大分・臼杵市《陶芸家・宇佐美裕之、料理家・宇佐美友香》
つくる、触れる、味わう焼物空間
|九州観光まちづくりAWARD2024 金賞 食部門
2024年、2回目を迎えた、JR九州が主催する「九州観光まちづくりAWARD」。食・ものづくり・賑わいなど、風土と人を生かしたさまざまな取り組みに触れることは、心震わせる感動の連続! 今回は、九州観光まちづくりAWARD2024 金賞 食部門受賞者「陶芸家・宇佐美裕之、料理家・宇佐美友香」。かつて臼杵で生まれた幻のうつわを、臼杵焼として復活させた宇佐美裕之さんと、そのうつわに滋味豊かな料理を盛りつける妻の友香さん。二人が織りなす、美しいもてなしで盛り上がる「うすき皿山」を訪ねた。
幻の焼物が、200年の時を
経て復活し、人を呼び込む!
平安時代から鎌倉時代にかけて彫刻された国宝・臼杵石仏が鎮座する臼杵市。この地には、約200年前の江戸時代後期に臼杵藩の御用窯としてはじまるも、十数年で途絶えた幻のうつわ・末広焼があった。
そのうつわを復活させたのが、大阪芸術大学で陶芸を学んだ宇佐美裕之さんだ。家業である「石仏観光センター・郷膳うさ味」を営みながら、地域に人を呼びたいと「USUKIYAKI研究所」を立ち上げ、文献などを読み解き、末広焼を現代風にアレンジした「臼杵焼」として復興。かつては菊の花を模したかたちが多かったが、いま臼杵が蓮の名所であることから、蓮もモチーフにしているという。「うつわは料理の額縁である」という思いでつくられたうつわが放つ美しさ、クオリティの高さに思わず目を奪われてしまう。うつわづくりは、10人ほどの職人の雇用や若手育成にもつながっている。
また2023年、アトリエやギャラリーが並ぶ、うつわと食の複合施設「うすき皿山」をオープンさせた。ここでは妻・友香さんによる、地元の有機栽培の野菜を生かした滋味深い料理やスイーツを臼杵焼で堪能できる。
菓子研究家・福田里香さんは「ご夫婦それぞれのセンスが素晴らしい」と絶賛。臼杵の歴史、文化、ものづくり、夫妻の思いがひとつになり、うすき皿山で美しいシンフォニーを奏でている。
line
ワークショップ、アートなど、五感で臼杵焼に触れられます!
line
ひのさと48
≫次の記事を読む
うすき皿山
住所|大分県臼杵市深田816-3
Tel|0972-65-3113(石仏観光センター)
営業時間|アトリエ/10:00~16:00、ギャラリー/11:30~16:00、喫茶室/11:30~16:00(L.O.15:30)
定休日|月・火曜、ほか不定休あり(月曜が祝日の場合は水曜休)
https://usukiyaki.com
1|JR九州による「九州観光まちづくりAWARD」が2024年も始動!
2|熊本・南小国町「Foreque(喫茶 竹の熊)」
3|福岡・みやま市「筒井時正玩具花火製造所」
4|大分・臼杵市「陶芸家・宇佐美裕之、料理家・宇佐美友香」
5|福岡・宗像市「ひのさと48」
6|長崎・五島市「めぐりめぐらす」
7|鹿児島・南九州市「リバーバンク」
8|九州観光まちづくりAWARD2024の最終候補者の皆さま
9|「九州観光まちづくりAWARD2024」を振り返ろう
text: Nozomi Kage photo: Hiromasa Otsuka
Discover Japan 2024年10月号「自然とアートの旅。/九州」