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《連載第2回》「SIIDA®」×日本の出汁文化
うま味が香り立つ荒節をつくる
職人の技を求めて
前編|いまの技術と手仕事が融合する、仕込みの工程

2025.8.13 PR
<small>《連載第2回》「SIIDA®」×日本の出汁文化</small><br>うま味が香り立つ荒節をつくる<br>職人の技を求めて<br><small>前編|いまの技術と手仕事が融合する、仕込みの工程</small>

「味の素㈱」の出汁パック「SIIDA®」(シーダ)には、良質な鰹と薪を用い、独自の製法で燻し分けた鰹節がふんだんに使われている。そこで、味の素㈱の長年のパートナーである「㈱柳屋本店」の鰹節工場を訪ね、鰹節ができる一部始終を見せていただいた。

小川幸広
㈱柳屋本店工場長。就職して以来、鰹節づくり一筋。焙乾ばいかんに不可欠な薪の調達も手掛け、急造庫と呼ばれる焙乾室で若手の人材を育てながら日々鰹節をつくっている。

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「SIIDA®」の澄んだうま味を生む、
荒節ができるまで

静岡県焼津市にある㈱柳屋本店の鰹節工場にて。一晩かけて解凍した鰹から、脂の乗りを確認するために心臓を取り出す小川幸広さん

鰹節の原料は鰹である。ただし、鰹なら何でもいいわけではなく、脂が少ないものが適している。

「鰹節に脂があると出汁が濁り、雑味が出ます。一方、脂が少ない鰹節は、すっきりとしてキレのよい出汁が取れるのです」と小川さん。

小さな心臓の周りに白い脂が付いているかどうかで、その個体の脂肪分を確認できる

㈱柳屋本店では、翌日使う分の鰹を冷凍倉庫から出し、一晩かけて解凍する。このとき、うま味成分であるイノシン酸がドリップに流出しないよう、温度管理に細心の注意を払う。脂の乗りをチェックし、脂が多い個体は鰹節以外の用途に使う。

解凍した鰹は洗浄してヘッドカッターにセットする。自動で回転して頭部を切る装置だ。次は内臓を除去するために、ドレスマシンという機械を通す。

頭部と内臓を取り除いた鰹は、背を下にしてカゴにきれいに並べ、煮熟の工程に向かう

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鰹のうま味を余すことなくいただく仕込み

鰹を煮上げたところ。あたりには煮魚のいい香りが漂う

頭部と内臓を除去した鰹をカゴに並べ、大きな釜で90〜120分かけて煮る。熱が取れたら、次は手作業による成形作業だ。骨やヒレ、皮を取り除き、鰹節になる節を取り出していく。

ある程度の大きさの鰹なら、一尾で4本の節が取れる。そのうち背側を男節おぶし、腹側を女節めぶしと呼ぶ。この男節と女節は一対で縁起のよい亀の形になることから、結婚式の引き出物に使われることも多い。

手作業で骨などを取り除く。1日2〜2万5000匹の鰹を捌くという

鰹節づくりではじかれる部分、つまり切り落とした頭部や内臓、骨も無駄にすることはない。工場のすぐ隣に未利用部の活用法を模索する研究所があり、頭部や内臓は肥料・飼料に、骨はカルシウムとして活用。鰹の煮汁は煮詰めて鰹エキスになる。

成形を終えた鰹は、いよいよ薪で燻しながら乾燥させる焙乾の工程へと進む。

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【後編】
鰹を燻して香りをつける、
焙乾とは?

 
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text: Yukie Masumoto photo: Maiko Fukui

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