PRODUCT

陶芸家《松本かおる》
繊細さ力強さを併せもつ、大切に育てたいうつわ

2024.6.19
陶芸家《松本かおる》<br>繊細さ力強さを併せもつ、大切に育てたいうつわ

石川県金沢市を拠点に作陶する陶芸家・松本かおるさん。使い込むほどに味わいが増す、松本さんの作品のルーツとは?

≪前の記事を読む

「輪島はたくさんの出会いをもたらしてくれました」

個展に向けての制作で、うつわの表面をかきべらで削る松本さん。「好きな作業で、気づけばずっとやってしまうぐらい(笑)」

備前で陶芸を修め、作家としてのキャリアをスタートした松本さん。現在も備前の土を主軸に、焼締めのうつわを制作している。成形後、かきべらで丹念に削り、ろくろ目を消していく。この作業を経ると、表面がなめらかになると同時にぐっと厚みが削がれ、軽やかな仕上がりになる。釉薬をかけずに焼成する、プリミティブな魅力をたたえた焼締めのうつわ。そこに漆塗りを施した陶胎漆器も、松本さんのライフワークだ。昨年まで拠点を置いていた輪島で、漆芸家であるパートナーと共同制作を開始。

「漆の美に触れ、たくさんの出会いをもたらしてくれた輪島。いまは私なりに、再生に向けて何か役に立てたら」と思いを語る。

パートナーの漆芸家・花野秀明さん
漆が垂れないよう回転させながら乾燥させる「回転風呂」は、輪島の上塗師から譲り受け、自分で解体し組み直したもの

緻密な手仕事を経て完成した焼締めや陶胎漆器のうつわは、手にしっとりと吸いつくかのような質感。軽く丈夫で、洗練されたフォルム。使い込むほどにつやが出て、味わいが増していく。育てる喜びも教えてくれる一品を、ぜひ手に入れたい。

line

ファンの多いビアマグも、仕上げでがらりと印象が変わる。陶胎漆器は漆を刷毛塗りするほか、漆を染み込ませた布で塗っては磨く「磨き漆」の技法も。焼締めは備前の土をメインに、珠洲の土を用いた作品にも取り組む

公式オンラインショップ
 

うつわ作家・松本かおるさんが愛する「美味な金沢」

もてなし上手な金沢での暮らし
吉はし
Pistrina EighSky
北川鮮魚店/ワインショップ ブリュッケ
ウーヴァ ウーヴァ
・大切に育てたい、松本さんのうつわ

text: Aya Honjo photo: Yoshihito Ozawa
Discover Japan 2024年3月号「口福なニッポン」

石川のオススメ記事

関連するテーマの人気記事