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北海道《かくと徳島屋》
余市のワインをペアリングで堪能

2023.12.21
北海道《かくと徳島屋》<br>余市のワインをペアリングで堪能

北海道余市の豊かな海や山の幸を使った正統派和食と入手困難な余市産のワインのペアリングが楽しめる「かくと徳島屋」。ここでは造り手のいう「余市のワインは和食に合う」が実感できる。

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地元民に愛される日本料理店

Vin de 時候膳に付く3種のワインは、ドメーヌ・タカヒコ「ナナツモリ ピノ・ノワール」、ドメーヌ・アツシスズキの「パストゥグラン」、ドメーヌモンの「ドングリ」。貴重な3種のワインを味わえる

「かくと徳島屋」のルーツは、その名が示すように、約100年前に徳島から移住してきた初代が、余市駅の目の前に開いた駅前旅館だった。京都の老舗「本家 たん熊」で修業した4代目当主の當宮弘晃さんは、料理に力を入れ、祝い事や大切な宴席は「かくと」でと、地元民に日本料理店として愛されるようになった。

そこにワインが加わったのは、宿泊も飲食もお手上げ状態となったコロナ禍中のことだ。
ドメーヌ・タカヒコの曽我貴彦さんから「地元のワインを出せば、少しは集客の役に立つのでは」と、自社ワインを、かくと徳島屋に優先して回すことを提案されたことがきっかけだった。日本料理だからと、それまで提供していなかったワインを出すことにした。

鰍(かじか)とも和え。鰍の身を肝で和え卵をトッピング、濃厚でクリーミーな味わいとぷりぷりの卵の食感が楽しい

タカヒコ門下生も右に倣えと協力し、ドメーヌ・タカヒコの軽やかなのに複雑な味わいをもつナナツモリのピノ・ノワール、ドメーヌ・アツシスズキのピノ・ノワールとツヴァイゲルト・レーベから造る華やかさと力強さが共存するパストゥグラン、ドメーヌモンのピノ・グリから造るコクのあるドングリの3種のグラスワインがコース料理に付いた「Vin de 時候膳」が誕生した。3種を同時に出してくれるので料理との組み合わせは自由だ。いずれも入手困難なワインゆえ、量は少ないが心配は要らない。いまでは、ほかの余市や隣町の仁木のワイナリーのワインが揃い、それぞれグラスで楽しめる。やはり入手が難しいワインが多く、グラスワインのオーダーを重ねてしまうのは目に見えている。余市のワインは和食に合うといわれるが、ここではそれを実感することができる。

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鰤胡麻塩焼き。胡麻が加わり一層濃厚な鰤。パストゥグランにするか、膨らみのある味わいのドングリにするか、迷う
河豚の土瓶蒸し。フグも地元産。丁寧に引いた出汁にフグの旨み。旨みの強い土瓶蒸しには出汁に通じる旨みをもつナナツモリを
鮭の炊き込みご飯。脂ののった鮭を炊き込んだだけで十分に美味しいのにイクラがたっぷりと。北海道の秋を満喫できる
レストランは旅館の1階にある。余市と仁木のワインが充実。グラス(1100円〜)でも飲める種類が多い

 

まだある!余市ワインをペアリングで愉しめる店
 
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かくと徳島屋
住所|北海道余市郡余市町黒川町8-12
Tel|0135-22-6369
営業時間|予約時間に準ずる
定休日|不定休
https://kakutoryokan.wixsite.com/mysite
※完全予約制、当日予約不可
※Vin de 時候膳7700・9900円(料理+ワイン3種)

photo: Kenta Yoshizawa
2024年1月号「ニッポンの酒最前線2024」

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