TRAVEL

草津温泉ニュータウン案内|前編
いま、天下の名湯・草津温泉の進化がすごい!
《草津×建築でめぐる新・名湯ホッピング》

2023.1.24
草津温泉ニュータウン案内|前編<br><small>いま、天下の名湯・草津温泉の進化がすごい!<br>《草津×建築でめぐる新・名湯ホッピング》</small>
写真提供:草津温泉 きむらや

大きな湯畑で知られる、群馬県が誇る天下の名湯・草津温泉。そんな温泉街で近年、新たなまちづくり改革が進行中!?「建築」をキーワードに、歴史深い温泉街のめぐり方に迫る。

そもそも草津温泉ってどんなところ?

江戸時代から伝わる「湯もみ」文化が根づく名湯です。
50℃近い源泉に約180㎝板を入れて湯をもみ、加水することなく入浴温度を下げる草津名物「湯もみ」。「草津よいと~こ、一度はおいで~」の草津節が利いた湯もみ唄もある

主な源泉の湧出量(出典:草津観光要覧)
源泉名     湧出量(ℓ/分)
湯畑      4040
白旗      659
熱の湯     298
地蔵      252
西の河原    1073
煮川      817
万代      6200
そのほか源泉  1万8961

合わせると…
1分に約3万2300ℓ!!

写真提供:草津温泉観光協会

知っていると見方が変わる!?草津温泉ゆかりの人物

草津温泉を世界へ広めた第一人者
《ベルツ博士》
ドイツ出身で明治期に来日した“日本近代医学の父”。草津温泉の医学的有効性を世界に紹介し、知名度を向上させたことから、いまも“草津の恩人”とたたえられている。

湯畑はアート作品だった!
《岡本太郎》
温泉街のシンボルである湯畑の現在の姿は、1975年に彼が監修して完成したもの。特徴的なひょうたん型や石畳のあしらいに、岡本ワールドが爆発している。

狩りを行った際に名湯に入浴
《源頼朝》
1193(建久4)年、浅間での狩りの折に草津を訪れ白旗源泉を発見、入浴したと伝わる。頼朝が座って入浴したことから、明治期までは「御座之湯」と呼ばれていた。

勢いよく湯が流れる湯畑の「湯滝」。湯畑に湧出後、設けられた7本の湯樋を通って冷まされた源泉が集まり、湯滝にたまった湯はここから各旅館や共同湯に供給されていく

自然湧出泉として湯量日本一
源泉かけ流しの天然温泉
浸かるだけで傷も癒える強い酸性泉

「恋の病以外はなんでも治る」といわれる天下の名湯・草津温泉。日本一の自然湧出量を生かした源泉かけ流しの湯は、湯畑源泉のpH値2.1をはじめ日本有数の強い酸性の泉質。すぐれた殺菌力と神経痛、筋肉痛、関節痛、五十肩、打ち身など多くの効能で、古くから湯治場として栄えてきた。日本三名泉という肩書きのみで語るだけではもったいないほど、世界に誇る温泉先進国・日本を代表する名湯なのだ。

その歴史は古く、古墳時代の日本武尊、奈良時代の行基、鎌倉時代の源頼朝と、古代から中世にかけてのビッグネームとのかかわりが伝わる。戦国時代には前田利家が隠居後に湯治に訪れたり、豊臣秀吉が病中の徳川家康に泉質のすばらしさを教え、湯治を勧めたという逸話も。江戸時代に入ると家康や、8代将軍吉宗がその湯を江戸城まで運ばせたといわれているなど、名だたる武将たちにも愛された歴史は、まさに天下の名湯と呼ばれるにふさわしい。江戸中期には「草津千軒江戸構え」といわれるほど大きな湯屋が立ち並び、そこから明治・大正・昭和と、現代に通じる湯治文化を形成。「湯もみ」をはじめ「伝統湯」や「合わせ湯」など、伝統の入浴法を生み出した。

草津といえば建築や空間デザインをはじめとした、芸術分野との関係も外せない。温泉街を歩けば築100年を超える歴史的な湯宿も残っており、木造の共同湯もまた、歴史に裏打ちされた建築美を感じさせてくれる。さらに、街のシンボル「湯畑」は、現代草津のイメージを決定づけたといっても過言ではない壮大な空間建築物。もともと江戸中期には存在し、高温の源泉を外気に触れさせて冷やしつつ、沈殿した温泉成分を「湯の花」として採取する役割を担っていた。そして、その役割はそのままに、現在の姿に変えたのが、あの巨匠・岡本太郎。スキーと温泉が好きなことから草津に通った太郎が、町の依頼を快諾。湯畑周辺のデザインを総合的に手掛けたという。

さらに、現代の芸術家たちも、温泉街の新たな魅力の構築の一翼を担っている。都市計画や建築設計を専門とする北山孝雄氏と、その弟で建築家の孝二郎氏を中心に、湯畑などのライトアップを一新した面出薫氏、「草津温泉 きむらや」を設計した隈研吾氏など、そうそうたるメンバーが集結。再開発がひと段落した新エリア「裏草津」をはじめ、長い歴史と伝統を大切にしつつ、新たな文化も発信するニュー・温泉タウンへと進化を遂げている。新時代の草津温泉へ、足を運んでみよう。

温泉文化を受け継いだ
新・空間建築「裏草津」をめぐる

風情ある温泉街の景観がよみがえった新エリア「裏草津」は、草津の魅力を再発見できる場所だった!?

