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《奄美大島》の自然と伝統文化を見て、
触れて、魅了されるリトリート旅へ
|島を味わい、ととのえる。

2023.1.23
《奄美大島》の自然と伝統文化を見て、<br>触れて、魅了されるリトリート旅へ<br><small>|島を味わい、ととのえる。</small>
専用プール付きの「プールヴィラ」

海に囲まれた環境で、独自の風土や歴史によって築き上げられた3つの島は、それぞれが唯一無二の文化を形成している。“絶景”や“美食”などの楽しみだけではない、各島に息づく文化に触れる大人のリトリート旅へいざ。

琉球と薩摩が融合した独特の文化を育む奄美大島。1300年の歴史を誇る本場奄美大島紬をはじめ、郷土食「鶏飯」など長寿の島ならではの味わいも楽しみたい。自然と先祖を大切にしてきた島民の共生観にも触れる旅へ。

離島ならではのミックスカルチャーを楽しむ。

奄美群島の中で最も大きな島、奄美大島。天然の亜熱帯広葉樹が残る原生林には、アマミノクロウサギやルリカケスなど国指定天然記念物が生息し、透明度抜群の海はシュノーケリングスポットとしても有名だ。島を訪れた者は雄大な自然に魅了される一方で、文化的側面にも心を寄せることになる。奄美大島は、14世紀頃から本土と沖縄を結ぶ接点として文化交流が行われ、歴史的背景から琉球文化と薩摩文化が融合する独特のカルチャーが息づいているからだ。

今回、大人のリトリート旅の拠点宿にしたのは、「MIRU AMAMI」。「島に新しくできた集落」をコンセプトに、奄美大島固有のミックスカルチャーを宿や食を通して楽しませてくれる。

「奄美大島の森を象徴するスダジイ(椎)の木を泥染めにして外壁や屋根材に用いたり、海の砂を漆喰に混ぜていたりと建築様式にも島ならではの個性を感じていただけますし、そうしたところから島とつながっていただきたいですね」と、支配人の近藤哲さん。こうした島文化との出合いは食体験においても同様だと続ける。

「ソテツの実を使った郷土料理をアップデートして提供したり、我々は島の通訳者でありたいと思っています。当ホテルを起点に奄美大島の自然や文化を掘り下げてほしいという想いで、さまざまなアクティビティやコンテンツもご紹介しています」

奄美大島のディスティネーションホテル「MIRU AMAMI」の客室のひとつ「プールヴィラ」。天井は島特有の建築様式「巻貝構造」。空間からも島の文化に触れることができる

島のおすすめスポットを聞いてみると、ガイドブックには載っていないような場所や島の絶品グルメを教えてくれた。また、ホテルスタッフも黒糖焼酎に詳しい男性や島唄を継承する女性など実に個性豊か。彼らとの会話もまたMIRU AMAMIの大きな魅力だ。

朝を告げるのは、小鳥のさえずりと幻想的なサンライズ。ウッドデッキに出て深呼吸、ヨガやストレッチで身体を動かすのも気持ちいい。朝食は連泊でも楽しめるように和と洋から選べ、どちらも島の食材をふんだんに使ったヘルシーメニュー。朝食をいただいた後は、奄美大島の自然と文化に触れるアクティビティへ出発だ。

MIRU AMAMI

海に一番近い「オーシャンヴィラ」。全客室にウッドデッキが用意され、目の前に広がる海の絶景に癒される。夜は星空を眺めながらシャンパーニュで乾杯するのも一興
南瓜とナリ粉(ソテツの実)のすり流し
かつて島では、飢えを凌ぐためにソテツの実を食材として活用してきた。こうした背景からも食の大切さを伝えたいと、ディナーコースの先付はナリ粉を使ったすり流しが定番
鹿児島黒牛モモ肉のグリル
日本一の和牛に輝いたトップブランド牛「鹿児島黒牛」のモモ肉をグリル。ソースや付け合わせは季節ごとに手に入る旬の食材を使い、目にも舌にも鮮やかなひと皿に
特選握り寿司と本日のお椀
1泊目のコースディナーのご飯ものとして提供されるのが「特選握り寿司」だ。奄美大島は養殖クロマグロの生産地。スジアラ、ハマダイ、マクブなど奄美の三大高級魚もネタに
レストラン「AMANARI」では、地元でとれた季節の食材を丁寧な手仕事で調理し、新たな解釈の島料理を提供。黒糖焼酎は奄美全蔵からセレクトした約200種類が揃う。リストにない隠し酒も

