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Maison KEI<メゾンケイ 御殿場>
三つ星シェフ小林圭ととらやのコラボレストラン【後編】

2021.5.8
Maison KEI<メゾンケイ 御殿場><br>三つ星シェフ小林圭ととらやのコラボレストラン【後編】

500年の歴史を誇る和菓子店と2020年、パリで三つ星を獲得したフレンチレストランが御殿場にレストランをオープン。東京でも、京都でもない。なぜ御殿場?そこで描くレストランの未来とは?早速、現地に行ってみました!今回は、その模様を前後編記事にてご紹介します。

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小林 圭(こばやし・けい)
1977年、長野県生まれ。21歳で渡仏。地方のオーベルジュやレストランを経て2003年に「アラン・デュカス・オ・プラザ・アテネ」へ。’11年「レストランケイ」をオープン。’20年ミシュラン・フランス版で三つ星。’21年1月「メゾンケイ」オープン

「自分もゲストも楽しめる空間を目指したい」

昨年、フランス版ミシュランでアジア人シェフとしてはじめて三つ星を取った小林圭シェフ。世界中のメディアから取材を受けて、まさしく時の人に駆け上った。その小林氏が、今年は「とらや」と組んで御殿場にフレンチレストランをオープンさせた。さすが、小林シェフ。攻めの姿勢は崩さない。

「別にこの時期を狙っていたわけではないんです。本当は昨年の秋にオープンする予定だったのが、コロナの影響で延期になっただけ」。

パリではいち早くロックダウンがはじまり、営業のめどが立たない。レストランは大打撃だ。「でもうちは御殿場新店のため、休まずに店に出て日本に連絡したり、会議したり。営業しているときよりずっと集中して仕事ができましたね。それにしても新店をつくるって大変なこと。もっと簡単だと甘く見ていました(笑)」。結果、5年越しのプロジェクトも無事実現して、またひとつ引き出しが増えた。

小林シェフとは、2013年、パリで活躍する日本人シェフといったテーマでの取材以来久しぶりにお会いするが、ずいぶんと落ち着いた雰囲気になった。

本人が公言していたのが「絶対に三つ星を取る」こと。自身にプレッシャーをかけることで、誰かがいいアドバイスをくれるかもしれない。自らを奮い立たせるためにも、「三つ星を取る」は小林シェフにとっての魔法の呪文のようなものだった。今度の「メゾンケイ」でも星を狙うのか、とよく聞かれるようだが、「それはない」とあっさり全否定。

「僕は27年間、厨房でまじめに仕事をしてきた。それが評価をされたことはうれしいが、ミシュランのために仕事をしているのではない。三つ星を取ったから終わりというわけではないんです。いままでと変わらず厨房に立ち続けるだけです」

なんと自戒と自信に裏打ちされた言葉だろう。さらに小林シェフが導き出したのはこんな「いい店論」。

「いいレストランって。どういう店だと思います? 数字で表すとしたら、料理3、サービス3、ゲストを含めた雰囲気4。どんな完璧な料理を出しても料理だけでは3ポイントにしかならない。だとしたら、サービスや雰囲気をいかに演出するか。いいレストランとはバランスのいい店だと思う」。

これからの取り組みは「とらや」の和の素材をどう、フレンチと融合させるか? 日本一の小豆を使ったあんがどう進化するのか? その権利を得た料理人は小林シェフだけだ。

「とらやのあんを取り入れて世界に発信できるのはうちだけ、と思うとワクワクします」と言う小林シェフ。その先には新しいレストランのかたちが見えている。

三つ星シェフ、小林圭が
ローカルで奏でるフレンチとは

野菜たっぷり、味わいは無限
「庭園風季節のサラダ」

どのコースもこのひと皿からはじまる。その日の野菜を30種類前後盛り込んだサラダで、食べるときはよ〜く混ぜること。白い泡(レモン風味)とトマトのソースなど4種が混ざって、ひと口ごとに違う味に変わる。

パリパリのウロコに目から鱗!
「金目鯛のウロコ焼き イカ墨のピストゥー」

魚の香りを際立たせるウロコ焼きは小林シェフお得意の技。下にトマトのコンフィ、上にレモンのコンフィをのせて酸味をプラス。バジルオイル、イカ墨ソースで味わいに変化をつけて楽しませる。

Maison KEI
住所|静岡県御殿場市東山527-1
Tel|0550-81-2231
営業時間|11:30〜、17:30〜
定休日|火・水曜
料金|ランチコース3850円〜、ディナーコース5280円〜(サ別)
テーブル数|14(個室 1、半個室 2)
アクセス|車/東名高速道路御殿場ICから約10分
電車/JR御殿場駅からタクシーで約15分
www.maisonkei.jp

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text: Yumiko Inukai photo: Atsushi Yamahira
Discover Japan 2021年5月号「美味しいニッポントラベル」

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