湯畑から裏草津の中心、「伝統湯地蔵」までは歩いて5分ほど。途中の展望デッキからは、もくもくと湯気を上げる湯畑も! イラストMAP=別府麻衣

草津温泉での散策できる場所は湯畑周辺のみ。と思っていた人にこそ歩いてもらいたいのが、昨年満を持して誕生した新エリア「裏草津」。昔から目によい湯といういわれのある地蔵源泉をもっと知ってもらいたいと、ほかの温泉地ではまず目にしない「顔湯」をつくったり、漫画家にも愛されていた温泉街であることが、「漫画堂」の直筆サインや寄せ書きイラストで見受けられたりと、もともとあった草津のよさが再認識できる場となっている。

建築としては湯畑周辺を再整備した北山孝雄氏、孝二郎氏兄弟がかかわり、総合プロデュースを手掛ける孝雄氏が重視したのは、湯畑周辺との差別化と古きよき景観の再生。観光客が集中する湯畑周辺に対して、のんびり温泉街の風情を楽しんでほしいという裏草津のコンセプトは、実際に歩いてみてもよくわかる。「漫画堂」をはじめとした孝二郎氏の設計による新たな建築物の数々は、昔からの木材や石材を使用し、屋根に板葺きを再現するなど伝統的工法を用いた木造建築。新しい建物が立ち並ぶ中でも懐かしさを感じる街並みは、草津の温泉文化へのリスペクトがあってこそなのだろう。その空間は、すでに“表”の湯畑にも劣らない、草津の新たな顔となりつつある。

館内のどこにいても本一冊一冊がしっかり見えるように、ライトの向きまで細かく設定されている
敷地内にはカフェ「月の貌」が併設されており、眼下に広がる高台広場とともに、お気に入りの漫画を持ち出して読むことができる

草津に漫画家も勢揃いしていた!?
《漫画堂》
ちばてつや、赤塚不二夫ら草津にゆかりのある漫画家をはじめ、歴史的名作から最新作まで約1万冊の漫画を所蔵。真新しい木造2階建ての建物も、北山兄弟がタッグを組んで生まれたもの。高い天井が設けられた開放的な空間となっている。

湯畑の東側にある展望デッキを進むと現れる、素泊まり宿「源泉一乃湯」前にある「裏草津」の入り口
『天才バカボン』の赤塚不二夫、『11ぴきのねこ』の馬場のぼるをはじめ、2階には有名漫画家の寄せ書きイラストも

漫画堂
住所|群馬県吾妻郡草津町草津
Tel|0279-82-5641(カフェ月の貌)
開館時間|9:30~16:00
休館日|なし(メインテナンス休館の場合あり)
料金|大人400円、小学生300円(2時間制)

のんびり過ごしたい憩いの場
《高台広場》
賑やかな湯畑周辺に対し、“のんびり過ごす”ことをテーマにつくられた広場。段差部分に腰掛けて、ゆっくり漫画を読むもよし。ライトアップされる夜の散策も風流だ。

目にいい源泉は湯気でもしっかり堪能
《顔湯》
草津に伝わる、地蔵源泉の湯で目を洗うと眼病が治ったという「目洗い地蔵」伝説。その地蔵源泉の湯気を顔に受けることで美容効果があるといわれている。

共同湯「地蔵の湯」を家族・友人で貸し切り!
《伝統湯地蔵》
裏草津がある地蔵地区の新たな目玉として、共同湯「地蔵の湯」に新設された貸切風呂。貸切なのに感じる広さは共同湯以上! 贅沢空間を独占し、ゆったり入浴できる。

住所|群馬県吾妻郡草津町草津299
Tel|0279-88-1320(事前予約制、当日予約も可能)
利用可能時間|9:00~/10:30~/12:00~/13:30~/15:00~ (1時間制)
定休日|水曜
料金|1時間3500円

草津では殺菌効果も期待できるんです
《手洗之湯&足湯》
湯畑源泉にウイルスの感染力を失わせる不活化効果が認められた研究結果の報道をきっかけに新設された「手洗乃湯」。もともとあった「足湯」も新しく整備され、「顔湯」と3湯セットで楽しめる。

地図=アルト・ディークラフト

 

草津温泉ニュータウン案内|後編
 
≫次の記事を読む

 

text: Kohei Yoshii photo: Kazuya Hayashi
Discover Japan 2023年2月号「癒しの旅と温泉。/秘湯、湯治宿、銭湯、サウナ37」

群馬のオススメ記事

関連するテーマの人気記事