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福岡・宗像市《ひのさと48》
地域が主役の団地コミュニティ拠点
|九州観光まちづくりAWARD2024 金賞 にぎわいづくり部門

2024.10.2
福岡・宗像市《ひのさと48》<br><small>地域が主役の団地コミュニティ拠点<br>|九州観光まちづくりAWARD2024 金賞 にぎわいづくり部門</small>

2024年、2回目を迎えた、JR九州が主催する「九州観光まちづくりAWARD」。食・ものづくり・賑わいなど、風土と人を生かしたさまざまな取り組みに触れることは、心震わせる感動の連続! 今回は、九州観光まちづくりAWARD2024 金賞 にぎわいづくり部門受賞者「ひのさと48」。いま、全国的に団地の老朽化、高齢化が深刻な社会問題となっている。しかし、「ひのさと48」は、さまざまなアイデアでベッドタウンに賑わいを創出。そこには官民一体となった、新しい団地の姿があった。

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団地再生のヒントは
日の里が実践する「会話」にあり!

「商店街を立体的にしたような、楽しく集まりたくなる場を目指しています」。子どもたちやお年寄りをはじめ常駐するひのさと48スタッフたちの笑い声があちこちで上がる

約50年前にURが開発した九州最大級の団地「日の里団地」。老朽化により、2019年に10棟分を売却するが、そのうちの1棟を住民の声を受けて交流拠点として再生することになった。

この「日の里団地再生プロジェクト」に手を挙げたのが、都市ガス会社「西部ガス」と緑とまちをつくる会社「東邦レオ」の2社。地域のつながりをつくりたいという思いが一致し、行政やほかの企業と連携しながら進めている。

「主役はあくまで住民の皆さん。50年続く団地のつながりや文化に敬意を払いながら、“まちづくりはさとづくり”を掲げ、地域の会話をつくる取り組みを手掛けています」と西部ガスの牛島玄さん。48号棟を1棟買い取り、カフェや保育園などが入るコミュニティ拠点「ひのさと48」として運営。美味しい・楽しいを起点に会話を生み出すため誕生した、日本初の団地で造るブルワリーも賑わいの象徴的な存在。宗像産麦芽を使った、ここでしか味わえないビールを販売する。また中学生のアイデアで団地の壁面にクライミングウォールをつくるなどユニークな取り組みも。子どもの元気な声が響き渡る団地は、多様な人々がつながる、明るい未来を感じさせる。「地域の思いや夢を、企業と行政が丁寧にすくい上げ、持続性のある事業として賑わいを創造しているのが素晴らしい」と小誌統括編集長の髙橋俊宏も絶賛した。

地域に開かれた場と、新規事業の場が共存するニュー団地

「ひのさと48」が運営するカフェやブルワリー、さらに団地再生プロジェクトのコンセプトに共感した保育園や個人店など、多彩なテナントも入居。個展や発表会なども行われ、個人の挑戦を後押しする場にもなっている。

DIY工房
大型裁断機・ショップボットを設置。部屋に合うサイズの下駄箱をつくるなど、アイデアをかたちにできる
コミュニティカフェ
地元野菜をたっぷり使ったカフェメニューを提供。クラフトビールや子どもたちのアイデアで駄菓子も並ぶ
宗像市認定保育園
3歳までの子どもの分園として、市の認定保育園が3部屋利用。団地の畑での収穫体験も子どもに好評だとか
ブルワリー
クラフトビール「さとのBEER」1本700円。地域の小学生がラベルをデザインするワークショップも行う
シェアキッチン
団地内には、皆で気軽にシェアできる広々としたキッチンスペースも。食のイベントなども開催されている
スタジオ&暗室
松本尚吾氏のスタジオ「jubilee」。広告、家族写真の撮影やフィルムを現像するワークショップなども行う

64戸の分譲住宅が生まれ、
団地に子どもたちが賑わう地域に!

団地の敷地内に分譲地「さとのはhinosato」も誕生。分譲地と団地の間に、熊本から300本の木を移植して、皆でシェアできる庭をつくり住民同士の交流を促進している。流しそうめんやBBQなどのイベントも!

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長崎・五島市
めぐりめぐらす

 
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ひのさと48
住所|福岡県宗像市日の里5-3-98 日の里団地48号棟
Tel|0940-25-9299
営業時間|10:00~17:00
定休日|月・火曜
https://stzkr.com

text: Nozomi Kage photo: Hiromasa Otsuka
Discover Japan 2024年10月号「自然とアートの旅。/九州」

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