MIRU AMAMI
住所|鹿児島県大島郡龍郷町芦徳 800
Tel|0997-55-4066
客室数|23室
料金|1泊2食付3万2107円~(税・サ込)
カード|AMEX、DINERS、Master、VISAなど
IN|15:00
OUT|11:00
夕食|創作和食(レストラン)
朝食|和・洋食(レストラン)
アクセス|車/奄美空港から約20分
施設|レストラン「AMANARI」
https://mirucollection.com/miruamami/ja

奄美に息づく伝統、食、大自然に、
おどろきが止まらない。

泥染めとは、絹糸にシャリンバイ(バラ科の植物)に含まれているタンニン色素と泥田の中の鉄分を化学結合させ、85回以上繰り返し染色することで、色落ちしない光沢のある渋い黒に染め上げる技法。その絹糸に色を入れ、細かい絣模様を手織りで仕上げる

奄美大島の伝統的工芸品といえば、1300年の歴史を誇る本場奄美大島紬だ。泥染めという奄美固有の技法により、絹糸を無二の黒へと染め上げる。「泥田には鉄分が必要。この地で泥染めが発達したのは、奄美クレーターに落下した隕石が大量の鉄分を含んでいたから」と泥染職人・平勝也さん。聞けば糸を染める工程だけでおよそ40日間、織り上げて反物になるまでは1年はかかるという。職人の感覚を生かした染色技術と、細かい模様を織る技術。受け継がれてきた熟練技の結晶によって美しい絣が生まれるのだ。受け継がれるもの。それは食も同じだ。奄美大島で受け継がれる郷土食「鶏飯」、伝統的発酵飲料「ミキ」など、長寿の島ならではの味わいがある。

赤木名立神
集落の沖に立ち、海から神が立ち寄る場所が立神。集落のシンボルとして島に点在している。陽の方角によって朝と夕方とで見え方が異なるため、立ち寄る際は情報収集をしよう
住所|鹿児島県奄美市笠利町大字喜瀬付近
西原のガジュマル
ガジュマルとは妖怪・ケンムンが住む巨木。石垣を抱き、防風や防火の役目を担う。西原のガジュマルはその造形が素晴らしく、訪れる人を魅了する。付近に民家があるので、配慮を忘れずに
住所|鹿児島県大島郡龍郷町芦徳西原付近

奄美大島では、神の存在を感じることが多い。それは宗教的なものではなく、自然の中に神を見出し、手を合わせてきた、奄美の人々の深層にある共生観がいまも息づいているからだろう。島民との会話からも、たとえば奄美の自然と人をつなぐ森の妖怪・ケンムンの話や、自然の石を守護神として祀る風習や立神の存在、集落ごとの祭事など、神とつながる話を聞く機会が多かった。神秘的な原生林やエメラルドブルーの海に、えもいわれぬ力を感じたのは我々だけではないはずだ。自然への感謝から得られる喜び。これこそ、大人のリトリート旅の神髄だろう。

奄美大島紬村・大島紬
製造工場観光庭園
本場奄美大島紬の生産工程の見学をはじめ、Tシャツなどの泥染め体験も行っている。1万5000坪の広大な庭園内には、亜熱帯植物や天然記念物のルリカケスなど多くの動植物が生息。園内をゆっくり散策するのも楽しい。紬小物の土産品もあり。

コーディネートに取り入れやすい柄のスカーフをはじめ、デイリーに使える紬小物も販売
大島紬村オリジナルの最高級大島紬を展示販売。多様な柄があり、100万円を超える品も並ぶ

製造工場観光庭園
住所|鹿児島県大島郡龍郷町赤尾木1945
Tel|0997-62-3100
開館時間|9:00~17:00
入場料|大人550円、中小生220円
※ショッピングは無料
www.tumugi.co.jp

