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山と海に恵まれた食材の宝庫
仙台の食がつなぐご縁
|菜園料理家・藤田承紀の美味しい地元自慢③

2024.4.20
山と海に恵まれた食材の宝庫<br>仙台の食がつなぐご縁<br><small>|菜園料理家・藤田承紀の美味しい地元自慢③</small>

真に美味しいものはローカルにあり! 旅の目的にするもよし、取り寄せて自宅で楽しむのもおすすめ。今回は菜園料理家・藤田承紀さんが宮城県仙台市の美味しいオススメを紹介。

藤田承紀(ふじた よしき)
米や野菜づくりをしながら料理家として活動。福祉にも力を入れ千葉・加曽利町「福祉カフェさんぴお」も手がける。環境省アンバサダー、羽生結弦さんへのケータリングも行う

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僕の妻は地元で300年続く米農家の生まれ。雄大な泉ヶ岳のふもとに実家があり、リビングの窓越しに田んぼが広がっています。僕は四季折々のこの美しい風景に惹かれて仙台に移住しました。食材と風景はセットだと常々思っています。その食材を育てているから風景が保たれていると。だから妻の実家の米づくりにかかわることで、美味しいお米や美しい風景を守りたいと素直に思ったのです。
 

泉ヶ岳ふもと すずめ農園
自然栽培米(ササシグレ)、環境保全米(ひとめぼれ、コシヒカリ)を栽培。JA仙台で大賞受賞歴もある、名実ともに美味しい米

その田んぼ「泉ヶ岳ふもと すずめ農園」では、肥料も農薬も使わず自然の力で育てる自然栽培米と、除草剤などを極力減らした環境保全米をつくっています。混じりけのない澄んだ山の水が田んぼに注ぐためか、本当にクリアな味わいで、ひと口目の美味しさがずっと続く。お米の本当の美味しさに気づきました。
 
仙台は山も海も田畑も近く、生産者の元にすぐに行ける恵まれた場所。東京は日本各地から美味しいものが集結するよさがありますが、完熟のイチゴは現地でしか食べられません。

秋保ワイナリー
ワインはもとよりシードルも人気。宮城県内でも産地の異なるリンゴを使用。飲み比べも楽しい。990円(右)、1650円(左)

そんなわけで食の探求をはじめ、最初に訪れた「秋保ワイナリー」で思いもよらない展開が待っていました。秋保ワイナリーは、毛利親房さんが東日本大震災後の地域復興も兼ねて2015年にオープン。定期的にテロワージュ(テロワール+マリアージュ)、つまり地元の食と酒のペアリングを楽しむ会を開催しています。出会ってすぐ「料理人をもう一人探していた」とお声掛けくださり、そこで地元の生産者や料理人とのつながりが一気に広がったのです。
 
「レストランMatsuda」の松田龍之介さんとはすぐに意気投合。彼はほぼ地元の食材しか使わず、港で自ら仕入れて神経締めをした魚でつくるフレンチが絶品です。「エイトクラウンズ」は、モンキーマジックのメイナードさんとタックスさんが手掛けるハチミツブランド。ミツバチが好む花の種まきからはじめたそうで、非加熱の生ハチミツは最高です。

耕佑
栗駒山の伏流水をくみ上げて栽培する黒舞茸を、菌床部分を付けて舞茸が生きた状態でお届け。肉厚で香り高い。6株入り2000円(送料込み)

僕は福祉にも力を入れており、障がい者雇用を進めている友人の会社「耕佑」がつくる黒マイタケもぜひ紹介したい逸品です。サッと牛乳にくぐらせてセモリナ粉を付けて揚げ、ザクザク食べるのが好き。福祉仲間「はぴcafé」のチーズケーキや焼菓子もおすすめ。今年は一緒にお菓子づくりをする予定です。
 
僕自身、これまで東京で開催していた料理の勉強会を再開しました。食関係の仲間が秋保ワイナリーに集まり、発酵や内臓などいろいろなテーマで料理と酒を楽しみます。東京にいた頃は、まさか自分がワイナリーで地元の食材で料理をし、新酒で乾杯、なんておしゃれなことをするとは思ってもいませんでしたが、これも仙台の食がつなぐご縁。大切にしていきたいです。

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泉ヶ岳ふもと すずめ農園
https://chunchun517.thebase.in

秋保ワイナリー
住所|宮城県仙台市太白区秋保町湯元枇杷原西6
Tel|022-226-7475
営業時間|9:30〜17:00
定休日|火曜

耕佑
Tel|0228-52-2140
www.kouyuu.net

text: Yukie Masumoto
Discover Japan 2024年3月号「口福なニッポン」

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