陶芸家《松本かおる》
繊細さ力強さを併せもつ、大切に育てたいうつわ
石川県金沢市を拠点に作陶する陶芸家・松本かおるさん。使い込むほどに味わいが増す、松本さんの作品のルーツとは?
「輪島はたくさんの出会いをもたらしてくれました」
備前で陶芸を修め、作家としてのキャリアをスタートした松本さん。現在も備前の土を主軸に、焼締めのうつわを制作している。成形後、かきべらで丹念に削り、ろくろ目を消していく。この作業を経ると、表面がなめらかになると同時にぐっと厚みが削がれ、軽やかな仕上がりになる。釉薬をかけずに焼成する、プリミティブな魅力をたたえた焼締めのうつわ。そこに漆塗りを施した陶胎漆器も、松本さんのライフワークだ。昨年まで拠点を置いていた輪島で、漆芸家であるパートナーと共同制作を開始。
「漆の美に触れ、たくさんの出会いをもたらしてくれた輪島。いまは私なりに、再生に向けて何か役に立てたら」と思いを語る。
緻密な手仕事を経て完成した焼締めや陶胎漆器のうつわは、手にしっとりと吸いつくかのような質感。軽く丈夫で、洗練されたフォルム。使い込むほどにつやが出て、味わいが増していく。育てる喜びも教えてくれる一品を、ぜひ手に入れたい。
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うつわ作家・松本かおるさんが愛する「美味な金沢」
・もてなし上手な金沢での暮らし
・吉はし
・Pistrina EighSky
・北川鮮魚店/ワインショップ ブリュッケ
・ウーヴァ ウーヴァ
・大切に育てたい、松本さんのうつわ
text: Aya Honjo photo: Yoshihito Ozawa
Discover Japan 2024年3月号「口福なニッポン」