金作原原生林とマングローブカヌー
亜熱帯の森が広がる金作原(きんさくばる)原生林は、稀少な動植物が数多く生息。群生する大きなシダ植物を間近で見ることができ、亜熱帯の干潟に広がるマングローブの森をカヌーに乗って探険する体験はぜひ。

サンゴとヤドカリ
住所|鹿児島県奄美市笠利町節田1923-1
Tel|090-9941-6737
営業時間|8:00~18:00
定休日|不定休
料金|大人1万1000円〜、子ども9000円〜
開催時間|8:30~18:00(潮の満ち引きにより変更あり)
www.35yadokari.jp/shop

ボートシュノーケル・SUP体験&コウトリビーチ上陸ツアー
船でしか行けない秘境のビーチ「コウトリビーチ」への上陸ツアーをはじめ、ボートシュノーケリングなど豊富なメニューで奄美大島の海のアクティビティを案内。1~3月はホエールウォッチングのピークで遭遇率高し!

ON SHORE
住所|鹿児島県大島郡龍郷町大勝2205-15
Tel|090-7907-4110
営業時間|8:00~20:00
定休日|不定休
料金|大人1万2650円、子ども8800円(5~11歳)
開催時間|約150分(9:00~11:30、12:00~14:30、15:00~17:30)
www.amamionshore.com

けいはん ひさ倉
奄美大島の郷土料理といえば「鶏飯」。ひさ倉では出汁にこだわり、自家養鶏場で飼育する地鶏を煮込み、塩、醤油で味付け。あっさりしながらもコクのあるスープが染みる、ととのう食事だ。

住所|鹿児島県大島郡龍郷町屋入516
Tel|0997-62-2988
営業時間|11:00~16:00(L.O.15:30)
※材料なくなり次第、終了 定休日:不定休
www4.synapse.ne.jp/hisakura

3泊あっても足りない!
奄美大島のおすすめスポット、まだまだあります。

ティダムーン
本場奄美大島紬の美術館と資料館を併設し、奄美の理想郷を織りなすリゾートホテル。客室からは立神のほか、海や山の絶景を眺められ、レストランでは奄美大島の風土が味わえる島料理を堪能。心地よい時間を過ごすことができる。

住所|鹿児島県奄美市笠利町大字平1260
Tel|0997-63-0006
料金|1泊2食付12万9800円~(縁スイート、税・サ込)
客室数|25室
https://thidamoon.com

荒波のやどり あらば食堂
「食を通して島の暮らしを伝え、集落として大事なものを後世に伝えていくこと」をコンセプトに、地元の“おっかん”たちが集落の懐かしい家庭料理でおもてなし。お母さんそれぞれの味があるのも魅力のひとつだ。

住所|鹿児島県大島郡龍郷町幾里423
Tel|0997-58-8842
営業時間|ランチ11:30~14:00、カフェ14:00~17:00
定休日|水・木曜
https://yado.e-akina.com

奄美群島国立公園ビジターセンター奄美自然観察の森
2022年10月にリニューアルし、休憩室と展示室を新設。アマミノクロウサギのはく製展示もあり、雨が多い奄美大島において雨天時の自然体験スポットとしておすすめ。展望台からの眺めも格別で、敷地内には樹齢100歳近いシイの木も。

住所|鹿児島県大島郡龍郷町龍郷字フクヒリ1233-3
Tel|0997-54-1329
開園時間|9:00~16:00
入園料|森の館100円、ガイド1500円(要予約)
休園日|年末年始
www.anof-tatsugo.jp

 

世界遺産との共生を感じながら、
屋久島の美味と自然を堪能する

 
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《島を味わい、ととのえる。》
1|《奄美大島》の自然と伝統文化を見て、触れて、魅了される滞在。
2|世界遺産《屋久島》との共生を感じながら、島の美味と自然を堪能する。
3|《徳之島》で暮らすような滞在で、人、営みの豊かさを再発見する。

text: Nobuhiko Mabuchi photo: Kenji Okazaki
Discover Japan 2023年2月号「癒しの旅と温泉。/秘湯、湯治宿、銭湯、サウナ37」

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