いカップルから家族連れまで、日本人も外国人も。皆が“美味しいもの”を求めて、あちらこちらの店で長い列をなしているのも、鎌倉らしい光景のひとつだ。
 
鎌倉では、混雑必至の人気店であっても「予約不可」という店が、じつは珍しくない。しかも営業時間が短く、早めに閉まってしまうのもよくあるパターン。そのため、席数の限られた店内で食べようと思うと並ぶしか方法はなく、あの数々の行列ができているのではないかと推測する。
 
もちろん、その“美味しいもの”は、地元に暮らす私たちも食べたいのだ。けれども、その都度開店と同時に1時間並んで……というのは、日常生活においては現実的でない。そんなときに地元の人々が上手に活用しているのが、「お持ち帰り」だと思う。
 
たとえば老舗カレー店では近所の人向けに持ち帰り用の冷凍ソースを販売していたり、事前予約すればテイクアウト容器で用意してくれる飲食店があったり。観光客と地元民が混在する街だからこそ、お持ち帰り文化が発展しているのかもしれない。

SAUCE The Corner
「おおはま」など複数の人気料理人による総菜・弁当を販売。写真は「yuge」の鎌北チキンライスと肉団子。総菜1パック440円〜、弁当550円〜が目安

予約がなかなか取れないことで有名な「おおはま」という居酒屋がある。カウンターで提供される数々の総菜が手頃で美味しい店だったが、残念ながら現在は休業中。その「おおはま」の総菜が買える店が鎌倉中央食品市場にできたと聞いて、足を運んだ。市場の一角に佇む「SAUCE The Corner」という小さな店は、鎌倉周辺の数名の料理人がつくる弁当や総菜を受託販売しているそう。ショーケースには、懐かしのシュウマイやポテトサラダの姿。あの味を自宅に持ち帰れると知り、胸が弾む。

みやげ屋かかん
麻婆豆腐やよだれ鶏など店の味を自宅で再現できるソースやタレが買える。店頭では豆腐や中華麺も販売。かかんの麻婆ソース1200円

鎌倉御成町でいつも列をなしている「かかん 本店」は、麻婆豆腐の有名店。ここで料理をテイクアウトすることも可能だが、若宮大路を海へ向かって歩くと、赤い鳥居の手前に、お土産専門の「みやげ屋 かかん」もある。こちらではパウチされた麻婆ソースが購入でき、自宅で豆腐と合わせるだけで、店の味を再現した本格的な麻婆豆腐がつくれる。

ナチュラルチーズ専門店 ポルタム
フランス・イタリアを中心とした、ヨーロッパのナチュラルチーズを揃える専門店。開放感ある「角打ちスペース」で、ワインと楽しむこともできる

チーズ専門店の「ポルタム」も、お気に入りのひとつ。小さなテラス席でワインとチーズが楽しめるので、週末仕事終わりに夫との待ち合わせに使うことも。席がない日は、チーズをお持ち帰り。数種類の詰め合わせを買って、少しずつ試しながらお気に入りの味を見つけるのも楽しい。
 
春がきて暖かくなったら、持ち帰りできる店で好きな料理や飲み物をちょこちょこ買い込んで、海辺や公園で、ピクニック気分で食べるのはどうだろう。シェアサイクルのサービスが手軽に利用できるので、自転車を借りて七里ヶ浜や稲村ヶ崎まで足を延ばしてみるのもよさそうだ。

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SAUCE The Corner
住所|神奈川県鎌倉市小町1-13-10内
Tel|なし 営業時間|10:00〜16:00
定休日|月・火曜

みやげ屋かかん
住所|神奈川県鎌倉市由比ガ浜2-3-2
Tel|0467-37-5813
営業時間|11:00〜18:00
定休日|火曜

ナチュラルチーズ専門店 ポルタム
住所|神奈川県鎌倉市御成町15-11
Tel|0467-22-2418
営業時間|10:00〜19:00
定休日|不定休

text: Mari Ohno
Discover Japan 2024年3月号「口福なニッポン」

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